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コロナに無症状で陽性になりましたVol.2
巷で話題の流行り病「コロナウィルス」という奇病にかかり、2022年1月11日から1月22日まで自宅療養となりました。
前回の記事はこちらからご覧ください。
今回も一部有料記事にさせていただきました。
かと言って購入しなくても充分なものが読めますので、ご興味があればどうぞよろしくお願いします。
今回は検温について思ったことを書いてます。
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それでも僕はやってない。
8時頃に起床。体の調子は悪くない。いつも通り清々しい朝。
なのに僕は容疑者として目覚めることになりました。
デカため息を吐きながら、昨日の赤紙に記載されていたコールセンターに電話をかけることに。
医療機関の紹介をしてもらわなくてはならないのです。
何が悲しくて自分で病院を探して検査を受けなくてはならないのだ。
僕はやってない。信じて欲しい。
コールセンターに電話が繋がります。
とても疲れたような声の女性スタッフが電話に出ました。
大変なのだろうなと想像するに容易い声色に、絶対に僕の方が元気だろうなとも思いました。
僕は自分で認めたくはありませんが、きちんと状況を説明しなくてはストーリーが進まない。
ゲームで言うところの負けイベントなのだと自分に言い聞かせて口を開きます。
岩「すみません、コロナの陽性疑いと診断されたのですが……」
ス「あぁ……そうなのですね。体調などはどうですか?」
岩「えぇ。全くの無症状で元気いっぱいです!」
ス「……。え?あ、はぁ。そうなんですね」
なぜ僕は電話で変な感じにならなくてはいけないのでしょうか。
兎にも角にも早めに診断を受けなくてはいけないので、事情を説明し近所の医療機関を紹介していただきました。
電話の最後に「お大事になさってください」と消え入るような声で言われましたが、むしろあなたの方がお大事になさってください。自分の体を大事にしてください。
そして無事、医療機関に潜入するためのパスワード(電話番号)を手に入れた僕は、早速入力することにしました。
鳴り響く呼び出し音。耳を擘く呼び出し音。
出ない。
出ないんかい。
よく考えたらまだ時間が早いのでしょう。入り時間の前に呼ばれても対応できないのは当たり前の話。それは申し訳ない。
ですが、僕には時間がないのです。時間は有限、一刻も早く潔白を証明しなくてはなりません。
少し時間を空けて電話をかけ、ようやく繋がりました。
僕は事情を説明します。
変な容疑をかけられている。どうにかしてほしいと。
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お金がない
病院の看護師さんはとても明るく対応してくれました。
なぜ判明したのか、そして僕が無症状であること、芸人をしているので仕事の都合で早めに診断をしてほしいなどを伝えても、すごく丁寧な対応をしてくれました。
その優しさに僕はもうひとつ無茶なお願いをしてみました。それは
手持ちがないので後払いにしてもらえませんか?
というもの。
これは本当にお恥ずかしいのですが、本当に手持ちがなかったのです。
僕の愛用のCECIL McBEEの財布には紙のお金が1枚も入っていませんでした。35歳。年始なのにお金を全く持っていません。最悪です。
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それを伝えた看護師さんは
「あ〜〜〜〜〜……ちょっっ……と待ってもらえま〜す〜か?」
動揺が隠しきれていません。本当に申し訳ありません。
しばらくの保留があった後に
「お待たせしました!大丈夫ですよ!」
本当に頭が上がりません。日本の医療従事者は素晴らしいです。
病院に向かう予約を入れ、僕はいそいそと準備を始めます。
すると電話が鳴ります。相手は先ほど予約をした病院から。
「岩橋さん!すみません、改めて確認をしたいことがありまして…。本当に無症状ですか?どこも体調とかは悪くないですか?」
僕は正直に今の状態を答えました。全くなんの不調もありませんと。
すると意外な返答が返ってきました。
看「大変申し上げにくいと言いますか……PCR検査っていろんな方法がありまして。当院の検査方法が、無症状の方に向いていない検査方法なんです。検査できないというわけではないのですが、仮に今回当院で検査して陰性が出たとしても、それが正確な診断かどうかが判断しづらく。」
岩「はぁ。そうなのですね」
看「なので……他の病院で検査してもらえませんか?」
嘘でしょ。断られたんだけど。
話を聞くと、僕の仕事柄、正確かつ早めの診断ができた方がいいことと、完全無症状の場合、その診断ができる医療機関で診断した方が良いとのことでした。
その間も何度も「本当に体調悪くないですか?ちょっと頭が痛いとか咳が出るとかでもいいので!」
と、どうにかして僕の体調を悪くしようとしてくれるのですが、残念ながら僕は元気印の花丸でした。
そして僕はその病院から違う病院を紹介していただき向かうことになりました。僕の容疑が晴れたら挨拶に行きたいと思います。
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え?外国の人?
そして紹介していただいた病院に電話をかけます。
これこれこういう事情でご紹介いただきまして……と説明をするとすんなりと案内してもらえることに。
ですが、大事なことがまだあります。僕にはお金がない。
それの許可をまだもらっていません。僕は意を決して確認を取りました。
「それともうひとつありまして……さっきの病院ではOKしてもらったのですが、今手持ちがなくて後払いでお願いしたいのですができますか?」
本当に情けないったらありゃしない。
すると電話先が慌て始めました。ここまでは想定内です。
看A「なるほど…ちょっとお待ちくださいね…、〇〇さん。なんかコロナの検査の電話なんだけど、お金ないから後払いにしてだって」
看B「え?どういうこと?1円も持ってないの?そんなわけなくない?」
看A「なんかそうやって言ってる。」
看B「何それ。え、外国の人?」
想定外のことが起きました。
保留せずにそのまま話し始めちゃって会話が全部丸聞こえと言う事態。
気まずいったらありゃしません。
そりゃそうですよね。そんなことありえないですもんね。でも本当なんです信じてください。
しばらく恥ずかしい気分を味わったところで
「あ、やば!」という声と共に保留音が流れました。これで気まずい気持ちはドローとなりました。
程なくして電話が繋がります。
「もしもし。お待たせしました。とりあえずお越しください。はい。」
とても気まずそうな声に申し訳なくなりましたが、ようやく検査ができることになり、僕は病院に向かいました。
病院に到着するとそのまま入るのではなく、一度電話をかけてから案内してもらうことになります。他の患者の方と動線が違うらしいのです。
電話をかけると外に迎えにきていただきました。
とても明るく声をかけていただきましたが、その表情はなんとなく「こいつが噂の金がない奴か」みたいに見えました。
なんとなくですよ。なんとなく。
別の出入り口から案内され、診察が始まります。
僕は「全くの無症状です。信じてください。疑惑をかけられて困ってます」と必死に伝えますが、「こいつ金もないのに何言ってんの」という視線がビシビシと伝わります。
問診が終わり、喉を見られたところ「少し腫れてるね」と言われました。
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容疑者岩橋の検診
そしていよいよ容疑者岩橋の検診がスタート。
今回の検査は、棒を鼻から入れて粘膜を摂取するタイプの検査でした。
先生から「じゃあ後ろ向いて、そのまま真っ直ぐ見ててね」
そう言われ鼻に棒が入ってきた瞬間に激痛が走りました。
思わず「痛っ!!」と声を上げますが、先生は冷静なものです。
「はいはい、ちょっと我慢してね。お金無いんだからね」
そう聞こえたような気がしました。そんなことは言っていないのですが。
そして両鼻をゴリゴリされ半泣きになったところで検査は終了。
鼻をかんでくださいと言われかむと鼻血が出ていました。そんなにゴリゴリするものなのですか?
そして診察が終わり、看護師さんが来てこう言いました。
「お疲れ様でした。お支払い〇〇円となります」
あれ?支払いですと?実に面白い。
僕は今手持ちが…と伝えると
「おろしてきても無いですか?」と真っ直ぐな顔で言われました。
こんなこと言いたくないが、おろす金があるのならば持ってきている。
口座に147円しか無いんだ言わせないでほしい。
無言の時間が続き、僕はピンと閃めきました。
そうだ、キャッシュレスで支払えないかと。LINEペイには数千円入っています。
それを提案すると「支払えません」と一蹴されました。
ですが、LINEペイはセブン銀行から現金で引き落としできるので、その手続きをすれば支払うことができます。少し時間をもらい、僕は近くのセブンイレブンまで行きお金を用意してきました。
そして無事に検査終了。あとは結果を待つだけとなります。
ですが結果は明日の朝。今日はどちらにせよ仕事がバラしになります。
僕はデカため息をつき、天井を見つめながら明日になるのを待ちました。
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