【小説】アンジェリークとジュディスが仲良くなったきっかけ考察
めぐりあいは再びngに出てくるジュディスが好きすぎて考察しました。
以下、小説。
日曜日、午前9時15分。
私は“仮プリ控え室”と大きく書かれた看板の前にいた。お父…叔父様と一緒に来ているから、受け付けはしていないけれど、済んでいるような物らしい。それ、受け付けの意味ある?
そもそも、私が出ちゃって大丈夫なの?私の結婚相手を探すイベントなのに。…あと仮プリって何!?絶対大司教様が考えたんだわ、あの方そういうの好きだし!
…ルーチェにも、ちゃんと話せなかったし。何よ、『僕にそんなこと言う権利はない』って!あなたそれでも私の彼氏なの!?
「…ねぇ、あなたも“仮プリ”なの?」
後ろから控えめに声をかけてくれたのは、ピンクのドレスの似合う可愛い子。目がぱっちりしていて、うさぎさんみたい。
「え、そ、そうよ。あなたも?」
「よかったぁ!ねぇ、一緒に入らない?1人で不安だったの!」
今まであまり外に出ていないから、私に友達なんて、ほとんどいない。だからこの子が声をかけてくれたことが嬉しくて。しかも、可愛くて。きっと男の子にも人気なんだろうな。ルーチェも…って、何で私またルーチェのこと考えてるんだろ!?
「ねぇ、名前きいてもいい?私はジュディス。」
「私はアンジェリーク。…さっきからずっと思ってたんだけど、あなたの髪型とても素敵ね!」
基本はローツインなんだけど、前髪とか、ゆるく巻いてある部分とか。凝っていてしかも似合ってる。
「本当に?よかったぁ、1時間かけて準備した甲斐があったわ…」
「じ、自分でやってるの!?」
「えぇ!だって今日はロナン様に…あっ」
しまった!という風に、口を両手で隠すジュディス。言わないつもりだったらしく、すごく焦っている。顔を赤く染めながらそんなこと言われたら、レオニード様みたいな恋愛のエキスパートじゃなくても、私にだって、わかっちゃうよ。
「き、聞かなかったことにしてくれない?」
「いいけど…」
ロナン様。社交界に疎い私でももちろん知っている、宰相オンブルのご子息。花婿候補については叔父様から何も伝えられていないけれど、ジュディスが言うならロナンも参加するのかも。って、あれ?ジュディスはロナンが好きなのに、ロナンは花婿候補なの?それって、
「寂しく、ならない?」
「…いいの!私はロナン様が幸せなら、それで…」
そして最悪のタイミングで、他の“仮プリ”たちの噂話が聞こえてくる。
「今日の花婿候補に、ロナン様もいらっしゃるみたいよ!」
「えぇっショック!私、ロナン様のこと好きだったのに」
「まぁでも王女様には敵わないし…」
向こうの彼女たちの盛り上がりと反比例して、今にも泣いてしまいそうなジュディス。ロナンがジュディスをどう思ってるかは知らないけど、こんな可愛い女の子を泣かせるような真似をするなんて。
「ロナン…」
どうしよう。友達になった子の好きな子が、私の花婿候補だなんて。しかもこうして名家のお嬢さんたちの噂になるくらいだから、素敵な方なのかも。いや、いくら素敵な方でも、花婿選びで優勝したとしても、友達が好きな人を取るようなこと、私はしたくない。
「わ、私にも好きな…あぁ今は喧嘩してるけど…好きな人が!いるんだけどね?」
どんどん、声が小さくなる。私だって、ルーチェが来てくれたらいいなとは思ってるけど!でも私が王女だってことも言ってないから、花婿選びに参加してる訳はないし。もし、してたら?…そんな訳、ないよね。
「…え?」
「でもお父様が、そろそろ結婚相手を見つけろーって。それで…」
「だめよ!!!!!!」
待合室中に響き渡る、大きな声。向こうで話していた“仮プリ”たちも、待合室の前で受付をしていた従者たちも。全員がジュディスを、私たちを見ている。
「恋は叶うんじゃなくて、叶えるもだって。お母様が言っていたわ」
ジュディスがこんなにも可愛くて、恋に一途に生きているのはきっと、お母様の影響なんだろうな。お母様も、ジュディスと同じくらい可愛い方なのかしら。
「で、誰なの?そのお相手の方は」
「えぇ!?…る、ルーチェ。ルーチェ・ド・オルゴン。オルゴン伯爵家の次男よ」
「いいじゃない!!お父様はどうして反対してるの?」
「…コホン。ご歓談のところ恐縮ですが、皆さまの出番が近付いて参りました」
時計を持った従者が私たちに声をかける。ついに始まるのね、王女の…私の、花婿選びが。
「ねぇ、アンジェリーク。あなたの恋、応援するわ!」
「…私もよ!ジュディスみたいな可愛い子の恋が叶わないなんて、あり得ないもの!」
それじゃ行きましょ、と立ち上がる私たち。どちらからともなく手を繋いで、笑いながら。花婿候補たちの待つ広間へと急いだ。
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