《2》ツッコミどころ満載?!の森林環境税で森林は救えるか?
ほとんどの国民が知らないうちに法律ができて、2024年から徴収される森林環境税とそれを財源とした森林環境譲与税へのツッコミの続きです。
前回の記事はこちら
「○○○○○税」と 目的が かぶってない?
これは、
自治体に配られている森林環境譲与税の使い道…
ではなく、「ふるさと納税」の活用事例です。
ふるさと納税の総額は、2021年度で約8300億円です。
同じ年の森林環境譲与税の譲与額は400億円ですから、
約20倍の金額が、ふるさと納税として自治体の税収になっています。
その税金で森林保全や林業再生をしている自治体も 少なくありません。
「ふるさと納税」があればいいじゃん!
ちょっと思いついたので、
前回作成した森林環境譲与税のExcelシートに
今度は「ふるさと納税額」をくっつけて、比較してみました。
ふるさと納税の倍率トップの佐賀県上峰町は
森林・譲与額が76万円に対して、
ふるさと納税が 45.5億円!
譲与税がハナ○ソにしか見えない 6000倍の税収です!!
返礼品や手数料が半分掛かったとしても、
20億円以上の臨時税収がある町に、
76万円の森林環境譲与税が必要なんでしょうか?
「ふるさと納税被害自治体」への見返り?!
総務省のHPには、
「ふるさと納税の控除額(よその自治体に流れた税金)」の
ランキングも載っていたので、それも比較してみました。
なんと、森林環境譲与額全国1位の 横浜市がこれも1位!
本来横浜市に入るべき税金 230億円が よその市町村に流出しています。
そりゃ、3億円ぐらい譲与額を貰っても罰は当たらない?!
トップ(ワースト?)10を見ると、
「森林がロクにないのに、譲与額をたくさんもらって不公平!」と
思っていた大都市がずらっと並んでいます。※
ひょっとしたら、譲与税の配分基準を、
「人口3割(森林5割、林業従事者2割)」にしたのは、
ふるさと納税で税収が激減した大都市への見返り(ガス抜き)なのでは?
と勘ぐってしまうのは、私だけでしょうか?
※特に地方交付税から減収分の補填が無い不交付自治体の
川崎市と世田谷区にとっては譲与額は貴重な収入ですね
そして、ツッコミどころをもう一つ…
森林環境税は、「税金の二重取り」です!
24年から一人1000円を徴収される森林環境税ですが、
実は、
全国37府県と横浜市の住民は、15~20年も前から
「森林環境・水源環境の保全等を目的とした超過課税」という趣旨で、
地方税に500円~1000円上乗せして徴収されています(知ってました?)
ちなみに、
22年までの3年間で 7.4億円の森林環境譲与税を貰っている横浜市は、
「横浜みどり税」という市民税も徴収しています。
そして、横浜市民の皆さんは、なんと!
「横浜みどり税」に加えて、
「水源環境保全税」という神奈川県民税(しかも横浜市には配分無!)
も ダブルで徴収されています。
(横浜みどり税は23年まで)
現在、県税として徴収している府県の内、
国税の「森林環境税」導入により、
26年までには 県税を廃止するところもありますが、
2~3年は、国税と県税の両方で、「森林税」が徴収されます。
(私が調べたところでは、愛媛は24年まで、奈良・大分は25年まで)
また、県税版「森林税」の元祖である高知県は、
今のところ「廃止する」というのは HP上で見つけられませんでした。
静岡県は「両方ちゃんと払ってもらいます!」を
しっかりアピールしてました。
まぁ、今、森林税を徴収している府県からすれば、
国がアイデアをパックったうえ、
しかも、国税なのに地方税に上乗せってやり方で徴収するのに
こっちが止める筋合いはない…というところでしょうか?
いろいろヘンなところばかりが目に付く森林環境税・譲与税ですが、
今更文句を言っても、来年からキッチリ徴収されるので
せめて、森林や林業のために有効に使って欲しいですね。
ところが、それもちょっと突っ込みたいので、続きは またいずれ…