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ガツンとくる

ガツンとくる、という表現があります。ただ、私はあまり日常では使ったことがありません。パンチの効いた、というのも似た表現でしょうか。こちらもほぼ使ったことはありません。

ガツンとくる、というのは何かに触れたり、味わったりしたときに、そのものの重みがズシンと身体に響いてくるような感じかなと想像しています。実際に重みがあろうとなかろうと、そのものの質量が身体にぐぐっと迫ってくる力を感じて、内側からエネルギーがぐつぐつと湧いてくるような、そういう体験です。

有川浩さんの本を読んでいるといつもこう感じます。だから、つまり、有川さんはガツンとくる。

現れる人物はみんなよく怒ります。本当によく怒る。びっくりするくらいの熱量で怒る。それだけじゃなく、いじらしい恋心に素直になれなかったりもするし、過去の深い傷と向き合えずにいたりもするし、周りの人たちに励まされ、派手にぶつかり、みんな少しずつ変わっていく。そういう揺れ幅の大きな流れの重みを感じて、読んでいるとすっと背筋の伸びる思いがします。もちろんため息のでるようないわゆるベタ甘なやりとりもたくさんあって、それもとてもいいです。

年末の大掃除で本棚にあると思っていた「植物図鑑」が見当たらず、文庫版を買い直したのを皮切りに、次、次、と3冊まとめて読みました。その中の一冊にこんな文章があります。

運命はあまりロマンのないところに転がっている。

     有川浩「ストーリーセラー」幻冬舎文庫 153ページより

そういうのは後になればわかるから、まずは目の前の日常から慈しみなさい、と言われている気がしてなりません。私は改めて挨拶から始めます。

それでは、いってきます。

よい一日を。

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