《3》ツッコミどころ満載?!の森林環境税で森林は救えるか?
ほとんどの国民が知らないうちに法律ができて、2024年から徴収される森林環境税とそれを財源とした森林環境譲与税へのツッコミの続きの続きですが、今回はツッコミだけでなく期待を込めて…
前回の記事はこちら
森林環境譲与税の活用率は 53%!?
2019年から市町村に譲与された税金は 3年間合計で840億円
そのうち、既に使われたのが 445億円で
半分近い約400億円は まだ使われずに残っています。
特に、
森林*の面積が 1,000ha未満の自治体764の内、
204自治体は 全く使っておらず、
譲与額全額基金としてプールしているようです!
*私有林人工林
森の面積が1,000ha未満というのは、ほぼ台東区(1011ha)くらいで、
国土の2/3が森林という日本においては、
森がほんのちょっとしかない自治体…離島を除けば
大半が都市部となります。
※1,000ha未満の764自治体のうち、
⅓にあたる252は首都圏4都県と愛知県、大阪府の自治体です。
使い道が分からない? 考える人がいない?
せっかくの譲与額を使わずに、
基金にため込んでいる自治体が200以上あるのはなぜでしょうか?
実は森林環境譲与税は、
貰ったお金で、市長の車をセンチュリーにしたり、
市長室にサウナを作ったりみたいな用途で使うことができないんです。
森林環境譲与税は、
「森林整備及びその促進」に使わなければならず、
その使い道をきちんとHP上で公開する決まりになっています。
ところが、お金をもらった自治体の内、149か所は「森林が無い!」
森林が無い自治体は、「森林整備及びその促進」って言われても、
何をしたら(何にお金を使うか?)分からない…
公園の植栽や街路樹の手入れではダメ?
堺市は 森の地面に1万円札を敷き詰めても 余る!?
堺市(大阪府)は、豊臣秀吉並の気前良さで、市内の森林 76haの地面に 1万円札をズラーっと敷き詰めても、譲与額 6800万円は使い切れません!?
(1ha÷「万札1枚:122㎠」≒82万枚 → 76ha×82万枚≒6300万円)
考える人がいない?!
森林が無い、少ない自治体の中には、大都市部など、
そもそも役所に森林や林業を担当する係や担当職員がいない…
という事情もあるそうです。
もう少しなが~い目で見ましょうか!
と、ツッコミばかりでしたが、
譲与が始まって3年経って、
少しずついろいろな取り組み、活用も始まってきています。
森林の多い自治体の取り組み
間伐や再造林、林道整備
管理のされていない放置民有林の調査や整備
里山林・竹林の整備や鳥獣・病害虫対策
新規林業就業者の支援や担い手の研修
一方、森林の少ない都市部は、
子どもたちが木と触れ合う機会づくり:林育
国産材利用促進の普及活動
上下流や友好都市等の関係性を生かした都市・山村の連携の取組
などなど
各自治体の取り組み事例集には、
それぞれ知恵を絞った試みが掲載されており、
今まで顧みられることの少なかった森林と林業に
スポットが当たりつつあるのが伝わってきます。
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/torikumizyoukyou-8.pdf
使い道に関心を持つことが、森林を守り、林業を活かす
皆さんもまず、自分が住んでいる市町村のHPで、
どんな風に使われているかチェックしてみましょう。
ひとり1年1000円を払って終わりではなく、
関心を持つことで、その1000円が活きたお金になり、
私たちの森林が元気になると思っています。