2024 BEST絵本
出会い
今年の9月頃、書店の中で、かわいい絵皿を見つけました。
この絵柄はあれだ、「しろくまちゃんのほっとけーき」で有名なやつ、とは知っていたのですが、それらの絵本を実際に読んだことはありません。そして気になったのは絵皿に描かれているイラスト。かわいいクマが運転するレッカー車が…これは事故車を牽引しているのでしょうか…?
絵本でレッカー車…?
事故車らしき車に乗っているのは、リスとペンギンの…ぬいぐるみ…?
このリスとペンギンが、交通事故を起こしたのかな?
絵皿を見れば見るほど、どういう場面なのか気になってしまいました。
この絵皿を見つけたのは、大阪駅から歩いて10分ほどの大きい書店、MARUZEN&ジュンク堂 梅田店。地上6階、地下1階の7フロアに書架が広がる、日本最大級の本屋さんです。
とても大きな本屋さんなのでショップ内ショップもいくつかあり、3階には絵本の世界をモチーフとしたグッズを販売する「EHONS」の売場があります。そこで展開されていたグッズのひとつが、この絵皿でした。
絵本は読んだことがなかったのですが、「しろくまちゃんのほっとけーき」をはじめいくつかのシリーズ作品があり、長く愛されている絵本だ、ということはなんとなく知っていました。絵本の出版もおそらくはかなり前だと思うので(後で調べたところ、1970年~1977年が初版だそう)、この絵皿用にイチから新作イラストを描き下ろしたというよりは、絵本の1ページから流用したイラストだろう、と推測しました。であれば、この絵はどんな場面を描いていたのでしょう。
この絵が使われている絵本を見つけたい
「EHONS」と同じ3階にある絵本売り場へと足を運びます。たくさんの絵本が並んでいる中に、「こぐまちゃん」「しろくまちゃん」のシリーズもありました。ひとつひとつ手に取ってパラパラと見ていき…あった!これだ!見つけたのは「こぐまちゃんのうんてんしゅ」でした。
表紙でこぐまちゃんが運転しているバスが、絵皿に描かれたバスと一致しています。
さっそくレジに持って行って購入。自分用に絵本を買うのは初めて。そもそも絵本を読む、ということ自体何年、いや何十年ぶりでしょうか。なんだかとてもウキウキしながら家路につきました。
絵本を読んでみる
帰宅し、購入した「こぐまちゃんのうんてんしゅ」を読んでみます。あらすじとしては、こぐまちゃんが運転するバスが、お友達のみんなを乗せて運行。行き先は遊園地。そしてその道中で…といったお話。
ヤングがいちばん気に入ったのはこのページ。
こぐまちゃんの運転するバスが遊園地につきました。うさぎやぞう、他の乗客のみんなも遊園地へ行こうとバスを降りていきますが、リスくんとペンギンくんだけはバスを降りません。2人はバスがお気に入りで、このまま乗車していたいようです。こぐまちゃんもそれを受け入れ、ブブー、バスは再び出発進行。
うーん、良いシーン…。
書店でパラパラと読んでみて、このシーンを見たときに「買おう」と即決しました。この場面においては完全にこぐまちゃんではなく、リスくんとペンギンくんに感情移入してしまいます。
よほど楽しかったのでしょう、バスから降りずにまっすぐスクッと立っているリスくんとペンギンくんは、「さあ出して!行こう!」と言っているように見えます。
この「こぐまちゃんえほん」シリーズでは、リスくん・ペンギンくんと同じように、こぐまちゃんの表情もコロコロと変わるわけではありません。しかし、顔やからだの傾きで、こぐまちゃんの感情や、高速道路を駆けるバスのスピード感までが、シーンごとに見事に描き分けられています(そう、こぐまちゃんのバスはなんと果敢に高速道路にも出てしまうのです!)。
お子さまと読む場合は、「このときこぐまちゃんはどんな気持ちかな?」といっしょに考えるのも楽しそう。
というわけで、ヤングの2024年BEST絵本は「こぐまちゃんのうんてんしゅ」でした。
「こぐまちゃんのうんてんしゅ」では、こぐまちゃんの運転するバスの楽しいドライブ、そして予期せぬアクシデントが、20ページほどの絵本の中で繰り広げられます。
もちろん、冒頭の絵皿で描かれていたレッカー車も登場します。こぐまちゃんの運転するバスがいったいどうなってしまうのか、それはぜひ、実際に絵本を読んでたしかめてみてくださいね。