エピソード0: アマテラスとスサノオの謎
主人公の神楽結衣(かぐら ゆい)は、夜な夜なスマホを手に、メンターである八咫美穂(やた みほ)のYouTubeチャンネルを見ていた。
「今日のテーマは、古代日本神話の"隠された真実"です。」
美穂の柔らかくも響く声が、静かな部屋に広がる。
「アマテラスとスサノオ。この二柱が兄妹でありながら、結婚していたのではないかという説、皆さんはご存じですか?」
結衣は目を丸くした。「兄妹が結婚!?何それ、聞いたことない...。」
画面の中の美穂はさらに続ける。
「古事記と日本書紀に描かれるアマテラスとスサノオの誓約(うけひ)。これがただの競争ではなく、実は婚姻儀式を象徴しているのではないかという学説が近年注目されています。アマテラスの玉とスサノオの剣、互いに交換されたこれらの物は、単なる象徴ではないかもしれません。」
結衣の好奇心が一気に掻き立てられた。「確かに、誓約って何だろう。物々交換が結婚ってどういうこと?」
次の日、結衣は興奮冷めやらぬまま、通勤電車の中で関連動画を検索し始めた。画面には「アマテラスとスサノオの結婚説」のキーワードが並ぶ。
その中で一つの図解が目に留まった。
アマテラスとスサノオの誓約:玉と剣の交換
アマテラスの子孫とスサノオの子孫が統合された系図
高天原における八百萬の神々の調停
「うわ、これ全部が繋がってるのかも...。でも、なんで兄妹で結婚って話が出てくるの?」
不意に、彼女の脳裏に浮かんだのは美穂の動画で話されていたもう一つの話題だった。
「そしてもう一つ。最近、聖徳太子が教科書から消えるというニュースを聞いた方も多いでしょう。これが単なる教育改革ではなく、日本史全体に隠された大きな意図の一環だとしたら...どう思いますか?」
結衣は、同僚とのランチタイムでその話を切り出した。「ねぇ、知ってる?聖徳太子が教科書から消える理由って何かの陰謀じゃないかって噂があるんだって。」
同僚の一人が軽く笑った。「あぁ、あの話ね。時代に合わないからとか、実在しないとか言われてるけどさ、そんなに深い意味なんてないでしょ。」
でも結衣は納得できなかった。「だって、どうしていきなり消えるの?歴史上、重要な人物なのに...。」
その日の夜、再び美穂の動画を見ながら、結衣は考え込んでいた。
「アマテラスとスサノオの謎、聖徳太子の消失...これ、全部繋がってる気がする。」
その瞬間、スマホに通知が入る。美穂からのメッセージだった。
「結衣、もし興味があるなら、明日ある場所に来なさい。そこで、もっと面白い話を聞かせてあげる。」
結衣の心臓が高鳴る。「ある場所...ってどこだろう?」
翌朝、指定された場所に向かう結衣。そこには美穂が静かに佇んでいた。そして彼女はこう告げる。
「結衣、あなたの運命が、これらの謎を解き明かすカギとなるのよ。」
次回へ続く...