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二0二四・元旦

              武井和子

朝から黄金色に満ちてくる
大空いっぱいに
希望が波のようにひろがって
起きよ   と
ものみなすべてに  語りかける

すると  鳥が歌い出し
露にぬれて花は輝き
木々の枝は
糸のような先っぽにまで
新鮮な力を巡らせはじめる
それがいつもの能登の朝

こんな美しい当たり前が
突然に揺れて揺れて
崩れて  裂け  壊れて
押し潰されて  人が死んだ

なんとむごい
老いたわたしにできるのは
祈り祈り祈り続けて
傷む心に涙を注ぎ
この災いと不条理を
歯噛みして苦しんで
祈りを忘れず怠らず
ただそれだけを握り続けていくこと
そう生きなければ老いの日々を┉┉

※詩誌「爪」146号

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