僕だけラーメンだった。
東京から札幌に向かう直前くらいのおはなし。
今まで行ったことのない中華料理屋に行ったときのこと。
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東京に18年ほど住んでいたのですが、もちろんすべての町や駅、お店に行くなんてことはできやしません。
そもそも僕は食事に関しては冒険をするタイプではなく、気に入ったものをずっと食べ続けるような人間です。そんな人間なもので、新しく未踏のお店に行くのはかなりの勇気がいります。
ですが、東京から離れることが決まった今、気になっていたお店に行かなくては後悔してしまうのでは?と考え行くことにしました。
そのお店は渋谷にある「ラーメン王 後楽本舗」というお店です。
渋谷の井の頭線近くにあるこのお店。僕がよしもと無限大ホールに
向かうときにいつも通っていた道にあります。どうやら40年?以上の歴史のある老舗で、根強いファンも沢山いるとのことです。
僕の人生より長くこの渋谷で営業をしていたこのお店にはご挨拶しなくてはいけないのでは?と思い立ち入店しました。
お昼時に来店したこともあり、お店はとても賑わっていました。
食券でラーメンを購入。こういう時は一番左上にあるものを買うのがコツだと聞いています。
雰囲気はTHE・町中華という感じ。孤独のグルメなどに出てきそうな佇まいです。僕の期待は膨れ上がります。
程なくしてラーメンが到着。味はまさしく「これこれ!」というもの。僕の好きな味でした。長年の歴史を感じる味でした。
ラーメンに舌鼓を打っていたとき、僕は強烈な違和感を感じました。
店内でラーメン食ってるの俺しかいねぇ。
周りは生姜焼きや炒飯など定食系を食べている人たちばかり。
隣に座っていたガテン系のお兄さんも、あとから来たきれいなおねぇさんも。僕だけずるずると麺をすすっていました。悔しい。
僕はこのお店でワクワクを買っていたはずなのに、帰るときには満腹感と悔しさを得ていた。
次東京に行ったときはリベンジしたい。
でもきっとまたラーメン食うんだろうな。俺みたいなもんは。