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あなたの強みの見つけ方

過去2回のnoteでは、企業の強みの見つけ方や、それらを俯瞰するSWOT分析で気をつけなければいけない、本当の強みの見つけ方の例を経験から述べさせていただきました。

今回は、それをもっと皆さんに身近な例で、お話ししてみようと思います。

もうかなり前ですが、私は当時担当していた事業部の黒字化のために、企画部長として商品の選択と集中を考えていました。そのなかでSWOT分析をした結果、半導体検査装置の品ぞろえの中で、日本では競合と善戦しつつも、海外では負けている商品と、まだ未完成ながら徐々に市場で認知され始めたユニークな新製品がありました。

いろいろと議論はありましたが、私が出した結論は、既存品から撤退し、新製品に特化するという戦略でした。

しかしながら商品の選択と集中を、メーカーが自分自身のために勝手にやることは、顧客を無視することとなり、長期的には信用を落とすこととなります。それならば
「どうしたら顧客に迷惑をかけずに撤退できるか?」
が課題となります。そしてこれを解決するために、私は我々の競合に事業売却をして、その資金でアフターサービスを継続するブリッジ戦略を取りました。

そうはいっても、独占禁止法をクリアして、尚且つ競合に事業を売却をして相当の金額を手に入れるためには、たいへん難しい交渉が必要になります。これについては非常な高度なノウハウがあるので、これはこれでまた別途コンフィデンシャルベースでお話したいと思います。

さて、今回の本題である「あなたの強みの見つけ方」ですが、このような複雑な交渉は、締結するまでに、結局1年半かかりました。途中、相手競合企業からは、半年間も音沙汰がない時期もありました。特に相手企業がイスラエル企業だったので、交渉の途中で合意しても、その次には全て反故にしてきました。彼らは契約にサインするまでは、とことん交渉してくるのです。したがって、LOIで合意した諸条件も、最終契約交渉では全てひっくり返してきたのです。だったらLOI等結ぶ意味がなかったのかもしれません。

いずれにしても私にとっては経験のない交渉でした。アドバイスしてくれたアメリカのビジネスローヤーも、交渉の途中で怒って席を立って会議室から出て行ってしまい、私一人で交渉を粘り強く続けたのです。

このようにイスラエル企業との交渉を学んだ私ですが、めでたく最終契約書にサインできたときに、相手の交渉のトップからこのように言われました。

「おまえさんからは、Consistencyの強さを学んだ」と。

私たちは自分の強さが分からないものです。そしてそれは必ずしも、知識や経験、技術的なものでなくても良いのです。我慢強さ、首尾一貫性、誠実なこと、顧客のことを第一に考えること、これらは、あなたの気質であり、企業で言えば、企業理念です。これらでも十分に強く、継続できるものならば、十分に強みとして、勝負できるのです。

幸い私たちが特化した新製品は、顧客に新しい価値を提供できたので、事業の黒字化を成し遂げることができました。

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