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生物多様性を考慮した森づくり(森林技術991号)

日本森林技術協会が発行する「森林技術」991号(2024年11月号)の特集「生物多様性を考慮した森づくり」について。

4つの投稿はいずれも興味深かったが、私にとっては森林総研の正木隆先生の解説「針葉樹人工林の林業で生物多様性を保全するには?」が特にためになった。

森林生態学から林業を見たときの「撹乱」の話がメインで、面積、再来間隔、強度の3つのポイントを軸に林業現場の評価や計画を組み立てていく考え方は、森林管理(監理)に携わる人にとって、針葉樹人工林の話に限らず広く参考になると思う。

ベルン応用科学大学(HAFL)を訪問した際に、林学部長のパウリ教授から受けた解説の中で強く印象に残っている言葉がある。

エコロジーに"配慮"をして林業をするのではなく、エコロジーの"範囲内"で林業をする。これからはそういう時代になっていくだろう。

Bernhard Pauli

この話は、だから林学はエコロジーや経済の研究者と一緒に仕事をしていかなければならない、と続く。これからの森づくりはどうあるべきか、その言語化に悩んでいた時期だっただけに、この言葉にああ…と腑に落ちたことを思い出す。

しかしエコロジーの範囲内で、というのは具体的にどういうことかをずっと模索していたところで、この正木先生の解説はとても自分にとってはありがたかった。

ちょうど近々に生物多様性と林業をテーマに話をしなければならない機会があるので、今一度考察を深めてみたいと思う。

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