私の長い青春が終わった
50巻のネタバレあるので嫌な人は見ないでください。
私がこの漫画に出会ったのは、小学生の頃。
どういう訳か、ある日突然我が家の本棚に置かれた5~6冊の漫画。父親が“大人買い”してきたとばかり思っていたけど、後で聞いたらどうやら違うらしい。まぁ、そんなことはどうだって良い。色彩あざやかな背表紙に心踊らせながら手に取った1巻の表紙は、大きな瞳でこちらを見つめる女の子。小学生当時の私は題名の「ちはやふる」が何のことかすら知らなかったけれど、逆にそのお陰で、千早と同じ速度で競技かるたの世界を知ることができたし、かなちゃんの蘊蓄に惹かれて、千早同様、私もどんどん百人一首の世界に魅せられていった。
そして先日。
12月13日発売の「ちはやふる」第50巻、単行本最終巻で、千早たちの青春は一旦幕を閉じた。
読みながら声にならない叫びをあげたり、涙を流したり、そういう声にならない声は出ていたけれど、でも読み終えて最初に出た言葉は「いや知ってた!!知ってたよ!!!けど!!!」だった。そりゃあ最終巻で、名人戦クイーン戦それぞれの挑戦者が新と千早で、最後に残った札があの二枚で、最終巻で(大事なことなので2回言った)。正直、そのふたりが勝たない訳が無いのよ。雑誌は違うけどやっぱり少年漫画には「友情、努力、勝利」の鉄則があるからね。「ちはやふる」は少女漫画かつ少年漫画、読み始めた当初から千早がクイーンになることと、太一か新かどちらかと付き合うことの2点に関しては、予想出来てたというより“分かって”たよ。どちらに転ぶかは、私が“新派”なこともあって期待がね、拭えなかっただけで。
でもストーリーの奥深さが、いや、そんな安直な言葉で片付けたくはないな、ちょっと待って
…整いました。
登場人物のみんなが競技かるたへ、もしくは競技かるたを愛している人に向ける想いの強さによって、物語は私なんかが想定していた何倍も、何十倍も濃く、感動させられるラストを迎えていて。読めば読むほどに昔の、巻数がまだ一桁の頃の内容が脳裏に甦ってきて、本当に涙が止まらなかった。それに、感動させられたのは何も、名人クイーン戦の試合結果にだけじゃなくて。本編で描かれた千早たちの高校卒業時&卒業後の姿、そして菫ちゃん目線で綴られた本編の数ヶ月後を描いた物語「はなのいろは」も、涙腺が既に決壊していた私にとっては感動以外の何物でも無くて、涙が漫画に染みないようティッシュで必死に拭いながら読んだ。
最終巻を読んだ翌日、つまりは昨日。
一夜明けてもまだ「ちはやふる」の世界に浸かっていたくて、それでどうしても1巻が読みたくなって。これ以降のnoteをきちんと書くため~なんてテスト前の自分に言い訳をしながらあの赤色の背表紙に手を伸ばした。嘘、面白すぎてとりあえず3巻まで一気読みした。3巻っていうと団体戦、北央学園の須藤さんに「ごめんなさいじゃないとイヤだ♡」って攻められるところで終わります。語弊???
そしてまた、泣いた。
涙腺がゴミなので第一首から泣いてた。3巻くらいになると涙引っ込めて普通に物語を楽しんでいたけども。
あの!!!勉強が苦手でお姉ちゃん大好きっ子だった千早が。方言のせいで東京の小学校に馴染めなかった新が。1位になれないなら大会に出るのをやめなさいとお母さんに叱られていた太一が。最終巻までの成長過程、そして続編「はなのいろは」での三人それぞれが見た目も中身も清らかに成長した姿を知ってから読むと本当に、ひとつひとつの台詞が効いてきて、泣けて。
うわああああああああああっっっ!!!そうっっ!!!そうだよっっ!!!新が名人になるときは千早もクイーンになるんだよ(盛大なネタバレ)(多分前半の段階で察せてしまう)!!!千早の才能に誰よりも、本人よりも早く気がついて、でもまだ100首も覚えてないような同い年の女の子相手にクイーンって大きな夢を与えてくれた新、本当にありがとう…!!!
…取り乱したな、もう少し読み進めよう。
原田先生!!!この漫画のストーリーにおいて主要登場人物の中で“重要じゃない人”なんている訳ないけど、競技かるたを描く上で先生の存在はすごく重要だったと思う。小学生時代の私には自分より40歳も年上で、かつ同じ趣味を持つ人なんて知らなかった。だから漫画の中で生き生きしてる原田先生が、そして年齢も性別も関係なく楽しめる競技かるたが本当に、めちゃくちゃ魅力的に見えた。いつか白波会から名人をってずっと言ってたもんね、初めてのクイーン、嬉しいね。名人の夢は、いつか太一が叶えてくれるのかな。
そして、原田先生の名言といえば外せないこの台詞。
太一のために言った台詞なんだろうけど部活現役時代の私もこの言葉に支えられました!!!ありがとう原田先生!!!そしてありがとう末次先生(作者)!!!!!!
というか先生陣もみんな好き!百人一首は覚えられなくても千早たちのことは全力で応援する宮内先生、千早の将来の目標を見つけさせた深作先生、自校の生徒のためかもしれないけど何かと千早のことを気に掛ける桜沢先生、顧問の先生だけじゃなくて各かるた会の先生もみなさんキャラが濃くて、というより濃すぎて、あっそういえば坪口さんもどこかの顧問になってたんだっけ…年末年始もういっかい最初から読み直すか…
なんか騒ぎ倒したら落ち着いてきたな。
私が小学生時代から二十歳の今まで、ずっと追いかけ続けた「ちはやふる」の完結。私の青春なんて数年前に終わっていたはずなのに、何ならもっと前に終わっていたようにも感じていたのに。この最終巻を読んでようやく、一片の悔いなくそれが終わったような、そんな気がした。
末次先生、
この物語を生み出してくれてありがとうございます。
別冊の中学生時代も含めて、
最後まで描ききってくれてありがとうございます。
最後、千早たちの卒業の場面で宮内先生が“センター”じゃなくて“共通テスト”って言っていたことに、「これガチで今の話じゃん!?」と驚いた、共通テスト第一世代より
↑絶対にこの記事のどこかで触れようと思っていたのに最後まで挟めなかった小ネタ
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