回転木馬
Ⅰ
回転木馬にのって
木馬とともに
まわるまわる
音楽もまわる
空気もまわる
時間もまわる
まわるまわる
みんな うしろへ うしろへ
昨日のこと
ずっと小さかった頃
思い出しては消えて
消えては追いかけてくる
やがて
音も 空気も 時間ももどり
現実の時を歩む
少し惚けたような
顔をみあわせて
なんとなく
はにかんだ笑みをかわす
Ⅱ
1日
動かず走っている
動かずまわっている
仲間を追いかけ
歓声を追いかけ
音を追いかけ
夜更け
ひそやかに音楽が流れ
支柱をつけたままの木馬たちが
台座をはなれ静かな空を
ふわふわ走っている
眠らない町を
見下ろしながら┉┉
*2001年10月詩誌「爪」64号あいださとこ作品