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21世紀の東京都心の大雪警報について【2022年1月まで更新】
【はじめに】
この記事では、東京都心の『大雪警報』等について簡単に纏めて振り返っていきたいと思います。
0.「東京(千代田区)」の雪の基本データ
まずは、気象庁のホームページの中から「東京(千代田区)」の雪に関する基本データをピックアップしていきます。
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都心部では、「12時間降雪の深さ10cm」を『大雪警報』の、「同5cm」を『大雪注意報』の発表基準としています。
ですので、『大雪警報』が仮に発表される時は「10cm」が一つの予測目安ということになります(これは当然、地域により基準が大きく異なります。)
また、過去の約150年の観測記録の中から、雪に関するものをピックアップして、2010年代以降のものに色付けをすると、こちらとなります。
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4つの項目すべてに色がついているのが、黄色の2014年2月の事例。ついで緑色(2018年1月)の事例では、降雪の深さ日合計23cmを記録してます。
ではここからは具体的に過去(主にここ四半世紀)の『大雪警報』発表事例を見ていきましょう。
※ (1998年1月)積雪15cm・16cm
記事のタイトルと若干相違しますが、1998年1月の大雪では、1月8~9日と15日【成人の日当日】の2度にわたって積雪15cmに達しました。後述の2014年までは東京都心での最後の10cm超の事例として知られていました。
1.(2001年1月)積雪8cm
2001年1月27日は、日中の気温が昼過ぎまでは0℃台、午後3時頃から1℃台で推移。午前9時に積雪1cmを観測すると、14時半に大雪警報を発表し、夕方には最大で積雪8cmを記録。夜になって雪が雨に変わったため、大手町の観測では10cmに至りませんでした。
2001/01/27
02時 +3.7℃ -cm 降水開始
09時 +0.6℃ 1cm 積雪観測
11時 +0.9℃ 6cm
17時 +1.2℃ 8cm 最大積雪
24時 +4.2℃ 5cm
2001/01/28
16時 +9.3℃ 1cm
2001/01/29
11時 +7.9℃ -cm 積雪終了(約2日)
ちなみに夕方に停電が発生し、栃木県と千葉県内で最大124,500戸が停電。関東地方でも広く負傷者が出ました。
2.(2014年2月)積雪27cm×2
2014年は2月に2度「大雪警報」が都心に発表されました。この年は、平成26年豪雪と呼ばれる大雪となり、冬全体で全国で1,000名、都内でも200名を超える死傷者が出ました。
(1)2014年2月8日
明け方から半日以上、日中「氷点下」となった2月8日は、午前7時に積雪1cmを観測すると、午後3時に10cm、午後7時に22cm、午後11時に27cmと、45年ぶり(1969年3月以来)に積雪が25cmを突破。
2014/02/08
02時 +3.2℃ -cm 降水開始
07時 -0.5℃ 1cm 積雪観測
12時 -0.4℃ 5cm
15時 -0.2℃ 10cm
(一時、積雪深欠測あり)
19時 0.0℃ 22cm
20時 +0.2℃ 25cm
23時 +1.0℃ 27cm 最大積雪
2014/02/09
11時 +7.4℃ 20cm
13時 +9.1℃ 15cm
14時 +8.7℃ 10cm
2014/02/10
14時 +8.4℃ 5cm
2014/02/11
08時 +2.2℃ 3cm
22時 +3.8℃ 1cm
2014/02/12
08時 +3.4℃ -cm 積雪終了(約4日)
翌日は最高気温9℃で晴れ間も覗き、1日足らずで一気に9cmまで積雪深が減少。2月12日朝には積雪がなくなります。
(2)2014年2月14~16日
しかし(当時10年に1度と言われる)積雪27cmを観測した僅か1週間後、再び南岸低気圧が首都圏を襲います。但し、細かくメカニズムを見ますと、前の週の低気圧は八丈島付近を通過しましたが、この週のものは関東地方に非常に接近したため、雷が観測されるなど少し違う特徴もあったんだとか。
2月14日の午前6時に2℃を割り込むと、午前10時には積雪1cmを観測。半日後には積雪10cmに達すると、翌25日には最大積雪27cmに到達。前の週に観測したのと偶然にも全く同じ積雪深となりました。
2014/02/14
04時 +3.9℃ -cm 降水開始
10時 +0.9℃ 1cm 積雪観測
19時 +0.6℃ 5cm
22時 +0.3℃ 10cm
23時 +0.1℃ 13cm
24時 -0.1℃ 18cm(+5cm)
2014/02/15
01時 0.0℃ 26cm(+8cm)
02時 +0.3℃ 27cm 最大積雪
04時 +0.8℃ 25cm
09時 +2.3℃ 20cm
15時 +6.4℃ 15cm
22時 +6.5℃ 10cm
2014/02/16
13時 +9.3℃ 5cm
2014/02/17
11時+10.4℃ 3cm
14時+12.4℃ 1cm
15時+11.7℃ -cm 積雪終了(約3日)
15日の昼には雪からかわった雨もあがり、気温は6℃台で安定。当日中に10cmまで積雪は減少し、17日の午後3時に積雪1cmの表示が消えました。
3.(2018年1月)積雪23cm
2018年1月中旬に入ると北陸地方で記録的な大雪や厳しい寒さが観測され、下旬に入ると「南岸低気圧」が通過し、東日本で大雪となりました。
( 参考 )気象庁では、関東・東海地方など太平洋側の雪の少ない地域において大雪による早めの注意喚起を促すため、2016年(平成28年)11月から大雪警報・注意報の基準を見直し、より早い時間から大雪警報・注意報を発表するようになっている。
2018年1月22日には、日本海側と太平洋南岸に計2つの低気圧があり、所謂「二つ玉低気圧」という配置になっていました。
2018/01/22
07時 +4.1℃ -cm 降水開始
14時 +0.3℃ 1cm 積雪観測
16時 +0.1℃ 6cm
18時 -0.2℃ 13cm
19時 -0.5℃ 16cm
21時 0.0℃ 21cm
22時 +0.2℃ 23cm 最大積雪
2018/01/23
09時 +2.4℃ 20cm
13時 +9.2℃ 15cm
16時 +6.1℃ 10cm
2018/01/27
12時 +6.1℃ 5cm(7cm が2日続く)
2018/01/28
15時 +4.4℃ 3cm
2018/01/29
14時 +8.9℃ 1cm
16時 +7.4℃ -cm 積雪終了(約7日)
22日午後2時に気温は1℃を割り込んで積雪1cmを記録すると、午後6時に13cm、午後10時には22cmと、1時間に2~3cmずつ積雪深が上がります。翌23日の朝に零度を再び上回るまで20cmを保ち、積雪が0cmになったのは実に1週間後の29日の夕方でした。
☆1月22日からの大雪等による被害状況等について(消防庁)
http://www.bousai.go.jp/updates/h300122ooyuki/pdf/h300122ooyuki_03.pdf
東京消防庁管内だけで300名以上の負傷者が病院へ搬送されたほか、千葉・神奈川県内で最大66,300戸が停電。また、ノーマルタイヤを履いた車両などによって「レインボーブリッジ」が立ち往生したことなども大きく取り上げられました。
4.(2022年1月)積雪10cm
2022年1月6日、2℃台までしか上がらない寒い一日となり、午後に入って氷点下の冷え込みと雪が本格的に降り始め、午後6時には「10cm」に到達。
2022/01/06
11時 +2.4℃ -cm 降水開始
14時 -0.3℃ 1cm 積雪観測
16時 -0.2℃ 6cm
18時 +0.2℃ 10cm 最大積雪
2022/01/07
11時 +5.1℃ 4cm
12時 +6.8℃ 2cm
13時 +7.8℃ 1cm
2022/01/08
11時 +7.5℃ -cm 積雪終了(約2日)
2日後の1月8日の午前中には積雪は無くなりますが、4年ぶりの大雪警報が発表されるほどの事態に、過去と同様、多くの負傷者が出たほか、首都高で横転事故が発生して通行止めとなりました。
【まとめ】
振りはじめ 降→積雪+最大積雪(積雪深) 積雪終了
・2001/01/27 7時間 8時間( 8cm) 約2日
・2014/02/08 5時間 16時間(27cm) 約4日
・2014/02/14 6時間 16時間(27cm) 約3日
・2018/01/22 7時間 8時間(23cm) 約7日
・2022/01/06 3時間 4時間(10cm) 約2日
積雪が注意報クラスでも、翌日には雪が残りますし、20cmを超えるクラスになってきますと、実質1週間程度は雪の名残に要警戒といえそうです。