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家計の負担感は数値化しよう ~感情論だけでは見えないこと~
昨年の衆院選以来、家計の負担増への関心が高まる一方となっています。税制、物価、金利、賃金と、ニュースにならない日が無いですね。加えて、NISAや為替を中心に資産形成の話題にも事欠きません。
ニュース記事は庶民の不満や不安の感情を煽るような書き方が目立ちますし、実際に日々の買い物で目にする物価高と毎月の手取り収入の変化の無さにため息が出る状況の方々が多数であるでしょうから、国全体で各家庭の家計への負担感が上昇しているのではないでしょうか。
しかし、ため息をついているばかり不満を口にしているばかりでは何も良くはならないので、できるだけ普段から家計収支を見える化しておいて、ご家庭のしかるべきタイミングで点検をし「かせぐ、つかう、ためる、ふやす、つなぐ」の改善につなげることが必要です。
その中でも、「つかう=支出」について、固定費と変動費に分けて把握をし、圧縮・削減をすべきところは堅実に対策し、つかうべきところは気持ちよくつかう、といったメリハリを利かすことが実質的な家計改善・負担感の緩和につながります。
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支出を分解してみましょう。項目ごとにご家庭の支出の実際を書いてみることをおすすめします。(年単位または月単位)
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以上をご家庭のみなさんで話をしながら書き出すだけでも、はっきりと認識していなかった支出が明らかになったりするものです。ほったらかしにして忘れていたサブスクリプションの発見などは典型例と言えますね。
念のために申し添えますが、ご家庭のみなさんで書き出すときのNG行動は「非難する」「問いただす」などの反射的感情的なネガティブ行動です。お金の話なので、ついつい自分以外のこととなると文句のひとつも言いたくなるものですが、まずは、みなさんが冷静に事実を受け止めることが何よりも大切な場面です。
全てがテーブルの上に載ったところで、まずは固定費から改善できそうなところを吟味しましょう。固定費は決まった支出ですので、改善できればその効果は高いです。その後に変動費の中でも固定費的な支出になっているものに着目するとよいでしょう。変動費で完全にイレギュラーに発生しているものは一時的な改善しか見込めないので、どちらかと言うと効果は低いです。
家族一人ひとりに付いている個別の支出については「自分は家計改善のために何を差し出せそうか」をお互いに出してゆくとよいでしょう。ここでは、「自分が出来そうもないことは無理をしない」ことを大事にして、みなさんがお互いに本音を打ち明けられる場をつくることが肝要です。
このように支出を吟味した上で、家庭全体の収入の合計額との比較をし、いくらの剰余金が残るのか、確認しましょう。(この剰余金を使ってどのように資産形成をおこなってゆくかがこの後に続くのですが、今回はここまでとします。)
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このようにして、一度家計収支の現実感を把握しておけば、しかるべきタイミングで再点検しながら、改善の成果を実感しながら、家族の楽しみを増やしたり、新たな経済動向による変化への対応に備えることが出来るでしょう。家計の負担感も「なんとなく」ではなく、項目ごとに時系列で数値化され具体的になります。さらには、改善の目線を持つことが、働くことへの前向きな意欲を高めることにもつながります。
ご紹介になりますが、公益財団法人 生命保険文化センターが提供する「e-ライフプランニング」サイトで、家計収支やマネープランのシミュレーションができるようになっています。使いやすいサイトだと思いますので、ご関心のある方は試しに使ってみてください。
e-life-planning
また、総務省統計局から毎年8月上旬くらいに「家計調査年報」が公表されています。年報では「家計の概要」で1年間の大きな動向を知ることができますので、まず概要を知っておくことはよいことではないかと思います。
統計局ホームページ/家計調査
世の中には様々な情報が溢れており、その情報に感情を左右されることは避けようがなく、仕方のないことですが、やはり大切なのは自身のご家庭の家計の実態をしっかり把握し(これこそが本当に必要な情報)、現実的な対処を考え行動することだと思います。その上で、少しでも経済的な安心を得られればよし、でしょう。みなさんが、頼れるのは自分自身だと思って、主体的に家計に向き合うことを願っています。
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今回は、家計の負担感は数値化しよう、についてお話しました。私は会社勤め(企業内図書館/企業内キャリアコンサルタント)との複業でライフキャリアデザインカウンセラーとして個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いを志しております。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげてまいります。ご関心を持っていただいた方、ご相談事がある方は、どうぞお声がけください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。