コラム: 病院の待ち時間を減らすための5つの工夫
0. 本記事のまとめ
待ち時間の長い総合病院。少しでも時間を有効に使えれば嬉しいですね。予約の時間帯や検査の順番、会計方法を工夫する事で無駄な時間を減らす事ができます。
1. 総合病院は待ち時間が長い
Dr.Y: 次の方、どうぞー。
吾妻: ガラガラガラ、失礼します。
Dr.Y: 吾妻さん。大変お待たせしました。その後、喘息の調子はどうですか。
吾妻: はい。落ち着いています。それにしても、今日は待ちましたよ。総合受付をしたのが1時間前ですよ。この後も予定があるのに。
Dr.Y: 本当にすみませんねえ。
吾妻: ねえ先生、病院ってどうしてこんなに待つんですか?10時〜10時半の枠で予約しているじゃないですか。それなのに呼ばれるのが11時過ぎって、おかしくないですか。
Dr.Y: おっしゃる通りです。できるだけ時間内にお呼びしようと頑張ってるんですが・・・。
吾妻: 患者の予約人数設定を見直した方がよいのではないですか?こういう待ち時間がわれわれ患者の貴重な時間を奪っているんですよ。
Dr.Y: はい、ごもっともです。でも予約人数を減らすと、吾妻さんが希望されている午前枠は人気ですぐに埋まってしまうので今後は夕方の時間帯になってしまうのですが・・・どうしましょう。
吾妻: すぐそうやって脅すんだから。診察してもらえなかったら困るのは患者の方だと思ってそれにつけ込んでずるいです。
Dr.Y: いやいや滅相もない。本当にお待たせして申し訳なく思っているんです。ただ、医師の数と患者さんの数のバランスが悪くて、どうしようもない事もあるんです。
2. 少しでも待ち時間を減らすには
吾妻: 諦めて大人しく待つという事ですか。何か患者側にできる対策があれば良いんですが。
Dr.Y: 吾妻さん、実は私、ものすごくせっかちなんです。だから私も自分が患者として他の総合病院を受診する時は、待ち時間がとても勿体なく感じるんです。おそらく吾妻さん以上かもしれません。
吾妻: 先生が他の病院を受診する時はどうしてるんですか?
Dr.Y: 私の場合は、まず本やタブレットは必携にして、待ち時間に手持ち無沙汰にならないようにしています。
吾妻: 確かに、みんな待合室で各々好きなことしていますよね。他に何か工夫している事はありますか?
2-1. 予約時間より少し早く来院する
Dr.Y: そうですね。全ての病院がそうだとは限らないと思いますが、多くの病院では予約枠と枠内人数が設定されています。例えば10時〜10時半までに3人とか4人まで予約が入るようになっているんです。
吾妻: それは知ってます。
Dr.Y: そして、同じ予約時間の患者さんたちの中では、基本的にはその日の受付時間が早い人から診ていく事が多いのです。
吾妻: 受付時間というのは、診察券を通した時間ですね。
Dr.Y: はい。なので、予約枠より15〜30分ほど早めに行くようにしています。
吾妻: 極端に早く来たらどうなりますか?例えば、もし予約が10時〜10時半なのに9時に来たら、9時〜9時半の予約枠として呼んでもらえる可能性もありますか?
Dr.Y: すいていればそういう事もあるかもしれませんが、基本的にはそれぞれの時間帯でびっしり患者さんが詰まっている事が多いです。なので、そこはあまり期待しない方が良いかもしれません。
2-2. 診察前の検査の順番を工夫する
吾妻: 診察前に検査が入っている場合はどうですか。
Dr.Y: はい。その時は、どの検査がボトルネックになるかを知っておいて、その検査から先に終わらせるという事を考えておいた方がよいでしょう。
吾妻: ボトルネックといいますと?
Dr.Y: 受けてから結果が出るまで一番時間がかかる検査です。多くの場合、血液検査がそれに該当しますが。
吾妻: 血液検査、時間かかりますよね。1時間以上かかる事も少なくないですよね。
Dr.Y: はい。例えばレントゲンと血液検査をしてから診察、という場合だと血液検査の方がレントゲンより結果が出るのに時間がかかるわけです。
吾妻: なるほど。
Dr.Y: なので、先に血液検査を受けて、その結果が出るまでの間にレントゲンを撮りに行くようにしています。
吾妻: レントゲン→血液検査→診察より、血液検査→レントゲン→診察、の方が効率が良いという事ですね。
Dr.Y: はい。血液検査がどのくらいで結果が出るかは病院によって違う事も多いので、日頃から主治医やスタッフに聞いておくと良いでしょう。
吾妻: なるほど。いずれにしても、病院に来たら最初に血液検査を済ませてしまうのが一番良さそうですね。
Dr.Y: はい。それから、これは主治医のOKが貰えればの話ですが、血液検査の結果を待つ間に院内で食事などしてしまうのもアリです。
吾妻: 確かに。血液検査前は欠食の事も多いですが、検査後なら関係ないですもんね。
Dr.Y: 診察後に再度検査がある場合もあるので、一応主治医に確認してからにしてくださいね。
2-3. 採血室が混んでいる時間帯を把握する
Dr.Y: 採血室に行っても混んでいてなかなか採血の順番が回ってこない事があるでしょう。
吾妻: あります。あれって困るんですよ。せっかく早く来たのに全て打ち消されてしまっているような気になります。
Dr.Y: 採血室って混んでる時間帯が決まってたりするんですよね。朝一番などは結構混むところが多いです。すいている時間帯を予めスタッフに聞いておいて、診察の予約時間もそれに合わせるという手もあります。
2-4. 医療費後払いサービスを利用する
吾妻: 何気に時間がかかるのが診察後なんですよ。検査で待たされ診察で待たされ、ようやく終わったと思ったら会計でも待たされてウンザリします。
Dr.Y: はい。病院によっては、「医療費後払いサービス」が利用できる可能性があります。
吾妻: 「医療費後払いサービス」とは何ですか?
Dr.Y: 支払いを口座振替など後払いにすることで、診察後にすぐ帰れるシステムです。
吾妻: そういうシステムがあると便利ですね。ホームページやスタッフの方に聞いて確認してみた方が良いですね。
Dr.Y: ぜひ活用してみてください。
2-5. 検査日と診察日を分ける(主治医に確認必要)
Dr.Y: あと、これは病院が自宅の近くなどの場合しかできませんが、血液検査のように時間がかかる検査は前日や2日前などに受ける事が可能かどうか聞いてみても良いでしょう。
吾妻: 検査日と診察日を分けるという事ですか?
Dr.Y: はい。検査日は好きな時間に来て採血を済ませたら結果を待たずに帰宅。予約日は、指定された時間に来て診察のみ、という感じです。
吾妻: これだと、血液検査の結果を待つ時間がなくなりますね。
Dr.Y: その分病院には2回こないと行けないので、どちらが良いかは人それぞれですが。自宅と病院の往復時間の方が血液検査の待ち時間より短い場合は考えてみても良いと思います。
吾妻: なるほど。主治医の先生的にもその方が良いのでしょうか。
Dr.Y: そうですね。血液検査の結果を待つ時間って、患者さんだけでなく医師にとってもストレスなんです。早く結果を知って方針を決めたいですからね。なので、予め結果が出ていると嬉しいです。
吾妻: そうなんですね。
Dr.Y: 一方で、診察当日の検査でないと意味がないような疾患や方針の場合もありますから、そうした場合は2回に分ける事はできません。
吾妻: 主治医の先生に聞いてみて、という感じですね。
Dr.Y: はい。色々言ってきましたが、本来はもっと診療システムも整備されてオンライン診察などDXも進めて患者さんに無駄な時間が生じないように進化していく必要があると思います。医療者側もそれにむけて努力しているので、ご理解いただければ嬉しいです。