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画像一枚でファンにどれほどのインパクトを与えるか。【プロレスリング・ノア】
4月29日(木・祝)名古屋国際会議場にてプロレスリング・ノアのビッグマッチ『NOAH the GLORY』が開催される。今大会におけるプロモーションで、話題になったポスタービジュアルについてご紹介する。
ビジュアルとは「ワクワク感の可視化」
名古屋国際会議場は、これまでも大会を開催している中規模会場のひとつだ。しかしこれまでと違うのはノアの最高峰である『GHCヘビー級のタイトルマッチ』が行われることである。
これは運営として最大限に盛り上げなければいけない。既存のノアファンの方にはもちろん、多くのプロレスファンに現在のノアを見てほしい。そんな思いを強く持った。そこで、これまでと違ったポスタービジュアルを制作することにした。
プロモーションにおいて、ビジュアルを作る理由のひとつは、お客さまの「ワクワク感を可視化すること」である。
例えば文字だけで、『GHCヘビー級選手権試合 武藤敬司 VS マサ北宮』と、だけ書かれているものと、ビジュアルがあるものでは人の目につく数も違うし、そのイベントへの期待感も変わってくる。
ではどういうビジュアルを作れば盛り上がるのか? これには必ずしも正解があるわけではない。誰と誰が対戦するのか、どういうシチュエーションなのか、いつどこでやるのか、こういった諸々の背景で見方が変わってくる。
どれがお客さまに引っかかるかわからないからこそ、ディレクション組は多くのパターンを試して制作する必要がある。今回はおよそ七つのビジュアルを作り出した。
反響が大きかったビジュアルの制作過程
中でも、一番反響が大きかったポスターの制作過程を紹介する。
名古屋大会では、『GHCヘビー級選手権』の他にも魅力的な対戦カードがそろっている。その内のひとつが『GHCナショナル選手権 藤田和之VS杉浦貴』だ。
まず最初に、この対戦カードの背景を整理する。
・現在ベルトを持っているのは、PRIDEで暴れまわり野獣と呼ばれた藤田和之
・挑戦者は50歳を超えても鋼鉄の肉体を持ちノアの強さの象徴、杉浦貴
・杉浦軍という同じチームでありながら、杉浦本人の希望で決まったタイトルマッチ
つまりこの対戦は、「同じチーム内での強さを争いたい」という一風変わったもの。まさに『怪獣大戦争』なのである。
ちょうどゴジラVSコングの映画が5月に公開される。この二人の闘いはそういうイメージにかなり近いなと思った。
出典:https://godzilla-movie.jp/
公式のビジュアルも、カッコよくわかりやすく、痺れるデザインだ。
このビジュアルに、藤田VS杉浦に当てはめてみる。しかし何かが違うと思った。たしかに怪獣同士が闘うイメージで近いのだが何か足りない。しばらく考えてみて、ハッとした。そうだこの二人には「歴史」がある。
二人は何十年と闘ってきた。その何十年の重みを表現するようなデザインにしよう。そうして出来あがったポスターがこれだ。
昔の怪獣映画風のポスターすることによって、藤田VS杉浦の「歴史」の要素を表現した。このデザインが公開されると、あっという間にSNSで大きな反響があった。普段ノアのことを呟かない方まで称賛のコメントを出してくれた。
思わずガッツポーズをした! この流れに乗って、メインイベントとなる武藤敬司VSマサ北宮の同様のテイストで制作した。
58歳でノアのトップに君臨する武藤敬司。立ち向かうは32歳の若手、マサ北宮。現在の二人の構図を強くイメージしたレイアウトにした。武藤選手の大魔王感、マサ北宮選手の当たって砕けろ! 感を、うまく表現できたと思う。
こちらも大きな反響を呼び、この2種類のビジュアルはグッズ化され、ポスターとTシャツになって販売される事となった。きっと当日会場でこれを着ている人がいたら、嬉しくて嬉しくてニヤニヤしてしまう。
画像一枚でモノの価値を変える!
クリエイティブは「モノの価値を変える事が出来る」とサイバーエージェントのクリエイティブ部門のトップである佐藤洋介(シュガー)さんが言っていた。
たかが画像一枚かもしれないが、画像一枚でこんなにも多くの人の心を動かす事ができる。運営として、これからもプロレスに新たな価値をどんどん与えていきたいと思う。
協力:プロレスリング・ノア
https://www.noah.co.jp/