『リードは生き物』と言われていますが。
冬なのか春先なのかよくわからなくなるこの頃(2/20現在)、リードのコンディションがなかなか難しい。毎年のことではあるが。
『女心(男心ということもある)と秋の空』という諺もあるが、リードの諸行無常、盛者必衰っぷりも、さながら秋の空のごとし。まったく、冬なのか春先なのか秋空なのか。支離滅裂である。
そんなわけで『リードというものは状態が変わるもの』と言われており、『リードは生き物』と例えられることもある。
だが、ここで考えてみたい。リードが生き物ならば、ヒトだって生き物だ。自分自身の状態も常に変わる。いや、むしろ、すでに収穫されて加工されて製品になったシロモノより、生身のヒトたる我が身のほうがよっぽど『生き物』であるわけだ。
なので、個人的には『自分自身のほうがリードより遥かに不安定である』と認識するぐらいがちょうどいいと思っている。すなわち、リード選びとは『そんな不安定な我が身にフィットするような個体を探す』ということではないだろうか。
まあ、そうは言っても、リードとて変わりやすいものだというのもまた事実であろうか。従って、その管理は重要命題になるし、管理のノウハウはプレイヤーの力量に直結するということにもなる。少なくとも『仕事に支障をきたす可能性のあるリードを使わない』『その上で、その日のコンディションに合わせてベストチョイスをする』ことが毎日のミッションとなる。
まずは、大前提として『使えるものを常にストックしておくこと』が必須である。中高生などで、一箱の中で一枚ずつ開けて吹きつぶすまでその一枚を使い続けるという話を聞くが、おすすめしない。仮に一箱10枚として、吹き心地や反応の良さには幅があるのが常なので、複数枚をローテーションして使うことは(当然、使用頻度にムラは出る)リード管理の基本中の基本である。
そんなわけで、現場ですることはまず『その日に演奏するリード選び』になるわけだが、良いリードが見つかった時はハッピーだ。軽い無敵感を錯覚することさえある(あくまで錯覚につき、無敵にはなっていない)。
逆に、良いリードがない時は焦る。大事件である。変なリードは、演奏におけるあらゆるパラメータを落とす(発音の反応、音色、音程のとりやすさ、ノイズの成分、音域によるムラ…などなど)。とはいえ『仕事になる水準』は何としても死守しなければならないので、どうにもならなさそうな時はここで初めて微調整を試みる(良いリードをむやみにいじらない、というのも重要な管理の一つ)。
(『リードが無い』については別の記事があるので、こちらも読んでいただけましたら幸いです)
どうにかいけそうな感じにしたら、あとは『不安定な生身のヒトである』こちらの問題だ。最終的には、意志&テクである。
結局のところ、良いリードがあろうがなかろうが『その時』は来るわけで、そこでベストパフォーマンスをするしか選択肢はないのだから、意志をしっかり持つことがまず大事であって、その裏付けとなるテクを日々錬成することが必須であるということだ(とはいえ、何事もバランスではあるので、『ダメなリードを無理にねじ伏せること』をおすすめするものではない)。
最後に、学生時代に師匠から拝受したありがたいお言葉を添えておきたい。
『リードってのはなぁ、ちょーどいいのがいーんだよ!!』
本日はこんなところで👋