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ファインダーの向こうに1人の少女がいた。 セーラー服を身に纏った小柄で可憐な友人。 吹き抜…
夢乃は白いワンピースのよく似合う女性だった。 春風になびく柔らかいリネンのスカート。 大…
どんよりと曇った放課後の空。 今にも雨が降りだしそうな空気、じめっとした嫌な水曜日だった…
幼い頃から家の近所にあった喫茶店のマスターが最近亡くなった。 昔ながらの純喫茶。 “くろ…
青白い満月がこの上なく美しい。 月光が一筋の光となり、静かな室内に差し込む。 清楚なレー…
3週間前、好きな人ができた。 明るくてかっこいい女性。 かと思うと、触ったら壊れてしまうの…
右手の細い棒切れに自分を重ねた。 書けば芯がすり減って、カッターで外側を削ってまた軸を出す。 こいつは本当に私のようだ。 黒く薄汚れた鉛筆に親近感を覚えた。 持てなくなるほど小さくなったら棄てられてしまう。 わたしもそうなのだろうか…。 中学生になったのは1年と半年前。 誰もが新しい世界に胸躍らせた春。私も例外ではなく、セーラー服に袖を通した時は胸が高鳴った。 絵が好きだから美術部に入ろう。 勉強にはちゃんとついていけるだろうか。 仲のいい友達はできるだろうか。 期
シンプルで可愛らしいクリーム色のマグカップがふたつ、キッチンの粗末な食器棚に並んでいる。…