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ラストトーキョー “はぐれ者”たちの新宿・歌舞伎町

概要
・「きれいな街」へと変化する新宿歌舞伎町で生きる人々とその一人である自身の母親、そしてそれを見つめる自身の変化を描いたセルフドキュメンタリー。

・NHKディレクターで32歳女性の柚木さんは新宿近くで育った。母親に絶対に入るなと言われていた歌舞伎町を取材することを決める。そこで「我が道」を生きる様々な人々と出会う。

・柚木さんは、自分にとっての禁断の地に足を踏み入れることで、自身の生き方についても深く考え、悩み、答えを探す。

放送 NHK GとBS1

感想
まずは2年の間、自身と向き合い取材を続けたディレクターと、それに真摯に応えた母親に拍手を送りたい。様々なことを考えさせてもらった。

私の印象に残ったのは後半のシーン(以下、文字オコシが正確ではないのをご容赦ください)。
珍しく娘(ディレクター)の布団に潜り込んできたお母さん。世間話風に言う。

「何とかここまでこぎつけたけど、でもその人生を絶対に娘には、心からやってもらいたくないよね」
「いろんなもののコンプレックスを自分の娘には全部なしにしたい、そういう気持ちが強かったね」

しかし、歌舞伎町を知り、母を含め自由に、我が道を生きる人たちに出会った娘は素直に受け入れられない。

「それは誰のため?」「お母さんのためじゃないの?」

と迫ってしまう。何で自分は母のように、あの人たちのように生きられないのかと悩んでいたからだ。小学校から無遅刻、健康、受験勉強を完璧にこなす人生にいざなった母は、「それは私自身のためだった」と認め、娘に謝る。(母親には自身の生い立ちから、立派な母になった自身の姿を見せなければならない相手がいた)「もっと自分の選択肢を多く持たせるべきだったのかなと思う。申し訳ないと思っている」「だけどこれだけは言えると思う。ないがしろにはしなかったよ」「私は必死でやってきたの。だからそれで勘弁してほしいんだよね」

柚木さんの「お母さんのためじゃないの?それ」という言葉を聞いた時、私は自分の息子にその言葉を言われた気がした。小6で受験をして中高一貫校に通っている。現在中3。私は柚木さんの母親のように?、息子にはキレイな人生を送ってほしいと思っている。自分が会社を辞めてフリーランスから自営という道を歩んだことに後悔はまったくないが、息子に私のような人生は送ってほしくない。どこかで「大企業のサラリーマンになってほしい。高額の報酬を得て、お金に苦労しない人生を歩んでほしい。会社は辞めないで辛抱強く最後まで勤め上げてほしい」と願う自分がいることを自覚している。そういう気持ちは息子に、こぼれちゃっている気がする。

佳江さんの、娘との向き合い方が素晴らしと思った。優しくて誠実で、それでいて自信と誇りを感じる。私もそんな親でありたいと思う。柚木さん親子がいろんなことをさらけ出してくれたおかげで、私は今、いろんなことを考えている。

       かなり悩んだ末、息子にもこの番組を見せた。彼の中でセカンドインパクトが起きて「俺は親の道具じゃねぇ」的な反応が返ってくるのではとドキドキした。見終わって息子は「これは話が大きいな。親になんないと分かんないな」と。肩すかしにあった。親の側の目線で見てたんか~い。

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