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「地方創生を知るオンライン講座」(長野県木祖村編)開催します!ぜひ覗いてください。

0.背景と趣旨

 2020年から丸2年、社会活動は主にオンラインで行われました。そこまで考えもしなかった経験であって、今や人が移動するということ、対面することに、それほど重きを置かなくなって来ています。Zoomという電子会議システムも広く知られるようになって来ましたし、オンラインのコミュニケーションにも、社会的な抵抗が無くなって来ています。
 大学でも、2年間ほぼオンラインで授業がなされ、いろいろな伝説が生まれました。やってもいないのに、最高の授業をするとイキっちゃった某大学部長とか、前職でも1枚のPPTで毎週大量のレポートを書かせた例やら、自宅にホワイトボードを買ってそれをどう映すかが話題になったり、オンライン授業用のジャケットを新調した話とか…。大学の設備費を返却して欲しいという学生からの要求も話題になりました。
 幸い、その感染症も少し落ち着いてきたようで、2022年からは殆どの大学が対面授業に戻してきています。まさに「大学は出会いの場」ということなのでしょうが、設備費を返却する必要も無くなり、大学としてはやれやれといったところでしょう。

 あえて、大学に問いますが、あの2年間を無かったことにする気ですか?
教育機関なら、あの壮大な社会実験での知見を新たな時代の大学教育に反映しなければならないでしょう。既に企業は、テレワークも金形態の選択肢に入れ始めているし、勤務地自宅という会社員も確実に増えてきています。大学だけ、旧弊な姿を晒していくのですか?
 案の定、対面中心になって、既に大学がつまらないとかいったツィートも目にしますし、先日はとうとう某大学で、授業時に教員と学生が怒鳴りあうといったことも起こったようで、動画が拡散していました。またもれ伝わることでは、前職では教員同士が授業中に学生の前で怒鳴りあったそうです。人が集まると、どうしてもそういったストレスや軋轢が生まれます。元々、大学はもう何か新しい教育、研究を生み出す場ではなくなっていたということが、明るみ出てしまったということでしょう。

 学生層を含め、社会がオンラインに抵抗がなくなり、2年間の経験で操作に関しても習熟して来ているのは間違いの無い話です。オンラインを用いた、新たな教育、研究を模索すべきだと考えています。さらに教育を提供するのは、校舎を構えた大学だけではなく、オンラインの世界にあるセクターでも可能なわけであり、いずれメタバース領域にも拡張して行くこともあるかもしれません。
 例えば、距離の離れた過疎地などは、オンラインでの教育研究に対しては、格好の素材ではないでしょうか。それを前提に、2021年度前期に、前職の正規科目として、徳島県の美波町を題材にした、オンライン学習を行いました。

 美波町は、人口6000人弱、面積140キロ㎡ほどの、漁業を中心とした小さな過疎地ですが、サテライトオフィスや新しい町づくりなどで知られており、学びの素材としては、非常に興味深いものがあります。しかし、東京から800キロも離れた、飛行機や汽車を乗り継いで、片道4,5時間も掛かるような場所にあるこの場所に、例えばその科目の全履修者数十人と訪れて現地調査(フィールドワーク)を行うことなど、絶対に無理でしょう。考えられるトラブルだけでも数限りなくありますし、多くの時間と費用を用意しなければならないと共に、現地の方にも多大な手間を掛けることになります。

 しかしオンラインでは、こうした問題は全て解決します。その上、このプロジェクトでは、現地の公務員や地域活性化のコーディネータの方の他に、町長や現地の居住者である漁師さんにも、オンラインでのスピーチをお願いいたしました。自治体の首長さんは、公職ではありますので、頑張ればなんとか授業のゲストにはお呼びできそうですが、それこそ50年も漁業関係の仕事をしてこられた方を、時間と費用を掛けて授業にお呼びするのはまず不可能でしょうし、教壇でお話しいただくことに馴染むかどうかわかりません。何よりご本人が嫌がるでしょうし。
 このプロジェクトでは、町長には初回と成果発表には最後までお付き合い頂きましたし、何より漁師のおっちゃんの話しには、履修学生の皆が惹かれて行ったのがわかりました。50年も漁業の現場にいれば、面白いエピソードもたくさんお持ちですし、実に博識だということに驚かされました。聞くところによると、オンラインのスピーチを聞いておられた奥様も、その豊かな話に驚いていたそうです。

 オンラインを使った学びは、こうした新しい何かを学びの現場にもたらします。実は、都市部で学ぶ学生の大半は、地方になど対して興味、関心を持っていません。はっきり言って、「地方創生」と称して華々しく喧伝されている諸々は、都市部には殆ど伝わっていないと言っていいでしょう。
例えば以下の記事には、過疎や地方に対する学生の意識調査の結果について述べています。

 つまるところ、地方に関する諸々は、地方と繋がりを持たない人には伝わっていないというのが実態です。こうした理由から、私たちは、オンラインを使って、過疎地を知る様々なプロジェクトを始めています。それを通して地方創生について知って行きたいと思っています。自分の暮らしている半径数キロだけじゃなく、約3,000キロとも言われている、この国の中を少しでも理解すること、そこから未来の姿も考えることが出来るんじゃないかと思っています。

1.今回は長野県木祖村、木曽川の源流地域です

・木祖村、知ってますか?

木祖村(きそむら)は、中部地方(甲信越地方、信越地方)・長野県の中信地方(木曽地域)にある村(木曽郡)です。面積は 140.5平方キロメートル、長野県内では 32番目に面積の大きな自治体です。人口は 2,675人(2020年5月1日推計)、長野県では 63番目に人口の多い街です。

恐らく、地域の紹介としては上記のような感じになるでしょう。そこに観光名所などの情報が付け加わるのが普通です。例えば

中山道の宿場町「藪原宿(江戸から35番目の宿場)」、尾張藩鷹匠役所跡、飛騨街道・権兵衛街道分岐点、本陣跡、宮川家史料館(宮川漆器店)、防火高塀跡、お六櫛問屋篠原商店、高札場跡、一里塚跡、藪原神社、極楽寺、宮川家史料館(宮川漆器店)、やぶはら高原スキー場、信州やぶはら高原こだまの森、水木沢天然林(平成の名水百選)‥

あえて、問題提起をいたしますが、これを知ったことで、何かその地域のことを理解しましたか?
 旧中山道は、板橋宿(東京都板橋区)から始まり、大津宿(滋賀県大津市)まで、69宿からなります。その35番目の藪原宿を中心とした地域と言っても、数多ある市町村の中の木祖村の、他との違いを示す要素でしかないわけで、特に木祖村について何かがわかるわけではありません。また旧跡や行楽地が村内にもありますが、それも地方には数多あるものであり、木祖村そのものを理解するということには繋がりません。

 本講座では、木祖村に関する様々なデータを活用して、この村を分析します。基本として用いるのは、国勢調査のデータです。日本では、近代国家になってから、5年に一度、西暦で0と5の年の10月1日に、全市区町村の全国民に対して、居住地や年齢、職業等々様々なデータを収集し整理して公開しています。そのデータを使って、コーホート分析などと呼ばれている手法を使って、地域をプロファイリングして行きます。これだけでも、ある地域の時間軸に沿って概要の把握をすることができます。その後、実際に現地に足を運んで、フィールドワークを行うわけですが、今回は完全オンラインで実施します。StreetViewや地域おこし協力隊の方による、オリジナルの映像などを使って、バーチャルなフィールドワークを行います。
 その上で、この村のコンテンツを制作してみます。分析だけではなく、分析結果を用いて何らかの制作を行うことで、より深くこの地域を理解することもできるようになります。こうした一連の木祖村の分析そして成果の制作を、本講座で展開することになります。

・講座内容

講座は、2022年7月から~8月、毎週土曜日に1時間ほど、以下のような内容で、全5回を予定しています。

① 7月9日(土)10時半~70分 「キックオフイベント&木祖村概要」
② 7月16日(土)10時半~70分 「地方創生学入門&木祖村詳細」
③ 7月23日(土)10時半~70分 「木祖村を歩く」
④ 8月6日(土)10時半~70分 「木祖村の人と話してみよう」
⑤ 8月20日(土)13時半~90分 「成果発表&クロージング」

※第五回は、当初8月13日を予定していましたが、都合で20日に行うことにします。

すべてオンライン(Zoom)で行いますが、録画をオンデマンドでも公開しますので、上記スケジュールに合わなくても大丈夫です。都市部で学ぶ大学生の他、若手社会人や新たな学びを求める方なども歓迎いたします。

・ この講座で学べる事

 大きく2つの目標を設定しています。まず、現代社会が抱える大きな問題である、地方と過疎の現状を理解し、「地方創生」政策とその実際を理解すること。その具体的な事例として木祖村を取り上げますが、学びを通して木祖村と新たな関係性を創ることにもなります。
 さらに新しい学びの手法であるプロジェクト学習(PBL)を体感し、コンテンツ制作について学びます。プロジェクト学習(PBL)とは、2010年以降に広まってきた、アクティブラーニングと呼ばれる参加型の学習手法の一種で、ゴールとしての課題を決めてそれに向けて学びを行う手法です。初等中等教育では盛んに行われていますが、近年では大学でも実施され始めています。今回の課題は、「(木祖村の)物語型コンテンツ」の制作です。最新のコンテンツマーケティングとその制作についても取り上げます。

・申し込み等

申し込み: http://japanlocal-kisomura.peatix.com

問い合わせ: kisomura@japanlocal.net

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