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「旧震度」観測点(気象官署)一覧【2022/1/22・日向灘・強震まで】
【はじめに】
この記事では、「旧震度」(私独自の震度比較指標)において、震度を採用することとしている観測点(気象官署等)を一覧にまとめるとともに、その地点での直近での最大震度の観測事例を併記します。
どこそこの観測点で「中震・強震・烈震」などの強い揺れを観測するのは、いつ以来かを速報ベースで判断できるよう、データを整理することを目的としたページになります。
ちなみに、震度観測点についてのイメージとしては『震度計での計測震度』が定着する前、気象台で職員が「体感」で震度をはかっていた頃だったら、今回(平成・令和時代)の地震の震度はどういう分布になっていたんだろうというのを見定めることが目的です。
(参考リンク)
気象庁震度データベースの整備及び活用例について
第4表 気象官署における震度観測履歴
北海道地方
「震度データベース」では、烈震を観測したのは「浦河」と「釧路」のみ。ただし、1952年の十勝沖地震では、複数の町で震度6を観測し、幸震村では当初・震度7(後に5と訂正)という激烈な揺れが観測されるなど、大地震と烈しい揺れに繰り返し見舞われてきました。
一方で、オホーツク海側を中心に中震(震度4)以上を観測したことが無い観測点も結構あることから、広大な土地、地域差が大きい事も分かります。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
札幌 8 180906
函館 14 1 180906 680516
森 8 180906
江差 5 1 930808 930712
小樽 10 1 180906 930712
倶知安 7 180906
寿都 4 1 930713 930712
岩見沢 8 180906
旭川 4 180906
羽幌 3 1 930803 041214
留萌 2 950523
稚内 0 - (弱:131125)
枝幸 0 - (弱:560306)
網走 3 941004
紋別 0 - (弱:030926)
雄武 0 - (弱:030926)
室蘭 6 930712
苫小牧 18 3 190221 180906
浦河 67 15 3 181230 160114 030926
帯広 34 6 180906 130202
広尾 28 7 160114 030926
釧路 66 9 2 130202 041129 941004
根室 48 2 180414 941004
東北地方
古くから大地震に繰り返し見舞われてきた東北地方。
震度6を記録した事例は、震度計での観測になってからばかりで、体感での震度観測時代は全て最大でも「5」でした。
しかし、1968十勝沖地震、1978宮城県沖地震などを始めとする大地震では、ひょっとすると計測震度なら「6弱」に到達していたんじゃないか?と思うような事例も正直ありますし、地震が頻繁に起きることから『バイアス』が掛かり、厳し目に判定されていた可能性もあるかも知れないと思ってます。
ちなみに、「いわき市小名浜」ではこれまでに100回以上、震度4以上が観測されており、「+」記号で回数表示を割愛してあります。ご了承下さい。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
青森 36 2 120524 941228
深浦 4 2 851202 930712
八戸 47 5 1 211006 080724 941228
むつ 40 4 180906 030926
宮古 55 3 211006 110311
大船渡 68 5 3 210501 210320 110407
盛岡 76 8 211006 110407
仙台 42 10 2 210501 210320 110407
石巻 37 12 3 210501 210320 110407
秋田 16 3 190618 830526
酒田 21 2 210213 190618
新庄 10 4 210213 110407
山形 9 210213
福島 63 10 210501 210213
白河 35 5 190804 210213
小名浜 + 18 1 210320 210213 110311
会津若松 10 1 210213 110311
関東地方
首都直下型地震などを取り上げられることの多い関東地方。震度6以上が「震度データベース」に登録されてるのは2例。関東大震災と東日本大震災です。しかし、特に関東大震災とその余震活動においては、震度のデータが欠損しているものが多い上に、体感での観測ということもあって、相対的に震度の数字が小さく見積もられていたのではないかと思う事例もあります。
(例えば、本震が「6」だったから、それ以降は全て「5」以下だったり、今なら「5弱」とかになりそうな地震でも「2~3」との報告だったり)
そういったデータ上の留意点を考慮せずとも、茨城県内の2地点では100回以上、東京・横浜でも70回以上「震度4以上」の揺れが記録されていることからも、大都市での地震に対する備えが必要だと強く感じます。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
水戸 + 7 1 211101 110311' 110311
柿岡 + 5 1 211007 110411 110311
日光 23 8 110311 961221(戦前7例は「?」)
宇都宮 75 2 210213 110311
前橋 16 1 180617 310921
熊谷 55 7 1 140916 110311 230901
秩父 11 1 890219 110311
銚子 68 8 200625 120314
千葉 32 4 210213 211007
館山 41 1 211007 300524
勝浦 18 1 180707 871217
東京 66 8 1 211007 140505 230901
伊豆大島 68 6 060421 861122
三宅島 77 20 000816 130417
八丈島 15 1 1 090813 720229 721204
小笠原 6 220104
横浜 63 9 210213 211007
甲信越・北陸地方
21世紀に入って、震度6クラスの地震活動が目立つ甲信越・北陸地方。但し面積に比して観測点が少ないこともあり、「烈震」として捉えられる例は、むしろ稀です。
1984長野県西部地震(王滝村)や2011長野県北部地震(栄村)は震度4。2004新潟県中越地震は震度5(弱)としか気象官署では捉えられていません。
旧観測網で「最大震度3~4」だった地震が、現在ならば「震度5~6」に化けることも十分考えられることも考慮した上で、震度を見比べる必要があろうかと思います。
むしろ、昔の観測網で「震度5以上」が記録されていれば、(もほどの直下型でも無い限り)相当の揺れが広範囲で観測されていたとも想像できます。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
上越 18 4 141122 070716
新潟 11 1 210213 640616
相川 11 2 070716 120218
富山 6 070325
伏木 5 1 070325 301007
輪島 17 5 1 150201 200313 070325
金沢 4 070325
福井 19 3 1 200904 461221 480628
敦賀 10 3 991107 630327
甲府 32 14 2 110315 110311 240115
河口湖 16 3 120128 110315
長野 45 3 1 180512 141122 410715
松代 50 9 680404 671004
松本 4 1 110630' 110630
諏訪 15 141122
軽井沢 3 110311
飯田 3 110801
東海地方
昭和の時代から「東海地震」への警戒が説かれてきた東海地方。昭和の始め頃は、1930・1935・1944年にかけて立て続けに烈震が記録されましたが、その後、2009駿河湾地震まで半世紀余り、顕著な地震はありませんでした。
しかし、終戦までの100年間では、伊賀上野地震、濃尾地震、北伊豆地震、昭和東南海地震、三河地震など大きな被害を伴う地震が起きていますので、決して油断してはならないでしょう。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
高山 3 110227
岐阜 8 2 950117 461221
網代 47 2 190624 060430
石廊崎 5 1 110801 740509
三島 19 1 120128 - 301126
静岡 10 3 1 110315 110801 350711
御前崎 5 2 110801 - 090811
浜松 2 2 090811 441207
伊良湖 7 040905
名古屋 16 1 110311 441207
四日市 5 070415
津 20 4 1 070415' 070415 441207
伊賀上野 13 070415
尾鷲 9 2 040905 461221
近畿地方
1920年代に豊岡で2度、1995阪神・淡路大震災でも「烈震」を記録している近畿地方は、『地震は東日本(他地域)で起こるものだ』という迷信が時代を越えて蘇り、油断していた所に大地震が起きて被害を拡大してきました。
また、大阪管区気象台(大阪中央区大手前)では「震度4」とされた阪神・淡路大震災ですが、現在の震度算出式に則れば「5弱」には達していたとの研究があります。
大阪・神戸での気象台の観測値が、必ずしも「全体を代表する値ではない」ことを考慮する必要があることを認識させてくれた地域でもあります。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
彦根 15 3 180618 950117
舞鶴 5 950117
京都 15 4 180618 950117
大阪 13 1 180618 360221
豊岡 20 9 2 161021 950117 270307
神戸 17 1 180618 - 950117
姫路 7 950117
洲本 12 3 1 950218 130413 950117
奈良 13 4 040905 461221
和歌山 35 3 210215 461221
潮岬 8 1 040905' 461221
中国・四国地方
1943鳥取地震及び2000鳥取県西部地震で2度「烈震」を観測していますが、1946昭和南海地震では「最大震度5」とされました。
殆どの地点が20回程度以下に収まるなど、東日本に比べて「震度4以上」の回数が少ない印象です。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
鳥取 17 3 1 040905 161021 430910
米子 11 1 180409 001006
境港 21 1 1 180409 461221 001006
松江 5 1 180409 001006
浜田 1 461221
隠岐の島 4 161021
津山 3 1 161021 301221
岡山 8 1 001006 430910
福山 6 6 140314 010324
広島 5 1 140314 010324
呉 14 1 161021 010324
徳島 15 3 130413 001006
高松 7 1 010324 461221
多度津 16 1 140314 461221
松山 12 1 140314 010324
宇和島 14 2 220122 010324
室戸岬 6 1 620104 461221
高知 9 2 070426 010324
宿毛 7 2 220122 680401
足摺岬 4 680806
萩 9 2 160416 430910
下関 8 160416
山口 5 050320
防府 9 3 140314 311102
九州・沖縄地方
九州北部は1桁の数字が続いていますが、そんな中、2005福岡県西方沖地震が起きましたし、2016熊本地震では史上初めて「震度7が2度」観測、気象官署「熊本」でも2度「烈震」を記録しました。
その他では「日向灘地震」が懸念される大分から宮崎にかけて比較的多く、名瀬や西表島でも多くの揺れが観測されてきた歴史があります。
地点名 中 強 烈 中直近 強直近 烈直近
福岡 6 2 160416 050420
飯塚 2 1 160416 050420
佐賀 6 1 160416' 160416
佐世保 1 050320
平戸 2 160416
長崎 2 1 221208' 221208
雲仙 4 1 160416' 160416
厳原 1 050320
福江 0 (弱:331106) 「五島市木場町」
阿蘇山 30 7 1 220122 160418 160416
熊本 55 6 2 210506 160831 160416
人吉 23 6 220122 160416
天草 7 6 160416 371026 「天草市牛深町」
大分 24 4 150713 220122
日田 9 1 160416 260612
延岡 19 3 190327 220122
宮崎 30 8 220122 961203
日南 23 2 961203 700726 「日南市油津」
都城 18 3 190510 700726
鹿児島 19 1 170711 280603
枕崎 5 170711
阿久根 6 4 160416 970513
種子島 2 990124 「西之表市西之表」
屋久島 10 990124
名瀬 33 5 190210 150522
沖永良部 13 191218 (和泊町国頭)
名護 0 (弱:111108)「宮里」観測:1972年~
那覇 7 1 100227 19200605
久米島 1 610505
南大東島 0 (弱:111108)
宮古島 8 1 970813 580311
石垣島 8 3 041015 580311
与那国島 6 1 041015 660313
西表島 65 9 041015 001114 「西表東祖納*」