月夜の散歩
吉川葉子
急な坂道をのぼりきると小さな丘のうえ
ぐんと広がる空に
お月さまがもっと近くなる
真珠のたまのように
やわらかなやわらかな やわらかなあかり
からだじゅう
すみずみに しみてくる
…と
風にのって
どこかの家からハーモニカの音
ー ふけゆく 秋の夜…
月の光の風を吸って
わたしもいっしょに 歌う
*2001年10月詩誌「爪」64号吉川葉子作品
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