かわらない毎日
渡部千津子
Ⅰ 朝
あ おひさま
カーテンのすきまから きょうのきぼう
ときがすぎて あたらしいいちにち
なにかしなくては でも なにを
Ⅱ それから
紅茶はストレート
トーストにはジャムをたっぷり
新聞のコラムを声に出して読む
それでおわり あっというまの朝ごはん
それから かんがえる
なにをしようか
Ⅲ そうして
手紙を出しにいこう
街まで出て 花を買おう
ならば 公園経由にしよう
年相応にゆっくり歩いて
思い出ベンチの銘板を読みながら
老いた桜の幹をなぜながら
Ⅳ ただいま
玄関の鍵を開けて 昔からの習慣
ただいま みなさん ただいま
どこからか 見守ってくれている人々に
ありがとう のかわりの ただいま
それから テレビをつける
とりとめなく 時にながれこむ
Ⅴ おやすみ
まくらもとに本とめがね
楽しい頁 優しい頁を 開いて
ゆっくり きょうも おわるよ
※詩誌「爪」146号
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