スクールアイドルの「その後」を知るために【活動記録104期8話 前半】
タイトル「Not a marionette」
他人が求める『理想』に『夕霧綴理』はいない。だけど、困った人々がいてほしい『存在』に『夕霧綴理』がいる。昔は夕霧綴理を糸で思うように動かしたい『marionette』と見ていた人がいたのでは。
卒業と悩み
芸を極め、海外を含めた自分の道に進むからこそ、蓮ノ空女学院には早期卒業という制度が存在しているのかもしれません。遅かれ早かれやってくる卒業、そして進路に一番向き合わなければいけなかったのが綴理先輩でした。
「忙しくてごめんね」と親から言われた時にボクのせいだと思う綴理先輩。一人っ子だったことも加わり、親の仕事の都合で離れ離れになる時間が長いことを考えると、話し相手はおらず、ただやってくる映像や音楽、人々の会話をたくさん受け取っていたのかもしれません。その中で、綴理先輩の感性が磨かれ、同時に見て、聞く力、つまりインプットが養われたのだと思います。
だけど、数字のように決められたアウトプットならいいんだけど、相手が考える「理想」のアウトプットは出来ない。おそらく、蓮ノ空女学院に入るまで、綴理先輩はダンスで評価されたけど、人々はダンスではなく「夕霧綴理」を求めていたから。このことに、罪はありません。
さて、人の理想ではなく「悩み」というのは文字通り難しいものです。マニュアルに書いてあるような答え、数式で導き出される答えで解決するのなら、悩みなんていりません。同時に、悩んでいる人は、周りに迷惑をかけてはいけない、周りも頑張っていると、考え込んでしまう。
幸か不幸か、綴理先輩は悩んでいる人と同じ存在になることは出来ない。それどころか、何も考えなければ、周りにとっては手の届かない存在のままになる。だけど、綴理先輩の長所は雲の上の存在になるのではなく、人の悩みに付き合って、支えてあげること。ずっと隣にいたさやかちゃんが言った言葉が、正に的を得ていました。
悩みは解決するものではなく、付き合うもの。大きくなったり小さくなったりするけれど、成長と共に、小さいまま、過ごすことができるもの。解決できたとしたらそれは悩みではなく、問題なのかもしれません。
抽象的な存在の未来とは
綴理先輩は、具体的言語よりも抽象的言語のアウトプットが得意だと思います。一ミリもはみ出してはいけないペンキ塗りより、型通りにハマってはいけない芸術が似合っている。答えのない悩み、型のない芸術、それに寄り添うのが綴理先輩の道である可能性があります。
ここからは後編に向けた考察です。悩みや芸術に対する評価は、これまた「他者」に依存する。どんなに頑張っても、多数派が「ノー」と言ってしまうと、たとえ最善の結果であっても報われない。綴理先輩がやりたい「人々の悩みに寄り添ってみんなで作り上げる芸術」が、多数派の求めていない「限りなく不完全」であったものだとしたら、綴理先輩の進路・社会はどこに進めばいいのか。三年間のインプットから、綴理先輩が導き出すアウトプットを、私はただ、受け入れたいと思います。
オマケ(本編)
・「ルリのめぐちゃん」に、ルリめぐのオタクの顔になっていた姫芽ちゃん。あなたが尊い
・自由を得られる卒業>>勉強や補習がある学校、というのが明らかなめぐちゃんに一安心。だけどあなたも進路決まってないんかい(ルリちゃんのお嫁さんではないらしい←)
・蓮ノ空女学院の職業体験で「博物館の学芸員」があったら、ぜひ立ち会いたい蓮ノ空のこと好き好きクラブの者です。純粋に楽しい知識を、好きな推しから吸収したい!
・小鈴ちゃん、やはりタダモノではなかった。綴理先輩をして眩しいと言わせる高校生活約半年の一年生は恐竜そのもの
・進路指導に「さやの悩みを聞く人」と書いたら怒られるチャレンジをしてほしい(というよりやったことがありそう←)
・小鈴ちゃんの冬服私服が可愛い。カチューシャリボン、尊い