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CVCの手引き~③迅速な意思決定構造の設計~

いよいよCVC推進の手引きの方法論に今回から入りますが、繰り返しになりますが、一番大切な本質論は、
①と②で述べた「経営との握り」「CVCが目指す目的」、すなわちあなたが何故CVCを推進しようとしているかです。これによって、意思決定構造の設計も変わってきます。

一般に大企業の意思決定は遅いから、スタートアップ投資には不向きだという方がいますが、本当にそうでしょうか? 迅速な意思決定をした結果、悲惨な結果になることもありますし、遅い意思決定をしたおかげで、状況がより明確になり、おかげで危機を未然に防げた事例もあります。

そうなんです、常に迅速である必要は必ずしもないのです。CVC事業会社側の事業の時間軸と、出資を受けるスタートアップの商品やサービスの事業の時間軸が合うことが大切です。トヨタ生産方式で有名なJITは、後工程が欲しがるスピードで前工程が部品を提供する、さもないと滞留在庫や欠品が起きてしまうからだと、昔学んだときに、なるほどと思いました。でもこれは同じ社内や系列会社で情報交換が密になされている場合に可能です。

大企業のCVCとスタートアップの間の情報交換はどうでしょうか?

所謂情報の非対称性があり、DDをしても結局良く分からず、投資してからとか、一緒に事業のオープンイノベーションをしてから気づく事が多いのではないのでしょうか? 結局人間は、自分のことも、他人のことも、良く分からないうちに付き合いを始めるものです。

私のお勧めは、迅速な意思決定構造は必要です。

でもその理由は、大企業の少額投資において、通常の経営委員会の稟議と同じく社長の決済までは必要ないという理由が一つ。もう一つ資金需要が旺盛なスタートアップを待たせることは、スタートアップの経営者に多大なストレスを与えるからです。

そのようななケースに当てはまらなければ、スタートアップ側も積極的に情報開示に努め、大企業のCVCとの情報の非対称性のギャップを埋める努力をするべきですし、大企業のCVC側も、良く分からなければ、マイルストーンペイを活用して、段階的に出資を検討し、撤退条件も事前に検討してから出資に踏み切るべきです。

迅速な意思決定構造は有益ですが、それが何故必要か、自社の時間軸を参考に考えて設計してみることが必要だと思います。 ご相談ください。






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