見出し画像

CVCの手引き~①「経営との握り」について~

前回「CVCの手引き」に関しての、7つの視点を紹介しました。今回はその中から最初に挙げた①「経営との握り」についてお話したいと思います。

ここでいう経営とは、事業会社のCVCの場合、経営者や役員会をさします。また、事業会社のCVCを立ち上げる際には、経営側から担当役員を指名してトップダウンで降りてくるときもあれば、担当者が部課長とともに経営や役員会へボトムアップで提案するケースがあると思います。

その事業会社の経営状態、経営環境、将来の経営戦略等により、それぞれCVCを始めるモチベーションが異なりますが、そのモチベーションをしっかりと経営と握る必要があります。

モチベーションには大きく2つあると言われています。

「財務リターン」か、「戦略リターン」かです。

事業会社のCVCの場合、スタートアップ投資で儲けようというモチベーションはあまりありえないので、通常ならば戦略リターンが多いと思います。

それでは財務リターンや戦略リターンとは何でしょうか? 

分かりやすい考え方は、経営の4要素、モノ情報で考えるとよいと思います。これらの具体的なイメージや目標を、CVCを立ち上げる際に社内でコンセンサスを得ておかないと、CVCは思い通りにならないものなので、のちのち社内での説明責任を果たすうえで、大変な思いをすることになりかねません。

私が実際に立ち上げたCVCにおいては、幸い新規事業を興すことを目的に始めましたので、戦略リターンを中心に運用したのですが、そのうちに成功とともに、失敗の事例を経験すると、やはり投資した金額を減損することはつらいので、次第に財務リターンも大事だと、自分自身で自覚し始めました。したがって、財務リターンと戦略リターンは相反する概念ではなくて、両立されるのが、良い投資とリターンだと思うようになりました。

また、その後、他の業界の事業会社様のCVCのコンサルテーションをさせていただく機会に恵まれて、一つ気づいたことがあります。

それは事業の時間軸を意識することの大切さです。「時間軸で握る」これを経営と良く握っておかないと、単なる財務リターンや、戦略リターンの握りでは対応できなくなることが分かりました。

専門のキャピタリストが運営するVCを、IVC=Independent VCと呼んでいる方がいますが、事業会社のCVCにおいては、IVCのLP投資家に相当するのが、事業会社そのもの、すなわち事業会社の経営や役員会ということになります。したがって、CVCを運用されたいと思う方々には、投資家である経営や役員会に対して、きちんとした説明責任を果たす義務があると思いますし、そのことをうまく利用して、自分自身を磨いていく必要があると思っています。

もし、「戦略リターン」の具体例や、「時間軸で握る」とはどういうことかについて、更に詳細にご興味のある方は、何時でもお気軽に以下のURLにご連絡してください。
https://yhtg.jp/



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?