禁煙という苦痛からの解放を求めて文字を書くことにした
僕は若い頃からタバコを吸っている。今年で22年。あのときの一本がきっかけで、今や立派な中毒患者になってしまった。
最近は卒煙をしようともがいてはいるが、ふとしたきっかけで新たな1本に火をつけ、またもや中毒患者に逆戻りしてしまう。我ながら冷静じゃないなと思う。
ちなみに、今日は人生何度目かも分からない禁煙期間の、開始6日目だ。もうすぐ1週間。
禁断症状が襲ってくる、無性に落ち着かない心境の中でこの記事を書いている。
まずは聞いてほしい、そしてもしあなたが喫煙者であれば、一緒にタバコを卒業できた未来を想像してほしい。
喫煙者と旅人、なるならどっち?
タバコを一日買わなければ、1日に420円が節約できる。
そのお金を365日貯めていけば、153,300円という大金に化ける。
これだけのお金があれば、バックパックを背負ってアジアを放浪することが出来るだろう。
なんということだろうか。
タバコさえ吸わなければ、毎年海外旅行にだって行けるのである。吸わないという、ただそれだけで。
僕は小さい頃から旅人に憧れていた。小学校の卒業前に先生から「将来、何になりたい?」というお題で作文を書かされたが、皆がサッカー選手や野球選手と答える中、僕は『旅人』と書いていた。しかし、その夢は未だに叶っていない。長年苦しんできた経済的自由度の低さから、憧れのシルクロードの地を未だに踏めていないのだ。
生まれた環境のせい?社会のせい?”得体の知れない何か“が俺の旅立ちの邪魔をする。
なんで俺は旅に出れないぐらい貧乏なんだ??
答えはカンタン。タバコを吸っていたから。
旅人に憧れた少年の旅立ちを邪魔するものは、他でもないタバコだったのだ。
考えてみよう。なぜ僕は夢よりもタバコを選んできてしまったのか。
タバコを吸う必要なんて、ドコにも存在しない。
にも関わらず、こうして文字を書いている最中にもタバコが吸いたくなる。
最近じゃ野良仕事も手がつかずに不健康な日々を過ごしている。太りはじめた。
運動したい気分にならず、日課にしていた早朝の掃除にヨガ、楽器練習も手につかず。
外に出たい気分にならない。とにかく活力が満ちないのである。
恐ろしいことに、これが禁断症状というやつなのだろう。「こんな目に遭うぐらいなら、いっそタバコを吸った方が健康的だろう」という想いが毎日込み上げてくる。大切な人のことよりもタバコへの欲求が勝ってしまう程には、中毒的だ。
『ニコチン依存度はどれくらい?』というサイトを見つけた。
計測してみた結果、僕のニコチン依存度は『低』とのこと。
こんなにも苦しい依存具合なのに、これで『低』ならば『大』ほど依存すると、どうなってしまうのだろう・・・。タバコは最も身近にある恐ろしいドラッグである。
お次に、これまでタバコに注ぎ込んできたコストを計算してみた。
ちなみに、コストには2種類ある。
お金
時間
の2種類だ。このうちお金は稼ぐことで補填が可能だが、時間は取り戻すことが出来ない。
よって、お金<<<時間 という基準によって価値の重さを測ることにする。
かかったお金
これまでにかかったお金をザックリ計算してみよう。
計算式は以下の通り。
(喫煙年数)✖️(1日あたりの喫煙本数)✖️(タバコ代)=かかったお金
※初めて吸い始めた頃と現在とを比べ、喫煙本数やタバコ代などの変動については考慮しないものとする。ザックリとした数字が分かればOK
実際の数字に当てはめてみよう。
22年✖️14本✖️420円=3,372,600円
なんと、300万円以上のお金を煙に変えてしまった計算になる。
この金額を取り戻そうと思えば、例えばサラリーマンが生活費と別に月に10万円ずつ貯金しても2年半もの時間が必要だ。月に1万円貯金だと、300ヶ月。25年もかかる。あまりにも重すぎるコストである。
僕は今まで、タバコさえ吸っていなければ300万円分の自由を手に出来ていたのである。
若い才能は煙になってお空に消えていった
では続いて、時間というコストを計算してみよう。
計算式は以下の通り。
(1本を吸うために使う時間)✖️(1日の喫煙本数)✖️(喫煙日数)=喫煙時間。
※実際には喫煙場所を探したり、タバコを切らしてしまったときにわざわざ買いに行ったりする手間などを考えると更に時間がかかるのだが、キリが無いので考慮しないものとする。とにかく、ザックリとした数字が分かればOKなのだ。
タバコ1本に火を点けて、吸い終わるまでの時間を3分とする。
1日の喫煙本数は14本だ。
喫煙年数は22年。365日✖️22年=8030日が喫煙日数となる。
では、実際に計算してみよう。
3分✖️14本✖️8030日=337,260分。
5,621時間。234.2日間。一年の約64%。
なんということでしょうか。
僕は限られた人生の中、234日間も煙を吸ったり吐いたりしてボーッと過ごしていたという計算になる。
『1万時間の法則』というものがあるが、これだけの時間を歌や楽器の練習に宛てていたならば、普通に練習してきた時間を合わせると1万時間はオーバーしているハズ。1万時間も練習していれば、凡才な僕でも音楽を極める可能性は充分にあっただろう。
僕は、タバコによって時間をいたずらに浪費し、神からいただいた才能のタネを枯らしてしてしまっていたのだ。ミュージシャンとして僕が大成できない理由が分かってしまった。
好きこそものの上手なれ。
だが、継続なくして才能は開花することはないのである。
タバコによって失われた大切な時間は、もう戻ってくることはない。
それでも僕はタバコが吸いたいのか
吸いたい。吸いたくない。
そんなんグルグル考えたくない。
依存症から抜け出してマトモになりたい。
旅に出たりヨガをしたり健全に生きていきたい。
それが本音だ。
タバコによって失われしものが、あまりにも大きすぎた。
こんなに人生を無駄にしてしまうと、もはや産んでくれた親に申し訳が立たない。向き合ってみよう。
それでも、もしどうしようもなく我慢できなくなったときは・・・頼ってみようかな、禁煙外来。
いやいや、外来までは行きたくないって場合は・・・頼ったらどうだい?ニコチネル。
どうしてもキツくなったときはこういったものに頼ってみるのも全然アリだと思う。
離脱症状はおよそ1ヶ月続くらしい。
とりあえず、気晴らしに歩きに行くことにしよう。