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CVCの手引き~②目的に応じた投資方針の設定~


前回に引き続き重要なポイントである②目的に応じた投資方針の設定についてお話させてください。

前々回お話した7つのポイントの中では、おそらく一番大事なポイントだと思います。「目的」を明確化することは、CVCに関係する全てのステークホルダーである、経営者、担当者、スタートアップ、投資家、顧客、社会をつなぐ目に見えないエネルギーとなります。

平たく言えば、何故CVCをするのかを明確にして関係者と握ることです。前回の「経営との握り」では、戦略リターンか、財務リターンか、その両方か、そして時間軸をどう握るのかなどとお話ししましたが、ここでの目的は、経営のみならず、更にそれは他の全てのステークホルダーを巻き込むものと位置付けられますので、投資の領域とか、ビジネスモデルとか、時間軸において、世の中に何を新たに生み出していくのかということになります。

これが明確化されていないと、
 どのようなスタートアップと出会うべきなのか?
 どのようにスタートアップとオープンイノベーションをするのか?
 どのように時間軸でExitまで行くのか?
ということが分からなくなり、関係するステークホルダーからの協力が得られなくなるリスクがでてきます。

私たちがコンサルティングをさせていただくときに、一番重要視する質問がこの「何をやりたいか」を、最初に良く壁打ちで議論することです。担当の方が本当に望んでいることと、経営にずれがないか、経営が将来変わってしまうことがないかなど、出資側の事業会社のみならず、出資を受けるスタートアップについても、DDを通して、良く吟味しておく必要があります。

余裕のある会社であれば、取り敢えずやってみて、それから修正していけば良いと考えるかもしれませんが、保守的で、失敗を嫌う社風や、社員の場合、このようなやり方で学べることには、あまり期待することはできません。本気でやって失敗しないと、そこから学ぶ事は出来ないと思います。

したがって、私共のお勧めは、フロントローディングで先ずは、この目的から議論することを勧めています。目的が明確化すれば、それにあった投資方針や、その投資からのリターンについてのコンセンサスは得やすくなります。

「なぁんだ、そんなことか、あたりまえじゃないか」
と思われるかもしれませんが、投資をするということは、自分自身を知ることであり、それは自分が何をしたいのかということになります。CVCの場合、平均で10年のファンドが多いですから、以前のNoteでお話した、ぶれない目的、すなわちConsistencyの力を発揮することが必要になると思っています。

私自身の経験として、会社の中期経営計画で、CVCを活用した新規事業の創設の担当をしたことがありますが、実は会社の方針が1年で変わってしまい、せっかく始めたCVCの梯子を外された経験があります。それをどう乗り切ったか、ご興味のあるかたはご連絡ください。

次回は、「③迅速な意思決定構造の設計」という内容で、より具体的なCVCの運営に関するお話ししたいと思います。

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