政策ニュース映画に記録された時代を探る②(#17 ニュース映画で現代社会を勉強しましょう)
政策ニュース映画に記録された時代を探る②
高度成長期には、社会において市民生活の様々な局面での変化が、同時に進行して行きました。これらを理念的にだけではなく、動画によって実際の姿を検証できるのは、非常に貴重です。
ここでは、高度成長期の出来事を、人々の姿、インフラの発達、市民生活、社会の諸相の4項目に分けて、分析して行きます。前にも述べたように、敗戦後の状態から、復興、成長に向かっていったのは、朝鮮特需を切っ掛けにするマクロな出来事でしたが、それが、市民レベルのミクロな社会変化にどう表れたのかを明らかにする目的です。
人々の姿
◎高度成長期の市民像はどうだったんでしょうか
・人口ボーナス
労働力増加率が人口増加率よりも高くなることにより、経済成長が後押しされること。子どもと高齢者の数に比べて、 働く世代(生産年齢人口:15~64歳)の割合が増えていくことによって経済成長が後押しされる状態を言う。
・所得、平均寿命
1950年の時点で、国民一人あたりの所得は124ドル、アメリカの14分の1だった。平均寿命は、男性58歳、女性 61.5歳だった。
インフラの発達
◎社会を支えるインフラはどのように発達していったのでしょうか
・エネルギー革命
1950年頃までは、石炭が、工業・鉄道・都市で使用される最大のエネルギー源だったが、石炭から石油への転換により、合成繊維、プラスチック、家庭電器などの技術革新などが進んで行った。
・交通
東京オリンピック(1964年)に関連して、首都高速1号線をはじめ、多くの交通インフラが整備されていった。
市民生活
◎人々の暮らしはどう変化していったのでしょうか
・子供の役割
かつて、労働と家族が直結していた時代では育児を含め家事の多くが家族全員の仕事であった。高度経済成長期以降、 家電の普及、家事の外部化により家事時間そのものは減少して行った。
・家族生活の変化
産業構造の転換に伴い、急速にサラリーマン化が進む中で、核家族世帯の中で「夫は外で仕事を、妻は家庭で家事・育児を担う」という役割分業が確立し、1970年代までは、家事労働に専念する専業主婦の数は増加し続けた。
・文化、風俗
例えば、戦前は、女性は和装、男性は家では和装、外では洋装が一般的だったが、特に戦後、働く女性(デパート店員、車掌、スチュワーデス)の登場により、特に都市部では女性の洋装が一般的になっていく。
・コミュニティ
高度成長期以前まで、都市では自治会等が、農村では伝統的な村落共同体が形成されていたが、高度経済成長の過程で、都市では新住民の急増、住民層の異質化と流動化により、地縁を基盤とした地域共同体が崩壊して行った。
社会の諸相
◎その他に、社会の様々な側面における変化には何があったのでしょうか
・流通革命
所得水準の向上にともない大量生産、大量消費をはじめとする大衆消費社会が到来し、小売部門では零細過多の小規模小売店と百貨店に加えて新業態であるスーパーマーケットの登場によ り第1次流通革命が起こった。
・一次産業
1955年には、就業者数の41%を占めていた第1次産業は、鉱工業生産の拡大に伴う第2次産業への大幅な就業移動によ り1960年には第3次産業にその座を明け渡し、更に1965年には第2次産業の就業者数をも下回るに至った。
勿論、これで全てではありませんし、この分類がベストかはわかりませんが、これで大体の市民生活にまつわる変化が見えてくると思います。但し、こうした高度成長期の特徴を、いくら言葉で説明されても実感できないと思います。
これらの特徴を、政策ニュース映画から探していきましょう。現状で、纏まって政策ニュース映画を観ることができるのは、川崎市政ニュース映画の他、茨城県政ニュース、浜松市政ニュース、一宮市政ニュース、静岡県政ニュース、岡山県政ニュースなどがありますので、以下にリンクを示しておきます。各々、地域性があり、ニュース映画の題材も異なっていますが、高度成長期前後に通底するこうした変化が、共通して記録されています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?