ドミニオン拡張何買う問題
ドミニオンやってるかい?
知っている人には不要の解説だが、ドミニオンはボードゲーム。
デッキ構築型と呼ばれる1ジャンルを築き上げた金字塔であり、非常にエキサイティングなボドゲだ。
https://store.steampowered.com/app/1131620/Dominion/?l=japanese
最近Steam版が正式リリースされた(基本プレイ無料)ということで、筆者の周りでも触れる方が増えており、それに伴い「どんな拡張がオススメ?」という話題が出てくることがあった。
この記事では、ドミニオン全拡張について筆者の所感とおススメ度を紹介。
(第二版は考慮せず)古いものから順に紹介していく。
点数まとめ
評価方法
オススメ度
面白さ
不快さ
カードパワー
複雑さ
運ゲー度
の6項目で評価していく。
オススメ度……☆1~☆5
トータルのオススメ度合。これが高いほど総合評価が純粋に高い。
他項目や内容にピンと来なければオススメ度だけ見ればいい。
面白さ……☆1~☆5
サプライ(最初の10枚のこと)に並んだ時、プレイ時の面白さ。
それがすべてでは?と思うかもしれないが、ドミニオンは意外とそうでもない。
強いけど運要素が強い面白くないカードや、面白いけど弱くてどうしようもないカードなどがあるため、面白い=オススメとはならないのが好きなところ。
不快さ……☆1~☆5
カードを使った際、使われた際にどれだけ嫌な思いをするか。
大変にネガティブな項目だが重要。アタックカードや嫌がらせが大好きな人種はいるもの。
そしてドミニオンではそれが肯定される。ドナルド(ドミニオン開発者)も言っていました。
カードパワー……低・中・高
収録されているカードのパワー。高ければ高いほど全体的に強力なカードが多いことを示す。
とはいっても、一部の突出したパワーカードとどうしようもないカードが同居していたりするので、正直筆者のさじ加減でしかない。
カードパワーが高くなると、プレイ時に起こる出来事が派手になって楽しい面もあるが、過度にプレイが安定してしまったり、一人当たりのターンが長くなったり、逆にゲームスピードが速くなりすぎてしまうこともあるので、一概に良い面ばかりとは言えない。
複雑さ……低・中・高
ギミックの複雑さ。ルールの難しさも含む。
プレイ難易度ではなく、そもそもの理解の難しさ。ポーションカードはギミック自体は簡単だがプレイングは難しいし、動物の習性はやっていることはわかるがギミックとしては複雑だろう。
これが高いと、純粋に理解が難しく、考えるべきことが多くなるので、ボードゲーム全般にまだ自信がない場合は複雑さが低めの拡張を選んだ方が良いと思う。
逆に、ドミニオンで頭を捻りまくりたい方は複雑さが高いものを選ぶのもいい。
運ゲー度……低・中・高
ドミニオンはどこまで行っても運要素が強く、それがいいところだとすら思ってはいるだが、ゲームで運要素を蛇蝎の如く嫌う人種がいるのも事実。
運要素が高い・低い拡張は存在するので、そこも評価。
基本
オススメ度 ……☆5
面白さ ……☆3
不快さ ……☆3
カードパワー……中
複雑さ ……低
運ゲー度 ……中
ドミニオンの基本のキ。
拡張として購入せずともプレイできるので正直紹介は不要かもしれないが、紙の購入を考えている方向けに一応。
ドミニオンで学ぶべき基本が詰まっており、また基本カードセット(銅貨や銀貨、属州のような勝利点カードなど)がすべて封入されているため、ドミニオンを始めるにはぴったり。
※基本以外の紙のドミニオンには銅貨や銀貨が内蔵されておらず、別途基本カードセットを購入する必要がある。
全体的に役割の無いカードも少なく、シンプルながら奥深いカードが多い。
文句なしでイチオシの拡張だ。
注目カード
礼拝堂
最初にドミニオンが世界に出てから、最強の2コストの一角としてその名を轟かせ続けている超強カード。
わずか2コスで手札を4枚まで任意の枚数廃棄できるその性能は破格。
最近のインフレした4人戦では必ずしも初手安定ではなくなり、より魅力と奥深さが増した。
魔女
呪いの恐ろしさ、初手5-2(銅貨5枚/銅貨2枚+屋敷3枚の形で引くこと)の理不尽を教えてくれる、アタックカードとドミニオンの教科書。
魔女に対抗するには魔女。他プレイヤーに呪いを配れば結果的に自分に飛んでくる呪いの数は減るぞ。
市場
基本的な効果が詰め込まれた、実に味わい深いカード。
5コス払って買うには少々弱く、しかしどうしても欲しいことがある。
購入が増えない場、ドローカードが弱く、なかなかデッキが強くならない場、アクションが増えない場。どんな場で使うか実力が試される。
陰謀
オススメ度 ……☆2
面白さ ……☆3
不快さ ……☆5
カードパワー……高
複雑さ ……低
運ゲー度 ……高
良いカードは多いのだが、アタックカードの強力さがどうしても目に付く。
「楽しいドミニオン」を考えればどう考えてもオススメはできない。一人が気持ちよくなり、他は嫌な思いをするからだ。
本気でドミニオンの勝敗を競う場合は面白く腕の出るカードが目白押しなので、戦いたくなったプレイヤーは是非。
注目カード
仮面舞踏会
3コストなので安定して初手に購入でき、ドローしながら廃棄を進めることができる強カード。
これとコインだけでデッキを作る、いわゆる「仮面ステロ」は生半可なデッキを置き去りにする強さがある。
4人戦ではゲーム終盤にあえて金貨を渡して属州を買ってもらうなど、面白い駆け引きの発生するカードでもある。
なお、手札が金貨金貨金貨属州属州のような場合に拒否もできないし、横から呪いを渡されることもある。しかもアタックカードではないので「堀」では防げない。流石は陰謀といったところである。
橋
ドミニオンにおいて、カードのコストを下げる効果を「橋効果」と呼ぶのはこのカードがオリジナルだ。
橋を7枚並べると属州が1コスとなり、+7コインと8購入が出ているため属州を7枚以上一気に買うことができる。
属州がそんなに残っていなくても、公領は0コスになるため余った購入で公領を好きなだけ獲得できる。
このコンボは「ビッグブリッジ」と呼ばれ、ドミニオンの華だ。
詐欺師
相手のデッキの銅貨を呪いに、5コスを公領に変換するとんでもカード。
初手5-2で5コスアクション購入からの詐欺師被弾でゲームが3ターン目に終了することもしばしば。
屋敷がめくれれば屋敷を獲得するため被害ゼロ、どころかデッキが掘れてプラスという、大変にプレイヤー格差を生じさせる恐ろしいカード。
拷問人
ドミニオン最凶アタックの一つ。
廃棄の無い場で拷問人拷問人拷問人と打たれ、手札が0になり次ターン泣く泣くパスを選ぶ経験はトラウマになるには十分。
4人戦では2人程がデッキを構築でき拷問人を打ち続け、残りの二人は手札をすべて捨ててパスし続けるハメになるのがよく見られる。
筆者の陰謀の評価を下げている主因。
拷問人を受けたとき、萎えて辞めるか、今度は俺がやってやると奮起するかでドミニオンの才能を図れるという話も。
海辺
オススメ度 ……☆2
面白さ ……☆3
不快さ ……☆2
カードパワー……高
複雑さ ……中
運ゲー度 ……低
テーマは持続カード。オレンジ色のカードが持続カードだ。
持続カードは一度使うと次ターンにも場に残り続け、基本的に利益をもたらしてくれる。総じて運要素を減らし、デッキの安定化に寄与する。
現在の海辺は第二版であり、「海賊船」「大使」「沼の妖婆」「幽霊船」といった凶アタックカードたちが削除されている。
(後述するが)彼らは消えて当然のカード達だった。しかし、筆者からすると代わりに収録されたカードたちはイカれ具合が足りず、第二版は不快度は低下したものの、魅力を落としてしまったと筆者は感じている。
紙でプレイする際、持続カードはうっかりターン終了時に捨ててしまいがちなのもマイナスポイント。デジタルでやる分には構わないが、紙でプレイするには少々面倒。
注目カード
漁村
何度思ったか。手札に村(+2アクションを出すカードの総称)があれば、と。
このカードは持続という形でその思いを叶えてくれる。次ターンの+アクションが約束されているのはなんと素晴らしい。
さらに、オマケにしては大きすぎる+1コインもあり、3コスと買いやすい。
サプライ(最初の10枚)に出てくれば高確率で取り合いになる、人気カードだ。
サル
直前のプレイヤーがカードを1枚獲得するたびに1枚引ける持続カード。
コインを買って属州を買うようなシンプルな場ではあまり輝かないが、毎ターン5枚も6枚もカードを獲得するようなゲームでは1枚でデッキ全てを引ききってしまう可能性もある、ポテンシャルの溢れるカードだ。
アタックカードでこそ無いが、このカードが持続されていることで購入や獲得を躊躇わせることもある、駆け引きが深いカードでもある。
どうでもいいけど、リアルタッチ過ぎて結構顔が怖い。
船着場
超強力なドローカード。
1枚で4ドローに購入までついてくる。
ターン始めのドローはただ2ドローするよりも遥かに強力で、安定感と最終的な爆発力の両方を生み出す。
海辺屈指のパワーカードであり、奪い合いは必至だ。
錬金術
オススメ度 ……☆1
面白さ ……☆1
不快さ ……☆5
カードパワー……高
複雑さ ……低
運ゲー度 ……高
ハーフセットと呼ばれ、内容カードが少ない。
目玉ギミックはポーション。これがまた大変な曲者で、プレイすればわかるが、あまりにも運に左右される。
しかもポーションを要求するカードの多くは大変にカードパワーが高く、これがまた始末に負えない。ポーションは運要素が強すぎるから気持ち的には買いたくないのに、カードが強すぎて勝つために買うことを強要されるのだ。
(1枚でポーションを買う理由にしなければならないので、カードパワーが高くなるのはしょうがないことではあるのだが……)
更にこの少ないカードプールの中でもドミニオンワーストアタックである「支配」、ドミニオンで最も買われないカードである「変成」など質の高い最悪カードたちを抱えており、筆者的最もオススメできない拡張の一つ。
一方で、ポーションをうまく乗りこなせるようになったドミニオンプレイヤーは最上級。運要素を冷静に勘案しながら勝ち切れる真のドミニオンプレイヤーになるためには避けては通れない。
楽しいだけのドミニオンはもう終わり、向き合いたくなった時にポーションはこちらを見ている。
注目カード
ブドウ園
初見では見抜きにくい超強カード。
特に2人戦においてこのカードがサプライにある時、無視した瞬間にゲームが決することもある。
一度は使ってみることをオススメする。
賢者の石
「賢者の石」という大層な名前。
3+ポーションという買いづらいコスト。
山札と捨て札の合計枚数(手札は含まない!)によりコイン出力が変わるというユニーク且つクソザコな能力。
オマケに使うたびに山札と捨て札の枚数を数えなければならないという紙でのプレイフィールの最悪さ。
どこを取ってもネタ要素満載の、錬金術屈指のお笑いカード。
コイツをうまく使えた暁には、変態ドミニオンプレイヤーの称号を進呈。
ゴーレム
山札から2枚のアクションを使用できる、ロマンあふれるカード。
効果は超強力なのだが、4+ポーションというコストが重く、うまく使うにはデッキビルディングの腕が試される。
「ゴーレム」を使う際は、高らかに「ゴーレム発進!」と叫びながら使おう。イラストを見る感じ、どう考えても発進するタイプのゴーレムではないが……。
繁栄
オススメ度 ……☆5
面白さ ……☆4
不快さ ……☆1
カードパワー……高
複雑さ ……低
運ゲー度 ……中
目玉は植民地場の追加。
植民地場では、11コスト10点の巨大勝利点である植民地と9コスト5コインの白金貨(プラチナ)がゲーム開始時に追加される。
より高ランクの勝利点があることで、ゲームが全体的に長引き、より強力なデッキを組む猶予が生まれるのが特徴。
ドミニオン初心者にもわかりやすく、属州場とは一味違うゲームが楽しめる。
内蔵カードも癖もありつつ使い勝手のいいカードが揃い、ドミニオンはまだ難しいけど、基本に少し飽きたかも、という人にはイチオシの拡張だ。
注目カード
望楼
普通に使った時の効果も悪くないが、真価はリアクション部分。
「カード1枚を獲得したとき」に手札から公開(捨てなくてもいい=何度でも使える)することで、「そのカードを廃棄か山札の上に置く」ことができる。
例えば相手が呪いを撒いてきたとき、自分はその獲得する呪いカードをそのまま廃棄できる。
また、強いカードを獲得した時、それを山札の上にそのまま送り、すぐさまドローで確実に使うことができる。
相手の攻撃の対抗策にも自分のデッキ構築の助けにもなる汎用性の高いリアクションと、使い勝手のいいメイン効果を兼ね備えた、優秀なカードだ。
大市場
「市場」の+1コイン効果が+2コインになっただけの、まさしく「大きくなった市場」だが、その差は絶大。
それだけに「銅貨を場に出している間、このカードを購入できない。」というデメリットがついており、銅貨の廃棄や、銅貨を無視して6金出せるだけのデッキ構築が求められる。
一度「大市場」を買ってしまえば次の「大市場」が更に買いやすくなる。対戦相手に差をつけろ。
宮廷
巨大「玉座の間」。
ただ、2回使用が3回使用になった差はとんでもない。
玉座→アクションカードでは玉座とアクションカードの2枚を使って、アクションを2回使用で2枚で2枚分の仕事をしているため名目上得は無い。
しかし「宮廷」では宮廷→アクションカードで2枚を使い、アクションを3回使用する。2枚で3枚分の仕事をするようになるのである。
更に、宮廷→宮廷→アクション×3×3が出来れば宇宙。5枚が9枚分の仕事をするようになる。
大振りながら応用も効く、繁栄を代表するようなビッグアクションカード。
収穫祭
オススメ度 ……☆3
面白さ ……☆4
不快さ ……☆3
カードパワー……中
複雑さ ……低
運ゲー度 ……中
錬金術と同じくハーフセット。
全体的にカードの質が高く、パワーカードが数枚……というよりはどれも優秀という感じ。
今まで紹介したセットと異なり、特にこれがこうだからオススメ!のようなアピールポイントは少ないが、減点も非常に少なく、あったら面白いというようなちょっとしたスパイスに最適の拡張。
ドミニオンに慣れ、拡張がそろってきて、このカードが欲しいな~と思ったら買おう。
注目カード
馬上槍試合
テキストが長いが、要するに
・誰かが属州を見せないと+1アクション+1ドロー+1コイン
・誰かが属州を見せると+1アクションのみ
・自分が属州を見せると捨て札にして、「褒賞カード」か「公領」1枚を山札の1番上に獲得する。
褒賞カードは非常に強力で、+2カード+2アクションでありながら様々な状況に対応できる名馬や、民兵+魔女に(デメリットとして)屋敷がついてくる郎党など。
馬上槍試合がある試合では、まさしく馬上槍試合のように各プレイヤーが属州を我先にと競い合う姿がみられる。
魔女娘
4コストの魔女。
デメリットとして手札を2枚捨てなければならないが、序盤であれば屋敷などの要らないカードを捨てればいいので本当にほぼ魔女である。
4コストで魔女が買えることの恐ろしさはプレイすれば痛いほどわかる。
特徴的なのは「災いカード」。
10種類のサプライ(最初の場のカード)に更に1種類コスト2or3のカードが加わり、そのカードは魔女娘限定の「堀」の役割を果たす。
これが「村」のような優秀なカードならいいのだが、そうで無ければデッキに積むのは躊躇われる。
結局のところ4コスの魔女であり、恐ろしいカードなのは間違いない。
豊穣の角笛
特殊な財宝で、一切コインが出ない代わりに、出したときに場のカードの種類に応じてカードを1枚獲得できる。
「豊穣の角笛」の効果でパーツを高速でかき集め、カードを8種類並べて大量に属州を獲得するコンボが有名。
普通に使っても場に3~5種類程度はカードが並ぶため、アクション権を使わない工房のように用いることができ、これがある場では速度が上がり、よりデッキ構築の実力が出る。
道化師
自分のデッキの強化、相手のデッキの汚染を同時に行いながらしっかり2コイン出す、恐ろしいカード。
2人戦でも強いが4人戦だと更に強力になり、一発打つと5コスのカードが3枚手に入る、なんてことも起こりえる。
また、銅貨や呪いが多くなればなるほど銅貨や呪いのヒット率が上昇するため、誰か一人はデッキが銅貨13枚とかになってたりする。かわいそう。
異郷
オススメ度 ……☆5
面白さ ……☆5
不快さ ……☆1
カードパワー……中
複雑さ ……低
運ゲー度 ……低
コンセプトは「獲得時効果」。(アクションとして使用しなくとも)カードを獲得した瞬間に効果を発揮するカードが多く収録されている。
が、正直あまりコンセプトは重要ではなく、この拡張に収録されているカードは非常に平均レベルが高い。
どれも技量が出つつ、一方で理解がしやすい。
セット内での相互シナジーコンボも多く、アタックカードも強力ながら雑に積めば強いといったことも無くバランスが取れている。
異郷は第二版。何枚かのカードが消され、その枠に追加カードを与えられている。
以前の異郷は基本的に積まないしそんなに面白くないカードや、余りにも需要がニッチ過ぎるカード、初手からゲームをぶっ壊すカードなどがちらほらいたのだが、そいつらが全員オミットされ、代わりに追加されたカードたちがどれも創造性に富んだ素晴らしいカードたちで、弱点のない拡張となった。ただ「シルクロード」は残しておいてほしかった……。
強いて無理やり文句をつけるならば、他の拡張ほどこの拡張一つで爆発的な変化は無く、少々地味目。ではあるものの、シナジーの発揮させ甲斐があり、非常にエキサイティングな拡張となっている。
注目カード
坑道
3コス2点と勝利点としてそこそこの効率。
だが何よりも目を引くのはリアクション効果だろう。「クリーンアップフェイズ(ターン終了時のこと)以外で捨て札にしたとき金貨を獲得できる。」というリアクションは、ドミニオンに慣れていなくても色んなコンボが思いつくのではないだろうか。「地下貯蔵庫」で捨て札にしたり、「民兵」へのカウンターとして用意したり。
更に素晴らしいことに、この「坑道」というカード、適当に積むとかなり弱く、金貨を多く獲得出来たとしても、金貨金貨銅貨屋敷行動で7コインしか出ないなど、事故要因になることが非常に多い。
一方で、ゲーム終盤、7金しか出ず公領ばかり買う羽目になり、「こりゃ負けかな……」と思っていたら「坑道」自身に2点がついているおかげで微妙に勝っていた……といったこともしばしば。
つまり、考えなしに使ってしまうと損をするのだが、一度は試してみたくなる、そして勝ったり負けたりできる、非常に魅力的なデザインのカードなのだ。
よろずや
銀貨を獲得し、屋敷を廃棄しながら、質の良いドローをする。
ステロ※の申し子であり、「よろずや」二枚+財宝のみで生半可なデッキを粉砕するパワーを持つ。
※ステロ:数枚のアクションと財宝を買って属州を買うデッキの通称。定義はよく論争になるが、「1ターンにアクションはそんなに使わないデッキ」くらいの認識でいい
これもまたデザインが素晴らしく、枚数指定のドローと強制的に獲得する銀貨が邪魔で、ゴリゴリのコンボには採用しづらい。逆にその銀貨を廃棄の種(弟子など)にできれば使いようがあり、+購入や工房といった追加獲得手段がない場での唯一のデッキ増加になったりする。
国境の村
村を6コスにして、獲得時5コス以下のカードを獲得できるようにしただけなのだが、それにより広がるゲーム展開は無限。
5コスには強力なドローソースが多くあり、それを村と同時に獲得できることで、プレイヤーたちのデッキ完成時間が爆速になる。
6コスになったことで、「改築」のようなコスト参照カードで属州が得られるようになる。
これがある場ではコンボ※が強いため是非コンボデッキを組みたいが、一瞬でこのカードともう一山くらいが枯れるため、3山枯れが見えてきてゆっくりコンボを組むのはリスクがある。
これが一枚サプライに出るだけで非常にゲームが面白くなる、素晴らしいカード。まあ、6コイン出るかどうかの運勝負は始まるけど……。
※コンボ:組み合わせて強力なカード、という意味ではなく、コンボ(連続してカードを使う)をするデッキのこと。「アクションを1ターンに何枚も使うデッキ」という認識でいい。
暗黒時代
オススメ度 ……☆4
面白さ ……☆5
不快さ ……☆4
カードパワー……高
複雑さ ……高
運ゲー度 ……高
暗黒時代の名のイメージ通り、非常に攻撃的なカードが揃っている。
また固有ギミックも、初期デッキの屋敷を屋敷よりも(状況には依るが)弱体化させる「避難所」や、
アクションになり少しだけマイルドになった呪いである「廃墟」とそれを配る「略奪者カード」
のような、全体的にプレイヤーの動きを阻害するものが多い。
もう一つの軸に廃棄があり、廃棄からカードを回収したり、相手のデッキを廃棄したり、コストとしてカードの廃棄を要求されたりするカードが内蔵。
ここが非常にガチャガチャしていて楽しく、いわゆるカードゲーム的な魅力はひときわ。
運要素は強く、ギミックは複雑で、攻撃性は高い、と悪いところが目白押し。だが、楽しくユニークなカードが沢山。暗黒時代はそんな拡張だ。
注目カード
物乞い
銅貨3枚を手札に獲得するという効果で、わずか2コスながら3コイン出る。
だが銅貨を3枚デッキに加えれば当然デッキの銅貨がモリモリ増えていく。
火を見るよりも明らかなデメリットと、それに相応しい出力があり、悪用のし甲斐がある、ワクワクするカードだ。
死の荷車
わずか1枚で5コイン出る破格の出力。
と同時に、獲得時に廃墟※が2枚ついてきてしまい、かつこのカード使用時に手札のアクションカードか使用した「死の荷車」自身を廃棄しなければならないデメリットが付与されている。
※廃墟:さっき解説した通り、アクションになった呪い。デッキの邪魔者ではあるが、アクションであるため利用方法も沢山ある。「死の荷車」の廃棄コストにもなる。
デメリット付き高出力カードとして扱うことももちろん可能だが、このカードを1枚買えば3枚のカードを獲得できるといった特徴を生かすことも。
サプライによっては予期せぬ活躍を見せるかもしれない。
城塞
暗黒時代を買う理由の一つにすらなる、名誉ドミニオンのオモチャカード。
「廃棄したとき手札に加える」という強烈な効果を持ち、無数の悪用方法がある。
例えば、
・「改築」で廃棄した場合、6コスト以下のカードを獲得しながら、「城塞」はすぐ手札に戻ってくる。
・相手のデッキ破壊で「城塞」が命中すると、そのまま手札に「城塞」が戻ってきて攻撃を無効化した上に手札が増えることになる。
・アクションカードを廃棄しなければいけないようなデメリットカードのコストを踏み倒す。
などなど、枚挙に暇がない。
もちろん普通に村としても有用で、みんな大好きな面白カードだ。
ネズミ
暗黒時代を語るならこのカードは外せない。
効果は1ドロー1アクションに加えて、打つとネズミ以外の手札1枚を廃棄しながらネズミを1枚獲得。
デッキを圧縮しながらネズミを増やす。ネズミを打てば打つほどネズミが増えていくので、まさしくネズミ算というわけだ。
一度使ってみればわかるが、ネズミでネズミを廃棄できないのがミソで、ふと気が付くとデッキがネズミまみれになり全くの機能不全に陥ってしまうことがよくある。
ご丁寧にネズミは特別にサプライに20枚用意される(普通は10枚、勝利点は8 or 12枚)ので、ネズミが無くなる心配も低い(それでも往々にしてネズミは山枯れを起こすのだが)。
イラストのかわいさとフレーバーの豊かさから大人気のカード。
皆も「ネズミかわいい」といいながら、デッキ総金量を0にしてしまおう。
ギルド
オススメ度 ……☆3
面白さ ……☆4
不快さ ……☆1
カードパワー……中
複雑さ ……低
運ゲー度 ……低
目玉はなんといっても「コイントークン」。後の拡張にも採用されるほどの優秀なギミックで、その内容は「コイントークンという形で、いつでも使えるお金をプールしておける」というもの。
つまり、2コイントークンを持っている状態ならば、銅銅銅の3コインをいつでも、2コイントークンを消費して5コインにすることができるのだ。
6コイン出ているときに2コイントークンを消費すれば8コイン分になる。
7コインしか出ず「1足りない……!」という悩みとは無縁になるわけだ。
収録カードの質も全体的に良く、ビックリカードもありバランスがいい。
コイントークンのプレイフィールは非常にいいので、一度試してみてほしい。
注目カード
石工
過払いという、通常の購入コストに加えて過剰にコインを支払うことでなんらかのボーナスがつくカード達がギルドには収録されている。「石工」もその一つ。
その内容は、「追加の支払いと同コストのアクションカード2枚を獲得する」という強烈なもの。
7コイン(5コイン過払い)払えば「石工」+5コストのアクションカード2枚を手に入れられるのだ。
更に「石工」は「3山枯れを超加速されるカード」という面も持っている。
追加獲得効果で「石工」自身も獲得できるため、わずか4コイン(2コイン過払い)払えば「石工」を3枚獲得できる。12コインでほぼ1山を枯らせるのだ。
この性質により、うかうかしていると一瞬でゲームが終わってしまうため、丁寧にプレイすることが求められる。
メイン効果も基本的に弱い廃棄だが、金貨を廃棄すれば公領を2枚獲得出来たりと、使いどころはいくらでもある。
総じて、非常に難易度の高い一枚と言えるだろう。
過払いで勝利点を2枚とることはできない※ので注意だ!
※過払いで獲得できるのはアクションカードのみ
名品
基本は3コスの銅貨。過払い1につき1枚銀貨を獲得できる。
10コイン支払えば「名品」+7枚の銀貨を獲得できるわけだ。
基本的にそんなに大量の銀貨が欲しい場面はないので、大体のゲームでスルーされるが、かなりオンリーワンの性能をしており、このカードでしかできない挙動が沢山あり楽しい。
「駐屯地」というカードがあり、これは「このターン獲得したカード1枚につき次ターンにカードを1枚ドローできる」という持続カードである。
筆者はこれで「駐屯地」→「名品」購入7コイン過払いで次ターン8枚ドロースタート、次ターン「駐屯地」×2→「名品」購入20コイン過払いで次ターン42枚ドロースタートで1ターンで属州を枯らしきったことがある。
オンリーワンの挙動をするカードは何かしらの悪さができるのがドミニオン。そんな楽しさの一翼を担う一枚だ。
肉屋
ドミニオン屈指のパワーカードの一つ。
まず+2コイントークン。この時点で結構強い。コイントークンはとても強く、1つに勝利点1.5点の価値がある※とする言説すらある。
加えてコイントークンを払えば払うだけコストを上乗せできる改築効果。
ポイントは払うコイントークンが完全に自由という点。
1コイントークンを支払って屋敷を銀貨(2→3コスト)にするのがとても強い動きなのだが、他にもコイントークンを使わず呪いを銅貨(0→0)にしたり、金貨を公領(6→5)にしたり、極端な話、コイントークンが有り余っていればコイントークンを8個使って銅貨を属州(0→8)にすることもできる。
強力かつ万能、タイミングを選ばない圧倒的な汎用性で、存分に活躍することだろう。
冒険
オススメ度 ……☆2
面白さ ……☆4
不快さ ……☆4
カードパワー……高
複雑さ ……高
運ゲー度 ……高
見慣れない横向きのカードがあるが、これは「イベント」。
コストと効果が決まっており、プレイヤーは「効果を購入する」ことができる。
例えばこの「探検」のカードは3コストなので、購入フェイズに3コイン支払うことで、「クリーンアップフェイズに追加で2枚引く(=次ターンに手札を7枚で始める)」ことができる。
この購入には購入権を使う。+購入が無ければイベントを買った場合に他のカードを購入できない。
逆に購入権さえあれば何度でも購入できる。
9コインと+3購入がある場合、「探検」を3回購入し次ターン5+6=11枚で始めることが可能だ。勿論、金貨(6コイン)+「探検」(3コイン)のように別々のものを購入することもできる。
イベントを購入した場合、物理的にデッキにカードは加わらないし、「探検」のカードは移動しない。
とまぁ、冒険はドミニオンに今までとまるで違う新規要素を加える。
他にも、使うと「酒場マット」に行き、適切なタイミングで呼び出せる「リザーブ」、使うたびにパワーアップしていく「トラベラー」、既存のカードに追加効果を与える「トークン」など、新ギミックが大量に収録された拡張。
追加要素に関わらないカードも含めて、全体的にカードパワー、難易度、運要素、どれも高く、非常に大味なカードが多い。
ダイナミックで破壊的なドミニオンを楽しみたいならオススメ。
拡張をまだあまり増やしていない段階では、逆にあまりオススメしない。刺激的な拡張だ。
注目カード
道具
カードを2枚引き、2枚まで次ターンに回せるという何の変哲もない効果に見えるが、とんでもない壊れカード。
一度「道具」と財宝カードだけを買ってデッキを回してみてほしい。その強さに驚くだろう。
「カードを引ける」「コイン余剰量を次ターンに回せる」「被ってアクション権が足りなくなっても次ターンに持ち越せる」「次ターンの動きを安定化させられる」「1ターンを捨て、次ターンの出力を激増させる」などなど、シンプルな効果で器用万能な強カードだ。
掘出物
財宝として使用した際、2コインを出しながら「金貨と銅貨を1枚ずつ獲得する」という大味なカード。
当然、使えば使うほどデッキに銅貨と金貨が増えていく。
「アクション権を使わずに金貨を手に入れるカード」「デッキ内の総金量を凄い勢いで増やすカード」「デッキ内にゴミを増やすカード」「勝利点を買っても平均金量が落ちにくいカード」。様々な見方ができるが一つ伝えるとすれば、文句なしにパワーカードである。
チャンピオン
このカードは、サプライから購入することはできない。
「トラベラー」と呼ばれる、2コスアクションを使用。2コスアクションは使用後3コスに、3コスアクション使用後は4コスになり……を繰り返し最後に手に入るのがこの「チャンピオン」。
その効果はなんと、「全アクションに+1アクション効果を付与する」というもの。つまり、アクション権が無限になる※。アクション権を消費してアクションを使えば、アクション権が出るのだ。「鍛冶屋」は+1アクション+3ドローの完全ぶっ壊れカードへと化ける。
オマケに、他プレイヤーのアタックを完全遮断する効果もあり、完成させた瞬間に別世界の幕が開かれる。
こんなカード、バランスが取れているのか!?と思うかもしれない。しかし意外と取れている。正確には、正直バランスはとれていないが、対戦ゲームとして成立しているのでまあ取れているともいえるという感じだ。
チャンピオンを貼り無敵モードに突入する体験は、冒険でしか味わえない。この拡張を買う理由の一つだろう。
※「王冠」のようなカードがある以上「アクション権が無限」という表現は適切ではないが、許してね。
失われた技術
6コインを支払って購入することで、サプライのアクション一つに+1アクション効果を乗せることができる。
「鍛冶屋」に乗せれば、4コス+1アクション+3ドローカードの爆誕。
ただ6コストは十分に重く、早く買えば買うほど効果の恩恵は大きいが、最初に買ってしまうと+1アクションを乗せたカードがあまりデッキに入っていなかったり、デッキ内の金量がそもそも足りなかったりと悩ましい。
英語名は「LOST ARTS」。言いやすくてかっこいいので、一部のドミニオンプレイヤーは「ロストアーツ」と呼んでいるぞ。
帝国
オススメ度 ……☆1
面白さ ……☆5
不快さ ……☆4
カードパワー……高
複雑さ ……高
運ゲー度 ……低
面白さ☆5なのにオススメ度☆1?となるかもしれない。
まず先に言いたいのは、帝国は非常に面白い拡張だ。ギミックも複雑だが戦略性が高くプレイフィールは悪くない。収録カードはユニークなものが多く、ドミニオンの多くの拡張の中でも屈指のエキサイティングな拡張と言えるだろう。
帝国に収録されているカードの問題は、余りに実力が出すぎてしまう点だ。
端的に言えば、「強い人がずっと勝つ」ようなカードが多い。運が多少上振れ下振れしようと、最終的に実力が出るようなカードまみれなのだ。
それはある意味カードバランスとしては素晴らしい。だが、この記事を読みに来るような立場のプレイヤーにはまだ早いと筆者は考えている。
不快さ☆4は、他の不快さが高い拡張と少し方向性が違い、アタックが強すぎるとか嫌なカードが多いというより、「うまく行かなかった」プレイヤーが感じる「うまく行っている」プレイヤーに対するストレスが特に大きい拡張だという意味だ。如実に差がついていくのが毎ターンわかる。
一緒に遊んでいるドミニオン仲間が「全員結構うまくなったな」と感じるようになるまでは、筆者はオススメしない。
逆に、そうなった時に帝国を遊んだならば、一段階上のレベルで競い合うことができるだろう。
注目カード
ヴィラ
カードとしての性能はドローできない代わりに+1購入と+1コインがついている村だが、「これを獲得したとき、手札に加え、+1アクション、あなたの購入フェイズ中の場合、アクションフェイズに戻る。」の狂気の文章が全てを破壊する。
アクションフェイズを終了し購入フェイズに「ヴィラ」を獲得すると、アクションフェイズに逆戻り。当然、そのアクションフェイズの後には再び購入フェイズがやってくる。
その際+1アクション効果と「ヴィラ」自身が手札に加わるため、確実に+2アクション状態でアクションフェイズに戻ることができ、手札の余ったアクションを再び使用することができる。
このカードがある場ではアクション権の概念はいびつなものになり、皆が到底成立しないデッキを「ヴィラ」で強引に回していく姿がみられる。
大金
・サプライに直接出てこない(分割された山札※)
・8コイン+8負債※
と、知らない人には非常に説明しにくいカードだが、何も考えず効果を見てほしい。
「現在のコインを2倍にする。」それだけでこのカードの魅力は伝わりきるのではないだろうか。
※分割された山札:1つのサプライの山に複数種類のカードが含まれている。帝国では、上側にある5枚のカードが、下側に別の5枚のカードが積まれる。「大金」は下側のカードなので、上側の5枚のカードをすべて獲得したり廃棄したりで無くさないと手に入れられないのだ。
※負債:帝国の固有ギミック。茶色の六角形のアイコン内に数字が書かれる。これは獲得コストとして設定されており、購入時「負債トークン」を数字分受け取る。「負債トークン」を持っている時、コインを支払って購入することはできない。「負債トークン」はコインで返済できる。
つまり、カードのコストを後払いできる代わりに、払いきるまでは何も買えなくなるのだ。
今回の大金は普通に8コストに加えて、8負債がコストになっているので、後払いで更に8コイン払わなければならない。
墓標
この緑色の横向きのカードは「ランドマーク」。
購入したり獲得したりはできず、何らかの形で勝利点のボーナスを与える。
この「墓標」はシンプル。カードを廃棄すれば勝利点1点。
「礼拝堂」で4枚廃棄すれば一気に4点が手にはいる。
もし「城塞」を無限廃棄するコンボが組めれば無限点。
あるとつい廃棄に夢中になってしまう、楽しいランドマーク。ちなみに大体ちゃんと属州を買っているプレイヤーが勝つ。
寄付
冒険に引き続き、帝国にもイベントカードが収録されている。
そしてこの「寄付」は最大の問題児。
これを8負債で購入すると何が起こるかというと、「デッキのカードを全部見て好きなカードを廃棄できる」。
1ターン目:銀貨購入
2ターン目:銀貨購入
3ターン目:4コインで銀貨購入
3ターン目:4コインで「寄付」購入。負債残り4
4ターン目:デッキから屋敷と銅貨全部廃棄。銀貨3枚で負債0
結果:4ターン目のデッキ内容→銀貨×3のみ
みたいなゲームになる。普通に。意味不明である。
ドミニオンプレイヤーの間でも大変賛否両論なカードだが、少なくとも新たな体験を与えてくれることは間違いない。
夜想曲
オススメ度 ……☆1
面白さ ……☆1
不快さ ……☆5
カードパワー……高
複雑さ ……中
運ゲー度 ……極高
筆者的ワースト拡張。
初心者側に立っても経験者側に立ってもカス。
夜想曲を愛しているプレイヤーがいれば大変申し訳ないが、筆者からすればドミニオンの中で最も買う必要が無い。良カードも勿論あるが、この拡張を構成するすべてが運ゲー過ぎる。筆者は運要素は嫌いではないどころか寧ろ好きだが、運ゲーをしたいわけではないのだ。
注目カード
羊飼い
夜想曲の中では群を抜いて良カードだと思っている。
残念ながら運要素がものすごく大きいカードではあるのだが、デッキ構築でカバーできる範囲内であり、上手く使えるプレイヤーとそうで無いプレイヤーの差がきっちり出る。
「家宝」とは夜想曲固有のギミックであり、「家宝」が記されたカードがサプライにいると、初期デッキの銅貨一枚が家宝カードに入れ替わる。
この「羊飼い」においては「牧草地」が銅貨と入れ替わる。
夜想曲の悪口ばかり言っているが、筆者はこの家宝ギミックは非常に面白いと思う。やっぱり運ゲーが加速するのだが。
呪われた村
村界の中でも上位のパワーを持っており、+2アクションに「手札が6枚になるまでドロー」という能力を持つ。
出たアクションで手札が増えない/減るアクションカードを使い、また「呪われた村」を打てば+2アクション+3ドロー以上のパワーを発揮することも。
一方で「呪われた村」だけを何度も使っていても、+2アクション+1ドローでしかない。
獲得したときに受ける呪詛※により嫌なガチャを引かされるが、カード自体は強力かつ工夫の余地がある良カードだ。
※呪詛:夜想曲固有ギミックの一つ。12枚の「デメリットが記されたカード」が山に積まれており、呪詛を受ける/与える際は山札の上から1枚めくりその効果を発動する。大変軽いものから重いものまでバリエーション豊かであり、毎回筆者は脳みそが怒りで沸騰しそうになる。
吸血鬼
悪そのものであり、許されざる存在。
初手5-2が強すぎる、3ターン以降5コス出るかの運ゲーが加速、底に沈むかどうかの運ゲーが加速、上手く回れば廃棄+5コス以下カード獲得+他人に妨害(内容は運次第)、回った時と回らない時の差が4倍くらいあり話にならない、試合が長引きやすい、試合が荒れやすく荒場に強い、紙だと処理を非常に忘れやすい、とにかく運ゲー。
超絶パワーカードなので嫌いだからと無視もできない。
サプライで見たくないカードランキング上位だ。
ルネサンス
オススメ度 ……☆5
面白さ ……☆5
不快さ ……☆1
カードパワー……高
複雑さ ……中
運ゲー度 ……低
ルネサンスの特徴は大きく二つ。
「村人トークン」と「プロジェクト」である。
「村人トークン」とは簡単に言えば「コイントークン」のアクション権バージョンであり、貴方はいつでもアクション権になる「村人トークン」を保持できる。なんと素晴らしいことか。「コイントークン」をプレイしたことがあれば、その快適性、安心感、強さは想像できるだろう。
「プロジェクト」はピンク色の横長のカード。イベントと同じようにコストが設定されており、プレイヤーはゲーム中に各プロジェクトを一度だけ購入することができる。
「イベント」は「一時的な効果」を買っていたが、「プロジェクト」は「永続的なバフ」を買う。一度買えば、その効果は永続するのだ。
このプロジェクトが中々魅力的なカードぞろいで、相互作用も大変多い。1枚のプロジェクトがあるだけで、価値が激変するアクションカードがあったりする。
全体的に快適にプレイさせてくれるカードが多く、収録されている妨害もマイルドなものが多く、非常に感じのいい拡張。
プロジェクトは大量の相互作用を引き起こすので、とても楽しい。是非とも遊んでみてほしい。
欠点は比較的新しい拡張なのでインフレが多少進んでいること。
といっても、最近は第二版の発売によってカードパワーが低すぎるカードは消されつつあるので、バランス的には全く問題ないレベルだ。
注目カード
本当であれば普通のカードからも紹介した方が良いと思うのだが、プロジェクトにあまりにも魅力的なカードが多いので全部プロジェクトで行く。
大聖堂
3コインで購入でき、購入後はターン開始時必ず手札を1枚廃棄する。
1ターン目から購入でき、毎ターン何もせずともデッキを圧縮できる。どんどんデッキの質が上昇していく……のだが。
この廃棄は強制。手札に廃棄したいカードが1枚も無くても必ず廃棄しなければならない。1枚廃棄はすなわち実質的にはハンデスであり、ゲーム後半ではしっかり足を引っ張る。
更にここに「民兵」のようなハンデスを打たれると目も当てられない。手札3枚から、さらに1枚強制的に廃棄させられるのだ。
効果の強力さとリスクの危険さが伴う、非常に悩ましいカード。
資本主義
もうとんでもなくややこしいカードであり、ここで紹介するには向いていないのだが、是非とも紹介したいので捻じ込む。
効果は「+コインと書いてあるカードが財宝カードになる」。意味が分からないかもしれない。つまり、「詐欺師」や「橋」が財宝カードになるのだ。
財宝カードになるとどうなるか?
まず購入フェイズに使えるようになる。アクション権はいらない。銅貨と同じように場に出し、当然場に出したなら効果が発動する。
財宝になることで、様々なカードが反応するようになる。
「銀行」は場の財宝カードの数に応じて強くなる。財宝化したアクションカードも勿論カウントする。
「山賊」は銅貨以外の財宝カードを破壊できる。「資本主義」下では、アクションカードも山賊で破壊できてしまうのだ。
他にも様々なおもしろ挙動があるのだが、長くなりすぎるので割愛。
是非一度プレイして、その奇妙さと楽しさを体感してほしい。
ギルド集会所
大好きなプロジェクトだ。財宝カード1枚を獲得したとき、コイントークンがついてくるようになる。
何が起こるかは想像に難くない。これがある場では、余った購入で銅貨を買いあさり銅貨を枯らすプレイヤーの姿がみられることもしばしば(4人戦なら銅貨は32枚)。
道路網
他プレイヤーが勝利点を獲得すると1枚引けるようになる。
終盤は当然全プレイヤーが属州を買おうとするので、自動で2、3枚引けることになる。
買い得の雑パワーカードと思いきや、(パワーカードなのは間違いないのだが)5コストという重さと、誰かが勝利点を買わないと全く利益が出ないという点から買うタイミングが悩ましい。
特に少し劣勢だと「道路網」を買ってる場合ではなく公領を買いたいが、「道路網」を買わないと属州レースに参加できないかも……と苦しむ場面も多く、面白いプロジェクト。
移動動物園
オススメ度 ……☆1
面白さ ……☆4
不快さ ……☆3
カードパワー……高
複雑さ ……高
運ゲー度 ……高
移動動物園の新ギミックとして「追放」と「動物の習性」がある。
「追放」はややこしいのだが、凄く雑に言うと「自分だけの廃棄ゾーン」。
追放されているカードは廃棄と異なり自分のデッキ内のカードであり、勝利点などが追放されている時は最後にきちんと点数としてカウントできる。
一方で追放されているカードは捨て札にも手札にも場にもおらず、デッキをシャッフルするときに加えない。追放ゾーンに居残る。
勝利点カードを追放しておけばデッキを汚さずに点数が高まる。逆に、相手のデッキの財宝やアクションのようなカードを追放してしまうアタックカードもある。
他にもいろいろルールがあるが、プレイすれば意外とわかりやすい。
問題は「動物の習性」。水色で横向きのカードが習性カードだ。
習性カードがあると、アクションカードを習性として使用できる。
例えば、「村」を普通に使えば+2アクション+1ドロー。これを上の「カワウソの習性」として使用すると、その効果は+2ドローになる。
アクションカードの効果を習性に塗り替えることができるのだ。
これがあると何が起こるのかというと、全てのアクションカードに追加の選択肢が生まれる。
「村」が3枚手札にあった時、習性が無ければそれは村×3としてしか使用できないが、習性があると
・「村」→「カワウソの習性」→「村」として打つ
・「村」→「村」→「カワウソの習性」として打つ
・「村」→「カワウソの習性」→「カワウソの習性」として打つ
などなど、分岐が増えすぎるのだ。
習性カードは2枚出てくることもあるし、使うアクションが増えれば増えるほど分岐も増える。
更にデジタルではUIの都合上どうしても押し間違いが頻発する。
正しく扱うには非常に難易度が高く、余りにも思考リソースを食われるため、ドミニオン初心者にはあまりオススメできない。
ちなみに「移動動物園」というこの拡張とまったく同じ名前のカードが収穫祭に収録されている。
和訳のミスかと思いきや、英語名はどちらもきっちり「MENAGERIE」。
ドナルド(ドミニオン製作者)はいったい何を考えてこの拡張名を付けたのだろうか。
注目カード
備蓄品
まさかまさかの3コス金貨。しかも購入までついてくる。
ただし、使用した場合勝手に追放されてしまう。
追放されたカードは、それと同名カードを獲得するとき追放から捨て札に落とすことができる。
備蓄品がサプライにあると、まず備蓄品から購入し、追放された備蓄品を再び使うために備蓄品を購入し、余ったコインで備蓄品を購入する、のようなサイクルに突入し、一瞬で山が枯れがち。
ドミニオンのインフレを象徴するカードでもある。基本セット第1版の頃だったなら、追放ではなく廃棄でも許されなかっただろう。
賞金稼ぎ
移動動物園の誇るパワーカード。
序盤は屋敷や銅貨を追放しながら+3コインというトンデモ出力で強力にデッキを構築し、
中盤は2枚目以降の銅貨や屋敷をアクション権消費無しで追放し圧縮。
終盤は公領や属州を追放しながら3コイン出す。
序盤中盤終盤隙が無く、コストも安い、万能でパワフルな一枚。
絶望
0コストで購入し、呪いを獲得し、2コイン出る。
2コインというのは大きな大きな数字で、6コインが属州に化ける。
その代償に受け取る呪いも、ゲーム終盤なら影響力は小。
ゲームを超強力に加速させ、新たなドミニオンを見せてくれる。
呪いが枯れた場合、2コインは出ない。絶望場ではよく呪い撒きも無いのに呪いが枯れている姿が見られる。
ウミガメの習性
習性として使うと、次ターン開始時にそのアクションを再び使える。
次ターン開始時に使ったアクションも再び「ウミガメの習性」として使うことができる。
つまり、一度「ウミガメの習性」として使ったアクションは、好きなだけ次のターンに持ち越していくことが可能なのだ。
それができたら何になるか?
「村」が引けないターンまで、「村」をプールしておくことができる。
「橋」を次々と後回しにして、あるターンに一気に使うことができる。
非常に起用で、全体的に安定度を上げることができるので、コンボデッキを組みたいときは非常に頼りになる習性だろう。
ステロでも、「鍛冶屋」+8金のような手札の時に次ターンに回す、のようなプレイングができる。
どう使うかで勝敗が分かれるキーカードとなるだろう。
同盟
オススメ度 ……☆1
面白さ ……☆3
不快さ ……☆2
カードパワー……中
複雑さ ……高
運ゲー度 ……中
「好意」と呼ばれるリソースを獲得するカードと、それを使って効果を発動する横向きカード※が収録されている。
また、4枚×4で構成され、「回転させる」ことができる分割された山札も固有ギミック。
説明が必要だろうか。筆者は必要ないと思う……。
別につまらない拡張ではない。ただ、「好意」を求めるよりまず「イベント」「プロジェクト」を触った方が良いし、同盟の分割された山札はユニークだが、拡張を求める理由にはなるほどではない。
拡張として購入するのは10番目以降になるのではないだろうか。
初心者に対しての訴求力は皆無と言って差し支えない。
夜想曲は買うべきではない拡張だが、同盟は買う理由のない拡張だ。
※この横向きカードの名称は「同盟」。「イベント」や「プロジェクト」にあたる名前が「同盟」なのだ。同盟という拡張に「同盟」というギミックが設定されている。移動動物園には「同盟」というイベントがある。ああややこしい。
注目カード
蛮族
何故かドミニオンに来航してしまったデッキ破壊の黒船。
「蛮族」はその名とイラストの通り、かつてのチンギス・ハンの如くドミニオンに破壊と殺戮をもたらした。
その意味を知るには、一つ昔話をしなければならない。
かつて「破壊工作員」というカードがあった。
他プレイヤーのコスト3以上のカードを確実にサーチしデストロイする恐ろしいカードで、ひとたび撃ち合いが始まると大量の属州が破壊されプレイヤーの領地は焼け野原と化した。
ドナルドは反省した。「アタックカードで属州を廃棄できてしまうと、デッキを更地にするまで終わらないゲームが始まってしまう。これからデッキ破壊系のカードは破壊するカードのコスト上限を6にしよう」。
この法はよく守られ、よく機能した。
それでも「橋」や「街道」のようなカードのコストを下げるカードと組み合わせることで属州を破壊することは可能だったが、それは所謂コンボで、実現難易度はきちんと高かった。
2009年ドミニオン陰謀初版発売から2022年同盟発売まで13年間守られたこの法は、「蛮族」によって唐突に踏みにじられる。
「山札の一番上のカードを廃棄」。その簡潔なテキストに、属州への配慮は一切感じさせない。
「しかしドナルドなら、調整したのでは!?破壊工作員の反省を生かし、醜いデッキの破壊合戦からの長試合が起こらないように!教訓を生かして!」
ああ、調整したとも。
「破壊工作員」はアタック効果は強力だったが、自分にはなんのメリットももたらさなかった。だから「弱いカード」ではあり、みな積極的に取りたくは無かった。だから一度撃ち合いが始まってしまうとゲームが長引く。
「蛮族」は違う。2コイン出る。誰もが欲しい、最強のカードになった。
ドナルドはこう結論を出したのだ。
「破壊工作員も騎士も、撃ち合うから良くないんだ。誰か一人がずっと打てるようになれば、そいつの勝ちでゲームは終わる」
「蛮族」がある場では、誰もが「蛮族」を求め、打つ。
拮抗は続かない。やがて誰かの「蛮族」が「蛮族」に破壊される。
破壊した側は止まらない。何故なら「蛮族」には+2コインがついており、「蛮族」を打っていれば次の「蛮族」を購入できるからだ。
かくして、ドナルドの目論見通り、「蛮族」場は誰かが他全員のデッキを破壊しつくし、速やかに終わるようになった。
慧眼、御見それ。
破壊の王「蛮族」。これからもドミニオンに戦慄をもたらし続けてくれることだろう。
散兵
「アタックカードを1枚獲得したとき」という独特なタイミングで民兵効果を発動するアタックカード。
「散兵」自身もアタックであるため、「散兵」を集め続けることで民兵効果をバラまきながら、自分はデッキを強化できる。
しかし、+購入や工房系カードがあるサプライならばよいのだが、そうで無ければ「散兵」を打った後「散兵」を買うことを強いられ、属州を買うとアタック効果を使えなくなってしまう。
このカード自体のスペックはほぼ「密猟者」であり、5コインの価値はあるとはいいがたい。
相手プレイヤーに集められてしまっているとかなり不利を背負っているような気分になるが、意外と勝負は分からない。
ほどよい強さで良く調整されたカードといえる。
将軍
ついに現れた、ハンデスや呪いでは止まらなくないインフレしたデッキを止めるドミニオンアタック界の麒麟児。
その内容は「同種アクションカード使用の制限」。
2枚とあるアクションカードが場に出ていると、そのカードはもう手札から使うことができなくなる。「村」が2枚場に出ていれば、もう「村」を使うことができなくなるのだ。
この「場に2枚」という制限が妙で、サプライにもよるが、採用するカードの種類を散らすことによってこの制限を現実的な確率で回避することができる。
じゃあダメじゃん。そう、ダメなのだ。正直に言うと抑止力としての性能はそこそこ程度。全然麒麟児ではない。
ただ無ければ好き放題動かれるのも事実で、サプライによってはガン刺さりする。新たなドミニオンの未来を示唆してくれる一枚だ。
略奪
オススメ度 ……☆5
面白さ ……☆5
不快さ ……☆4
カードパワー……高
複雑さ ……中
運ゲー度 ……高
2024/02/23現在の最新拡張。
持続と財宝カードにフォーカスがあてられており、カード一覧は見ての通り黄色とオレンジまみれ。通常のアクションカードの白枠が珍しいほどだ。
この拡張は筆者的にかなり傑作拡張で、最新ながら初心者にも勧められる一品となっている。
というのもまず、複雑さが最近の拡張の中で低い。
持続カードのルール処理などは少々ややこしいが、デジタルならば自動でやってくれる。
固有ギミックには「戦利品」と「特性」。
「戦利品」は7コストの財宝カード15種×2の30枚であり、アクション・財宝やイベントの効果で手に入れることができる、金貨+追加効果といった性能のカード群。
手にはいる「戦利品」はランダムなのだが、どれも(ほぼ)強力で、それぞれの強さがあるため、非常にエキサイティングな体験になる。
ルール的には、特定のカードやイベントを使えばランダムで強い戦利品が手にはいる、というだけで非常にシンプル。
「特性」は紫色の横向きカード。
ランダムにサプライのうち一つ(アクションまたは財宝)にくっつき、そのカードに追加効果をもたらす。
他の「動物の習性」や「好意」のような横向きカードに比べて素晴らしい点は、プレイヤーの思考リソースをあまり奪わない点だ。
「特性」はゲーム開始時にくっついたらくっつきっぱなしなので、そういうカードとして普通に扱える。
ルール的にも感覚的にも複雑なことは少なく、直感的に新しいゲーム体験が可能だ。
これらの新ギミックに加え、他の収録カードも今までのドミニオンには無かったようなカードが多く収録されており、非常に新鮮。
この拡張でしかできないようなプレイフィールや戦略がいくつもあり、新しめの拡張が欲しいな~と思ったプレイヤーには是非略奪を勧めたい。
ちなみに暗黒時代に日本語名が全く同名であるカード「略奪(英語名:PILLAGE)」があり、帝国に英語名が全く同じ「PLUNDER」である「鹵獲品」がある。
なんでやねん。
注目カード
シャーマン
「シャーマンを使うゲームでは、あなたは自分の各ターンの開始時に、廃棄置き場からコスト6以下のカード1枚を獲得する。」
何を言っているかわかるだろうか?
ターン開始時、廃棄置き場に屋敷があるとき、あなたは廃棄置き場から屋敷を獲得しなければいけないのだ。
シャーマンがサプライに現れると、廃棄置き場にカードがある限り、毎ターン必ずゴミをデッキに配られる恐ろしいゲームが始まる。
毎ターン2枚以上廃棄できていなければ、全く圧縮が進まないのだ。
「コスト6以下のカード1枚」のため、金貨や5コスアクションが廃棄されていればそれを獲得することもできる。しかし獲得するのはターン開始時であるため、自分で高コストのカードを廃棄してそれを自分で回収する、のような芸当は難しい(追加ターンを用いれば不可能ではない)。
操舵手
この持続カードはルール上、一度使用すると二度と場から離れない。
一度使えば、永遠にターン開始時効果を発揮し続ける。
その内容は「コスト4以下をこのカードの脇に獲得」か「このカードの脇にあるカード1枚を手札に加える」かどちらかを選ぶというもの。
カードを獲得する工房系カードと考えると2ターンに1度しか手に入れたカードを使えないためあまり強くないが、「村」や「銀貨」をとりあえず脇にため込んでおいて必要な時に手札にいれたり、ゲーム終盤ではデッキを汚さず「屋敷」を獲得したりと、非常に応用の効く能力だ。
無謀な
「特性」カードの1つ。その効果は「1度の使用で2回効果を発揮し、使い終わった後勝手にサプライに戻る」ようになるというもの。
「鍛冶屋」は4コス6ドロー使い終わったあとサプライに戻る。
「村」は3コス2ドロー+4アクション使い終わったあとサプライに戻る。
中には破滅的に相性のいいカードも逆に全く使えなくなってしまうカードも存在し、何が起こるかわからないワクワクする「特性」。
オマケ:消えたカードたち
ドミニオンは第二版というものが存在する。
基本、陰謀、海辺等古い拡張から順に第二版は発売される。
第二版では、初版で収録されていた「弱すぎるカード」「使いどころが限られ過ぎるカード」「理不尽すぎるカード」「バランスは問題ないがプレイフィールが非常に悪いカード」などが消され、代わりに新規カードが収録される。たまに消されたカードの面影を残したカードが追加されることもあり、第二版新規カードに過去の姿を想像してみるのも面白い。
ここでは、第二版で削除されたカード達を振り返っていきたいと思う。
ちなみにSteam版では「初版バンドル」があり、消されたカード達を購入し使うことができる。良くも悪くも大変とがったカードが多いため、興味があれば買ってみよう。
基本初版
泥棒
その名の通り、他プレイヤーのデッキのコインを盗むことができるカード。
しかし、銅貨までも盗もうとしてしまうため、打つと他プレイヤーのデッキの圧縮を助け、強化されてしまうという大問題があった。
基本的には使われないカードだが、打つと4人戦ならば最大3枚もカードが増えることを利用した「泥棒庭園」と呼ばれる戦略があった。
後釜はまず間違いなく「山賊」。遥かに強くなって帰ってきたといえる。
陰謀初版
銅細工師
銅貨の出力が倍になるというユニークな効果を持ったカード。
問題点はあまりにも弱すぎたこと。これを入れるなら銀貨でも買ってた方がマシなのだ。
初手4-3の際、「銅細工師」→「夜警」と購入することで「3ターン目8コインを確定させることができる」というコンボがある。
破壊工作員
かつて単独で属州を破壊できた唯一のカードだった。
破壊できるカードが出るまでデッキをめくるというその確実性を伴った殺意の高い攻撃性能と、「破壊工作員」を打った本人にはなんの利益もないという自棄性から、「破壊工作員」に積極的に行くプレイヤーはテロリストと呼ばれ恐れられた。
後釜はいないが、のちの多くのデッキ破壊カードに影響を与えている。
海辺初版
真珠採り
まさに何もしないカード。何もしないため消された。
実際のゲームでは基本的に無視されるが、「他に買うものが無い」「ないよりはマシ」といった理由で意外と買われる機会自体は多かった。
大使 海の妖婆 海賊船 幽霊船
強かったか弱かったかはこの際置いておいて、この4人の死刑囚はどれもサプライにあるだけでゲームを破壊していた。
強いていうなら「幽霊船」のみまともだったが、消されていることから許されるレベルでは無かった。
ちなみに「抑留」もアタックカードではないが呪いを撒く効果であり、海辺は実に5人も許されざる罪人を輩出した、超アタック拡張だったのだ。
「拷問人」と「詐欺師」はきっちり第二版でも許されているのに彼らは許されなかったことが、その恐ろしさを裏付けている。
繁栄初版
香具師
読みは「やし」。
呪いと銅貨を同時に撒くという、信じられない効果をしている。
一応防御手段は用意されているが完全に噛み合いでしかないうえ、本人はカッチリ2コインを出すという攻撃性能と比較して許されるわけのない堅実なスペック。
消えるのは当然といえる。
後釜は恐らく「山師」。
コインこそ増えたが撒く妨害の量は半分になり、呪いを実質銅貨に変えるなど、非常に柔らかな姿になっている。
ならず者
「これを場に出している間、カード1枚を購入するとき+1勝利点」の効果が大問題で、「ならず者」を場に3枚並べるとカードを2枚購入するだけで6勝利点が手に入った。
買うカードは勝利点でなくともいいので、属州の枚数を集めるよりも「ならず者」の点数の方が重要になり、また民兵効果による妨害もあいまり、非常にゲームが長期化した。
仮に負けが確定したとしても、属州が減りにくいためゲームが終わらず、負け確状態でダラダラと差を広げられ続けるゲーム展開になり、非常にストレスフルな一枚でもあった。
異郷初版
シルクロード
筆者はこのカードが大好きだったので、消えてしまってとても悲しい。
基本的にとてもうまく行って3点なので弱いが、「シルクロード」を走る場は点数がわからないハラハラと競合が何人来るかのドキドキがあり、とても楽しい。
まずないだろうが、いつか復活してくれることを祈る。
余計な話だが、筆者が全リストラカードたちの中で復活したほうが良いと考えているのは「シルクロード」のみである。他は全員帰ってこなくていい。
遊牧民の野営地
獲得時自分のデッキの山札に行くという性質から、
初手4-3の場合のみ、次ターンにどうしても5コインが出したいときに「遊牧民の野営地」を買うことで、40%の確率で次ターンに5コインが出るという遊牧民チャレンジがあった。
失敗すれば4-4スタートでデッキにアクション権を使う銀貨(遊牧民の野営地のこと)が加わってスタートするので、かなり大きなビハインドを背負うことになる。
「それでも!」と叫びながら遊牧民チャレンジに挑み散っていたドミニオンプレイヤーたちの怨念がこもった、呪われたカード。
大使館
「ドミニオン最強のカードは?」と聞かれた時、このカードの名前を上げるプレイヤーは一定数いるだろう。
カードを5枚引くなんて許されるわけもなく、無事この世を去った。
まさに暴力そのものといったカードで、
1ターン目 「大使館」購入
2ターン目 パス
3ターン目 「大使館」使用 金貨購入
4ターン目 「大使館」使用 属州購入
5ターン目 「大使館」使用 金貨購入
6ターン目 「大使館」使用 属州購入
が起こりえる。暴力。
不正利得
獲得時に呪いを配るというふざけた能力で、数多の初手4-3プレイヤーを絶望の底に叩き落した。
4人戦で二人5-2がいようものなら、4-3プレイヤーの初期デッキは銅貨7枚屋敷3枚買ったカード2枚+呪い2枚で始まる。
また「不正利得」の購入と共に呪いが配られるため、「不正利得」と呪いは同時に山枯れを起こすことが多く、まともにデッキを組めないためプレイヤーは公領を買い始め、公領購入に「不正利得」は非常に強い(ほぼ銀貨であることから)ため、初手5-2を引かれた瞬間にほぼ終着が見えることもよくある出来事だった。
埋蔵金
5コストで3コインに強めのメリットがついてくる今のドミニオンに、あまりにも置いて行かれた一枚。
なんなら登場時から既に置いて行かれており、時代に追いつくことはついぞ無かった。
この記事を執筆中に、新拡張「収穫祭&ギルド第二版」の内容が発表され、
収穫祭とギルドの紹介した内容は無意味になってしまった。
注目カードもいくつかリストラされ(筆者の好きな「弱いけどピンポイントで使いどころがあるカード」はリストラ対象になりやすい)、記事を書き直す必要があるが、とりあえず一旦記事を完成としておく。
そう遠くない日に、改めて収穫祭&ギルドのレビューもしようと思う。
27000字にも及ぶ長文にお付き合いいただき、ありがとう。