人生をやり直したくなった恋の話①
最後に六本木の彼女の家を訪れてから、3週間の
月日が経過していた。
あれから街はすっかり秋の彩りになっていた。
木々はすっかり黄金色に染まり、冬の訪れを
歓迎するかのように、落ち葉のじゅうたんが
敷かれていた。
俺は落ち葉のじゅうたんをかき分けながら、
季節感のない夏用のNIKEのシャワーサンダルを
履いて、いつもの散歩しながら、
Spotifyのソングリストをタップした。
俺が彼女と初めてコンタクト取ったのは、4月。
桜が散り、樹木が新緑に染まりつつある、
涼しい風の抜ける季節だった。
いつものサイトにいいねがきて、そこから
やりとりが始まった。
プロフィールは程よくアピールが入り、
自己肯定感が高い感じ。
美脚を存分に出している写真は、まるで男達に
餌を差し出し、おびき寄せるような魅惑を放っていた。
アラサーとは思えないほどの美で、全てを
屈服させるように。
俺は、このタイプは確実にモテてきたタイプと
確信していた。
僕のプロフィールは戦略的なプロフィールになってはいるものの、これだけのスト高が来ることはすごく多いわけでもない。
なので他の男との差別化戦略とその打ち手を様々考えていた。
そんな中、彼女の希望により、電話することに
なった。
思っていたより声が高くキャピキャピしている。
話をしてみると予想通り、アプリでは男と既に
5人ほどあっていた。
脚本家と今度会うともいっていた。
つまり私が選ぶのよというスタンスだ。
そして
だんだん嫌いなタイプだなと思ってきた。
1時間ほどお互いのことを話し、会ってみたいという彼女に、俺は今までより話し方より、少しゆっくり目に話した。
そう言い、電話を切った。
彼女は自分から会おうといって、男から拒否されたことはないのだろう。
なんだかオロオロしてるのが電話越しにもわかった。
俺は駆け引きはするつもりはなかった。
リアルに好みのタイプではなかったため、
会う気が本当になかったのだ。
だが、この対応が彼女の心に火をつけてしまった。
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