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【N/S高政治部】大久保好男さんによる特別講義「政治とメディアの役割」を振り返って

初めまして! N/S高政治部5期AチームのYuukiと申します!

この記事では、2024年7月16日に行われたゲスト講義、「大久保好男 前民放連会長と語る『政治とメディアの役割』」で得られた学びや所感について書きました。

熱意を込めて執筆した記事ですので、最後まで読んでいただけると幸いです。

講義動画URL

https://www.youtube.com/live/KTmguvFnToY?si=9BacdyU_mCPQkuae

ゲストの大久保さんは、日本テレビで代表取締役社長を務め、Hulu買収や民放初の有料型動画配信サービスに参入した実績もある方です。日本民間放送連盟(民放連)会長など歴任されており、放送のデジタル化を含む放送業界の未来を見据えた重要な議論をリードしてきた「重鎮」と言える方です。


今回の講義を通じて、私は大久保さんにSNS(インターネット)時代におけるメディアのあり方について伺うことができました。

講義前に意識したこと


政治部では、登壇するゲストに対して、各チームが講義前に質問案を作成します。そのため、質問の土台づくりとして、大久保さんがテレビ界の「重鎮」として、政治とどのように関わってきたかについて記された記事を調べました。

質問案を作成する上で参考にした記事を紹介します。
【インタビュー 大久保好男・元日本テレビ社長】放送事業の将来像は自分たちで考える <テレビ70年企画> | 民放online

お話を伺う相手がテレビ業界の重要な方ということで、その影響力の大きさから、最初はどのような質問をすれば良いか迷いがありました。しかし、視点を変えてみると、大久保さんから業界の内情について直接学べる貴重な機会と捉え、質問を考えていきました。

私たちAチームは、新聞倫理綱領に基づく新聞報道と比較しながら、放送法第4条改正の有効性について質問しました。
この法律は、番組制作における政治的公平性や報道の正確性を義務付ける法律です。安倍元首相は、この規制を撤廃し、テレビ局をネットと同じように自由な報道競争ができる環境にすることを提案しました。しかし、民放事業者が危機に陥る可能性から、大久保さんは反対し、改正案阻止に動きました。

講義を受けて得られた学び

放送法がメディアの基盤を支えることの大切さ
この質問に対して、大久保さんは「民放テレビとインターネットにおける報道環境の違い」と「放送法を撤廃した場合に生じるリスク」の2つの視点から答えてくださいました。

限られた電波を国の許可を得て使用するテレビは、国民に質の高い情報を提供するために放送法4条などの規制が設けられています。大久保さんは、ネットのように自由な環境であってはならないと説明されていました。特定の企業、個人が放送局を所有し、株主になることで、利益を優先した報道が行われる可能性があります。したがって、公平性や中立性が損なわれるのを防ぐためには、法律でルールを規定する必要があることがわかりました。
ネットでは自由に情報を発信できる一方、規制が少ないためにフェイクニュースや誇張された情報が拡散されるリスクがあります。テレビが法律に基づいて中立性を維持しようとしている点を考えると、信頼性の面ではテレビが依然として重要な役割を担っていると感じました。

また、テレビとネットは異なるプラットフォームと見なされがちですが、実際にはTVerやHuluなど、テレビ局直結の配信サービスが他の動画配信サービスと競争している状況についてもお話しいただきました。その中でも、「テレビとネットは既に競争しており、テレビはまだまだ成長できていない。配信でユーザーを集めていく必要がある。」とコメントされていたのがとても印象的でした。
従来、テレビ番組はリアルタイムで視聴することが前提でしたが、配信サービスによって「いつでも・どこでも」視聴できるようになり、視聴者のライフスタイルに合わせたメディア利用が可能となっています。この変化を受けて、テレビもネット配信を積極的に取り入れ、双方向型なメディアとして成長する余地があると感じました。今後の躍進に注目していきたいところです。

これらの話を通じて、資本が絡むテレビ業界で新聞のような倫理綱領を定めても、特定の企業や個人には通用せず、法で規定することの重要性を実感することができました。
また、公平・中立性が法律で担保されていることを知ったことで、講義前と比べてテレビメディアの見方が変化しました。例えば、東京都知事選における序盤の選挙報道では、「小池vs蓮舫」といった対立構図が強調されるような、客観的に見て偏りが生じている報道にも、「報道の自由と公平・中立性が絡んでいると捉えれば、合理的な判断に基づいていることが分かる」といった視点が加わるようになりました。

これまで、私はテレビ局が意図的に偏った報道を行っていると考えていましたが、法律に基づいた盤石な報道を行っていることを知り、メディア側の立場を理解できるようになりました。

最後に


今回の講義を通じて、限られたリソースの中でテレビメディアが背負ってきた責任について学ぶことができました。特に、政治報道において公平・中立性を重視しすぎるあまり、具体的な内容まで十分に報道されていないと感じていた疑問が少し解消されたように思います。その理由は、放送法第4条により、テレビ局が政治的公平性を保つために厳しい規制を受けていることを理解したからです。このため、各局が詳細に踏み込むことが難しくなり、結果として視聴者には表面的な報道しか伝わらない側面があるのだと感じました。
今回の講義で得られた、マスメディアの視点からの報道に関する学びを活かし、今後の政治探究活動では、放送法が報道内容に与える影響をより深く掘り下げ、政治報道の中立性と情報提供のバランスについて考察していきたいと思います。また、個人としても、報道を見る際にはその背景にある法律や規制を理解し、自分なりに情報を取捨選択する姿勢を保持していこうと思いました。

政治とメディアの役割、SNS時代のメディアの役割についてご講義いただきました大久保さんに、この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

N/S高政治部マガジンでは今回の「大久保好男氏によるテーマ別講義」の他にもさまざまな記事を掲載しています。興味のある方はこちらからご覧ください。


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