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(80年代の)高校物理で自転車の登り/下りと平地の違いを検証してみると。
昔、Facebook にも ノート という機能があって、そこでいろんなエントリーを書いたのですが、最近、この Facebookノート にアクセスできなくなってしまいました。(知らないだけかも?) で、かなり前にそこで、(80年代の)高校物理の範囲内で、自転車での登りと平地の違いを検証してみた内容を、この note で再現してみます。
80年代の高校物理では(私の学んだ高校では)、高校2年の物理Ⅰで「質点の力学」を、高校3年の物理Ⅱで「剛体の力学」を学びました。この剛体の力学が当時とても面白く、このエントリーで検証する自転車での登り/下りと平地の違いや、ピンポン玉を人差し指で弾き出した時、一定の距離進んだあと逆転して戻って来る現象などを説明できるのが目から鱗でした。(このピンポン玉の弾き出した時のふるまいは、次に書いてみたいと思います。)
自転車に乗ってると、風がない時 (これは物理的には空気抵抗を無視できる時を考えることに同値です。)、平地では体重に関わらず走りが変わらないのに、登り/下りでは、自分の体重(実はプラスフレーム重量)がとても効いてることを実感すると思います。これを(80年代の)高校物理で本質的な検証ができるので、やってみたいと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1648384145882-UVcRQH38Ez.jpg?width=1200)
大きく2つに分けます。
$$
人+フレーム:\\ 質量 M / 初期速度:v_0 → 現速度:v\\ホイール+タイヤ:\\ 質量 m / 初期角速度:ω_0 → 現角速度:ω
$$
なお、速度と角速度は独立ではありません。次の関係で繋がっています。
$$
v_0 = rω_0\\v = rω
$$
ここで、今回の検証に対して本質的に影響を与えない重要な仮定をします。
※ 空気抵抗を無視する。(走っている状態で無風と考える。)
※スポーク重量を無視する。(ホイール+タイヤは全てリム部に重量。)
※摩擦などでのエネルギー損失を無視する。
これで条件が整いました。ところで私たちは何を検証したかったのでしょうか? それは、
※平地と登り/下りでの自転車でのふるまいの違いを明らかにする。
でした。これを、物理的に検証できるよう、次のように言い換えます。
※初期と現在での高さの違い
$$
Δh =0\\Δh≠0
$$
によって、質量 M と m がどのように影響を与えるか?
これで条件と検証目的が明らかになりました。では、検証を始めましょう。
物理的に検証する時にまず着目するには「エネルギー」です。人がペダルを回すことは、自転車にエネルギーを与えることです。与えたエネルギーは、仮定したようび摩擦による損失を無視できる場合、自転車の力学的エネルギー、すなわち、
※位置エネルギー + 運動エネルギー
※ここで、運動エネルギー = 並進エネルギー + 回転エネルギー
に変換されます。ここで、
$$
E_0:初期の力学的エネルギー\\E:現在の力学的エネルギー
$$
とすると、
※力学的エネルギー = 並進運動エネルギー + 回転運動エネルギー
+ 位置エネルギー
なので、
$$
E_0 = \frac 1 2(M+2m)v_0^2+\frac 1 2(2I)ω_0^2\\E = \frac 1 2(M+2m)v^2+1/2(2I)ω^2+(M+2m)gΔh\\ \\I=mr^2
$$
と記載できます。ここから、
$$
※E = E_0
$$
の時、すなわち、力学的エネルギーが保存されてる時を考えると、
$$
\frac 1 2(M+2m)v_0^2+\frac 1 2(2I)ω_0^2=\frac 1 2(M+2m)v^2+\frac 1 2(2I)ω^2+(M+2m)gΔh
$$
整理して、
$$
v_0^2-v^2=2\dfrac {M+(2m)} {M+2(2m)}gΔh ・・・ (※)
$$
となります。
[1] Δh=0 の場合
上記 (※) より、
$$
v=v_0
$$
即ち、位置エネルギーに変化がない場合、速度は不変、言い換えれば「人+フレーム & ホイール+タイヤ」の質量は速度の変化に関係しません。
[2] Δh≠0 の場合
上記 (※) より、現在の速度 v は、位置エネルギーの変化と「人+フレーム & ホイール+タイヤ」の質量によって変化します。
※ Δh > 0 ⇒ 速度は減少
※ Δh < 0 ⇒ 速度は増加
これは、全体質量が重いほど、登りは遅くなり、下りは速くなることを示しています。そしてその割合は、
① 位置エネルギーの変化量:Δh の平方根に比例
② (全体質量) / (全体質量+[ホイール+タイヤの質量]) の平方根に比例
していることが解ります。①は良いとして、②からは、
※ 回転に寄与している [ホイール+タイヤの質量] 分だけは、回転に関する
慣性により
・登りでのスピードの低下を緩和
・下りでのスピードの上昇を抑制
していることが解ります。
高校物理で定量的に検討できる範囲は、それなりにありますよね! ^^;
で、近いうちに、ピンポン玉を弾いて元に戻って来る検討を書きたいな。
#そして実は、note での TeX 書式での数式記載を試してみたかった。^^;;;