ネンネ ネンネ
三間由紀子
薄汚れた毛布を引きずって 歩いている
この子
これは なぁに
コレハ ネンネ
お菓子がもらえない
おもちゃを貸してもらえない
ネンネ ネンネ とほおずりすれば
焦れる気持ちを
ネンネは しっかり 抱きとめる
大事に護られている はずなのに
おんぶも だっこも せがむままなのに
それでも
ネンネが 必要
それでも
ネンネは 支え
今 長い時間がたって
私にも
宛てのない思いを抱きとめる
人肌のような ネンネが あれば
ネンネ ネンネ と
あふれ出る気持ちを
余さず 吸い込む 柔らかな何か
が あれば
*2019年8月詩誌「爪」133号三間由紀子作品