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「アニソン総選挙2020」年代別に並べてみた(その1)【1960~1980年代 編】

【はじめに】

この記事では、2020年9月6日にテレビ朝日系列で放送された特別番組の『国民13万人がガチ投票! アニメソング総選挙』(以下、アニソン総選挙)について、年代別に並べ替えてみようという趣旨の企画です。

2000年代に何度も放送された、テレビ朝日系列、爆笑問題司会のランキング番組ということで、大変楽しみにしていて、個人的には満足したのですが、やはり20年近く経って、こうした番組の楽しみ方を理解できていない視聴者層による苦言のコメントが(予想以上に)多かったなという印象でした。

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まずは、昔ながらのアニメソング(というか、テレビまんが主題歌)が並ぶ1960~80年代(ほぼ昭和時代)の楽曲達で再編集して行こうと思います。

全体で発表された「ベスト30」内に、1980年代以前の楽曲がちょうど10曲、ランクインしました。順にご紹介していきましょう。

10位:1973年『マジンガーZ』/水木一郎

アニソンシンガーを代表する【水木一郎】アニキが10位(全体30位)に堂々ランクイン。言わずと知れた代表曲『マジンガーZ』です。

「アニソン総選挙2020」放送時点でアニキは、『原始少年リュウ』の主題歌「原始少年リュウが行く」でアニソン歌手デビューしてちょうど50年です。

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しかし、20年前のアニソンランキング番組ならば、全体でもTop10入りしてきそうな『マジンガーZ』をして、全体Top30入りが“やっと”と言う時点で、隔世の感があるな、というのが正直な感想です。

9位:1978年『ルパン三世のテーマ(ヴォーカル版)』/ピートマック・ジュニア

細かく言えば、『ルパン三世(TV第2シリーズ)』の2代目エンディングとなる「ルパン三世のテーマ(ヴォーカル版)」が9位にランクインしました。

1977年に放送が開始された『ルパン三世(第2シリーズ)』の当初2クールは、"ユー&エクスプロージョン・バンド”によるインスト・バージョンでした。しかし、視聴率が高水準で推移する人気番組になっていた事などから、主題曲に歌詞を付けることとなり、誕生したのがこのヴォーカル版でした。

8位:1985年『水の星へ愛をこめて』/森口博子

今回、ガンダムシリーズの中で最上位に来たのが、『Zガンダム』の主題歌「水の星へ愛をこめて」でした。発売から30年以上経ってから、様々な企画の効果も相俟って、シリーズ屈指の人気曲となった印象があります。

7位:1963年『鉄腕アトム』/上高田少年合唱団

全体19位、白黒時代のテレビまんが主題歌としては唯一ランクインしたのが『鉄腕アトム主題歌』でした。

番組最初の紹介曲である20位が、『曇天』と昭和世代に馴染みの薄い曲だった所から一転、一気にオールド世代ご用達の『鉄腕アトム』へ行くあたり、番組構成的には完璧だったと思います。
(もし仮に、18位のAqoursが曇天の次に紹介されていたら、相当数の視聴者がチャンネルを変えていたのではないかと思う程です)

なお、こちらも厳密に言えば、1~30話まではインストバージョンが、OPで使われていた事情に鑑みれば、谷川俊太郎・作詞、上高田少年合唱団・歌の良く知られたバージョンは「2代目OP」と注記しておくべきでしょう。

6位:1989年『CHA-LA HEAD-CHA-LA』/影山ヒロノブ

記事を書くにあたって、10年代ごとにするか、或いは「元号」別にするかを迷った際に、決め手になったのが、この『CHA-LA HEAD-CHA-LA』でした。

1989年(平成元年)の楽曲ではありますが、バランスなども考慮して、こちらの記事に登場させることにした次第です。「摩訶不思議アドベンチャー」と比べても、非常にオシャレで平成アニソンの先駆け的な印象もあります。

ウエンツ瑛士さんが1位予想したものの、番組序盤(とはいえ17位)に登場し、『早いんじゃない?』と焦りを見せましたが、ご本人登場&本人歌唱にテンションぶち上がりな30~40代は大変多かったのではないでしょうか。

5位:1979年『銀河鉄道999 -THE GALAXY EXPRESS 999-』/ゴダイゴ

まんが主題歌から、アニメソングへと移り変わったかのような感覚に至る、1979年(昭和54年)のアニソンに限らずの大ヒット曲。ザ・ベストテンでは1位に輝き、年間でも8位にランクインしました。(楽曲:4分40秒~)

作曲担当のタケカワは、それまでロックやポップを使ったアニメソングがなかったため、「ここでその常識を変えるんだ」とやる気満々だったという。「口に出さないのに、格好良いと思った曲は絶対に良い曲」と豪語し、最初のフレーズを作った時には、既に良い曲になると確信していたという。またこのフレーズにおいて、音がどんどん高くなっていくところが、999号が宇宙へ飛び立つシーンを表現できているという。そして今でも、歌うと皆が喜んでくれるこの曲は、ただのヒット曲ではなく、皆の心の中に未だに銀河鉄道999は走り続けているのだと感じているという。(ウィキペディア抜粋)

4位:1969年『サザエさん』/宇野ゆう子

番組放送開始が1969年、50年以上続くアニメーションで、ギネス世界記録にも認定されている『サザエさん』。

よくよくランキングを振り返ると、全体11位とTop10入りは逃したものの、いわゆる『ファミリーアニメ』としては唯一のランクインであったあたり、本当に根強く幅広い層に人気があることを実感させられます。
※他局で、利権的にオンエアできないにも関わらず、しっかりと入れた辺り(実際はTop10入りしてたのを11位に落とした可能性は否定できませんが)ある程度は評価できるランキングだったのかなとも思った次第です。

ではここで、1960~80年代のアニソンの中で、Top10(全体Top30)入りを逃した楽曲を列挙していきたいと思います。貴方の好きな曲は何位に!?

11~36位(全体31~100位)

11位:1984年『愛をとりもどせ!!』
12位:1968年『行け行け飛雄馬』
13位:1967年『ゲゲゲの鬼太郎』
14位:1988年『さんぽ』
15位:1963年『鉄人28号』
16位:1979年『翔べ!ガンダム』
17位:1976年『キャンディ♥キャンディ』
18位:1986年『ペガサス幻想』
19位:1979年『誰がために』
20位:1986年『君をのせて』

非常にバランス良く票が投じられているなという印象。20年近く前の番組だったら、全体Top30には入ってきたであろう楽曲たちが並んでいます。

21位:1979年『ドラえもんのうた』
22位:1981年『哀 戦士』
23位:1984年『愛・おぼえていますか』
24位:1974年『おしえて』
25位:1988年『となりのトトロ』
26位:1972年『ガッチャマンの歌』
27位:1972年『GO! GO! トリトン』
28位:1970年『あしたのジョー』
29位:1974年『真赤なスカーフ』
30位:1988年『アンパンマンのマーチ』

太田光さんが猛プッシュしていた『あしたのジョー』は28位(全体77位)。あと、『となりのトトロ』や『真赤なスカーフ』など、別曲が上位にランクインしている作品からの2曲目のランクインが目立ちますね。

31位:1986年『魔訶不思議アドベンチャー!』
32位:1988年『STILL LOVE HER(失われた風景)』
33位:1963年『エイトマン』
34位:1972年『デビルマンの歌』
35位:1981年『ラムのラブソング』
36位:1983年『キン肉マンGo Fight!』

「キン肉マンGo Fight!」(36位)が、全体96位という位置です。あまり意外なランクインは無く、むしろ着実に人気のある楽曲たちが、順当に票を集めTop100には食い込んできたといった感じがしました。

それではいよいよ1960~80年代のTop3を発表していきましょう!第3位!

3位:1987年『Get Wild』/TM NETWORK

アニソン総選挙の5日後には、「Get Wild退勤」がTwitterトレンド1位になったり、2017年の秋の園遊会で、眞子内親王殿下が小室哲哉氏との話題に取り上げられるなど、平成以降も時代を超えて愛されています。

ちなみにOP主題歌ではない楽曲(本曲は『シティーハンター』EDテーマ)として、全体8位は最高位となりました。

特に平成生まれや、アニソンに詳しくない方々には、アニメソングだということを知らずにこの曲に親しんでる層もかなり居るんじゃないでしょうか?

この番組をキッカケに、『これ、アニソンだったんだ!』という発見をしてくれる人が出てくださることを期待しています。 それでは2位!

2位:1985年『タッチ』/岩崎良美

オリコン週間12位で年間39位と当時からヒットし、実は、日本レコード大賞「金賞」受賞曲でもある『タッチ』は、高校野球の応援ソングなどとして、定番曲となりました。

3位から2位は昭和60年代、1980年代後半の楽曲がランクインしましたが、いわゆる『テレビまんが主題歌』の代表格が、それらの楽曲を押さえ、1位(全体3位)にランクインしました!

1位:1974年『宇宙戦艦ヤマト』/ささきいさお

全体の流れとして、『昭和(のアニソン)は遠くなりにけり』と感じた令和のアニソン総選挙でしたが、『紅蓮華』と『残酷な天使のテーゼ』という、マッチレースに一矢報いる形で全体3位入りを果たしたのが、お馴染みのOP『宇宙戦艦ヤマト』でした。

そのご健在ぶりが驚かれていた【ささきいさお】さんは、1942年生まれで、放送当時78歳。歌手デビューが1960年で60周年。声優・アニソン歌手としてのデビューから数えても半世紀近くなります。

いわゆる「アニソン四天王」が苦戦する中、楽曲人気、作品人気の両面から票が集まった『宇宙戦艦ヤマト』がランクインしてきたことで、妙な嬉しさというか安心感を覚えてしまいました(笑)

【おわりに】

ではここで改めて、1960~80年代のTop10を振り返ることにしましょう。

1位:1974年『宇宙戦艦ヤマト』
2位:1985年『タッチ』
3位:1987年『Get Wild』

4位:1969年『サザエさん』
5位:1979年『THE GALAXY EXPRESS 999(銀河鉄道999)』
6位:1989年『CHA-LA HEAD-CHA-LA』
7位:1963年『鉄腕アトム』
8位:1985年『水の星へ愛をこめて』
9位:1978年『ルパン三世のテーマ(ヴォーカル版)』
10位:1972年『マジンガーZ』

今回初めてこうしたランキングを見た方からすると、「代わり映えしない」「いつもの楽曲ばっかり」に見えるかも知れません。

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しかし、個人的には、十数年前の同番組のラインナップと比べて、やはり、時代が移ってきているのかなと感じる点が幾つかありました。

1つ目は「1960年代楽曲」の弱体化
2つ目は「1980年代楽曲」の台頭
3つ目は「テレ朝」への忖度の低下 です。

NHKのランキングに比べれば多いものの白黒世代も年を取られたのか、以前に比べて1960年代の楽曲が弱体化し1980年代楽曲が押し上げられる形に。少しずつ人口ピラミッドが動いてきているのかなと感じました。

それとは別に、上位ランクイン曲は殆どが日テレ系かフジテレビ系であり、「ドラえもんのうた」などは、声優陣が刷新される前ならば(テレ朝忖度もあってか)必ず上位に食い込んでいたはずなのに、21位(全体54位)に沈んだことも時代の変遷という意味で象徴的な出来事だったと思います。

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一方、「こんなランキングをやることに意味が無い」だとか厳しい声もSNSなどで聞かれましたが、令和になった2020年に、こうしたランキングを作り地上波で(Top30までとはいえ)放送することに一定の意義はあったものと思っています。

それは、私がこの手の番組を子供の頃に見て『自分の知らなかったアニソンを知るキッカケ』になったので、若い人にもそう感じて欲しいのが1点。
また、長い目で見た時に、『もう増えない昭和のアニソンにもトレンドがあって、徐々に動いている』ことを、細かく見れば認識することが出来るのがもう1点です。

むしろ、ここ最近の話題のアニソンだけでランキングが構成される人気投票であれば、地上波で放送しなくても、アニラジやYouTubeなどのコンテンツで十分かと思いますが、全国的に放送される地上波のゴールデンで放送するからには、こうした時代も雑多で、全員が少しずつ不満を持ちながらもランキングとして鑑賞し、各々の中で納得するのも一つの様式美ではないかと。

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以前は、古い定番のアニソンばかりの中に「新しいアニソン」が(唐突に)ランクインしてくると嬉しかったですが、今回は逆で「お茶の間は知らない作品が多いだろうな」と思う新しめのラインナップの中に、昭和のアニソンが入ってくると、「そうそう、この感覚だよ!」と逆に感じてしました。
こういう感覚を味あわせてもらわないと、地上波でこの手のランキングをやる意味がないじゃん!と思った次第でした。

今回のランキングに登場した楽曲たちは、その後の時代の楽曲たちとは異なり、半世紀近い時間が経過する中でそうした淘汰を経尽くしています。故にラインナップが劇的に入れ替わるような時代は確かに無いかも知れません。

しかしだからといって、全く変動が無い訳ではなく、時代とともにちょっとずつ動いているんだという観点を持つことが重要だと思います。そのための一里塚(マイル・ストーン)として、2020年にこのランキングが発表されたことを喜びつつ、オールドなアニメファンが安心して見られるランキングを提供すべく、1960~80年代に特化した記事を書かせてもらいました。

次は、1990年代以降の楽曲について、「アニソン総選挙」を振り返るつもりですので、そちらもぜひご覧ください。以上、Rxでした!


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