インプロをすると傾聴力があがる!
傾聴とは
多くの方がすでに理解されていると思いますが、改めまして、傾聴とはをすこし紐解いてみます。
人は「こちらの聞きたいこと」を「聞く」(Hear)になりがちですが、「相手の言いたい/伝えたい/願っていること」を受容的・共感的態度で「聴く」(Listen)態度が『傾聴』と呼ばれます。
言い換えると、相手が自分自身の考えを整理し、納得のいく結論や判断に到達するよう支援することです。
「聴く」の字の如く「耳と目と心できく」のが「傾聴」の基本になります。
英語では、傾聴のことをActive Listening (アクティブリスニング)と訳します。
「"きく”という行為」は、黙って静かに・・という姿勢から、アクティブ(能動的)というよりもパッシブ(受動的)なイメージを受けやすいですが、まさに、能動的に聴く!というのが傾聴です。
相手の言うことを静かに聴きつつも、身体を相手の方に傾け、適宜うなづき、適切な相槌を入れながら、相手がもっともっと話したくなるように促すくらいの姿勢で聴くということ。
好奇心を持つ
なんにでも好奇心をもてる姿勢が持てていると、上記のような状態はつくりやすくなりますね。
自身が知っていることでも、違った人からの視点や視座を得ることは、さらに知識を広げてくれる材料にもなります。
自身が全く興味がなかったり、先入観で無理としていたことでも、はじめてみるキッカケを得ることにつながるかもしれません。
実際にわたしは打楽器にはまったく興味がなく、また、やるつもりも一ミリもなかったのですが、わたしの好きなアーティストが「打楽器のテンポに耳を傾けてみると、また違った聴き方ができる」というようなことを聴いて、そうしてみると打楽器を叩く人が実はその音楽シーンの縁の下の力持ちとして、常に正確なビートを提供している姿勢に憧れて、自身も打楽器をしてみたくなりました。(全然上手にはなりませんが・・・)
自分自身の可能性を自分自身で閉じてしまうのはもったいない!
好奇心を持つことは、自分自身の可能性を広げることにもつながります。
リスニングの3段階
傾聴(リスニング)には3つの段階があると言われています。
インナーリスニング (Inner Listening)
➡ 自身の内なる声に耳を傾ける
フォーカスリスニング (Focused Listening)
➡ 相手のすべて(言葉のみならず、姿勢や表情、態度、声の変化などなど)に耳を傾ける
グローバルリスニング (Global Listening)
➡ 相手(達)と自身がいる場・環境・背景などなどすべてを含めたものに耳を傾ける
これを知ったうえで、他者と対話をしているとき、自身がどの段階のリスニングをしているか・・を意識できることで、さらに客観的に他者と向き合うことができるんです。
傾聴のポイント
1)記憶する
相手と対話をする時、これまでの相手の様子や以前話していた内容などを記憶し、それらも含めて相手のことをよく観察することが、メッセージの真意を聴きとることにつながり傾聴をサポートします。
2)目的をもって聴く
- 相手の目的を意識しながら聴く
- 問題意識をもって聴く
- 相手に話してもらうために聴く
3)メタ認知して聴く
4)適切なあいづちを打つ
多すぎるのも相手の思考を止めてしまったり、少なすぎるのも相手を不安に思わせたりするので、ここは相手の様子をよく観察しながら
5)リフレクティング / リフレーミング
適宜、相手が伝えたことを自身の言葉で返して、自身の理解度を相手に共有するといいですね。
リフティングとは、相手の言ったことをそっくりそのまま繰り返すことを意味します。しかし、ただ繰り返せばよいわけではなくタイミングが重要です。
それは、気持ちや感情を表す感情言葉が出た時です。そんなときは、こちらも感情を込めた言い方を返したり、表情や姿勢を相手に合わせていくといいですね。
また、リフレーミングは、相手が伝えたことを自身の言葉で言い換えてみたり、別の言い回しにしてみることですが、こちらは少し鍛錬と技術が必要になります。
インプロは傾聴力を上げる!
さて、、 タイトルの話しになりますが、なぜインプロは傾聴力を上げる!と言い切れるかといいますと、世界中のアプライドインプロ仲間と話していても、まっさきに出てくるインプロの能力開発のTOP 3にこれが入るからです。
というと、わたしの意見ではないように勘違いが起こりそうですが、もちろん私もそこに着目をしたから、企業研修にいち早くインプロを取り入れて提供し、多くの評価も頂いてきました。
インプロ(即興演劇)をするとき、複数のプレイヤーで行うことが多いです。
そして、提示されたお題を即興で演じるということを行います。
誰もシナリオを持っているわけではないので、Aさんが提示されたお題からある一言を発したら、その一言の意図やイメージを全集中して受け取り、そこからイメージを広げたり深めたりします。
万が一、そこで、自身が持ってしまった別のアイデアにしがみついてしまっていたら、Aさんのアイデアを殺してしまうことにつながりかねません。
インプロのどんなゲームにも基本はここにあります。
そして、これがYes, Andという姿勢になります。
また、インプロの別のグランドルールをご紹介しますと、「Make others look good(相手をよくみせる)」、すなわち、相手が出したアイデアを全力で拾いよくみせるように行動するために、瞬時にそのアイデアの意図や素晴らしさを見つけなければいけないのです。
傾聴することはむずかしい
敢えて言います。
傾聴することは非常に困難です。知識がつけばつくほど、相手が言っていることに対して、自身の考えが生まれてきます。
そして、その考えに縛られ、相手が伝えたいことにもはや耳を塞いでしまうこともあります。
しかし、傾聴ができれば、自身の知識や考えさえもさらに拡大、拡張、深化することができるんです。
自分一人では起こせなかった自身の成長のためにも、より多くの人の考えや意見に耳を傾けてみることが世界観が広がり、そしてそれは自身の成長と飛躍、才能の開花に結びつきます。
ぜひ、一緒にインプロで遊びながら、自身の「聴き方のクセ」を見つけてみませんか?