やからかん
顔が地味でおとなしそうに見えるから、若いときは合コンやら飲み屋やらでそういう感じが好きな人からは妙に好かれていた。が、本来が面倒くさいタイプなので、初対面の人の前ではかましていくのをモットーにしていた。カラオケで氣志團をしっかり歌い踊るとかそういう方面で。なんか、なめられないように一生懸命だった。
そして今、わたしが身につけたいスキルといえば「美しいミドルキック」である。きれいなミドルが打てればもう少し性格がきれいになるような気がして。他人にすぐに左右される自分の意地汚さとかを振り切れる気がして。
この夏は(というか夏はいつも)柄シャツと柄パンがずっと欲しかった。「輩感」がテーマであった。結局今年もしっくりくる柄がなかったため、手に入れることは叶わなかったが、うっかりすると柄シャツに色付きメガネとかで会社に行きかねない。
今のマインドでもっと若かったら、軟骨に穴を開けることを真剣に検討しそうだ。まったく妙齢の半グレの厄介よ。
昔「ごきげんよう」のサイコロの目に「日頃のうっぷん溜まって箱」というのがあったが、相当な溜まりようなのだと思う。仕事もあるのに。子どももかわいく、サポートだってないわけじゃないのに。舐められているなあという気持ちがとにかく強い。
かましていきたいなあ……と日々思っているわけだけど、さりとて秋が来る。秋のいてこましたろかいファッションなんて聞いたことがない。わたしのこの気持ちはどこへ行こうとしているのか。
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