村上健志の俳句実況(2022/05/21)《+Rx自作10句》
【はじめに】
この記事では、2022年5月21日に配信された「村上健志の俳句実況」を振り返り、チャットで披露したものを含めた「自作句」をご紹介します。
過去の自作句や振り返りは上のリストからどうぞ(↑)
0.オープニングトーク「プレバト!!」
眼鏡買うのが趣味で、金縁の眼鏡(度が入っている/入っていない問題)を着けて2週間ぶりの生配信。普段のテレビなどと違って、そういった自分を褒めてもらえる視聴者の優しさに感慨深そうに語っていました。
5月下旬になったとはいえ、暦の上ではまだ「初夏」に区分される時期。
振り返ることとなったのは、先週の「プレバト!!」。中華鍋がテーマでしたが、惜しくも現状維持査定で「永世名人」昇格とはなりませんでした。
『空焼きの中華鍋背に胡瓜噛む』/村上健志
バイト時代に中華鍋を空焼きしていた経験から詠んだ1句。体を冷やす効果もある「胡瓜」が夏の季語。ただ、『良く言われる』と自顧してましたが、
『質量のバランス』について、「胡瓜噛む」という季語を含んだフレーズ側よりも、「空焼きの中華鍋」という強い言葉に比重が行ってしまっている点が惜しいとのこと。
ちなみに、私の感覚からすると、『質量のバランス』を言われる時は、大抵が俳句の17音の器に対して「情報過多」な時です。そして、それを言われる時の題材の多くが、「経験にもとづいているので言いたいことが多すぎる」時か、「短歌になるドラマの情報量を17音に詰め込んでいる」時でしょう。
短歌も俳句も作られる方々は、その長さを使いこなせる舞台だと強い半面、どちらかに使う技を限定される場だと、情報量をうまく制御しきれず失敗をしてしまうケースがあろうかと思います。
《 Rx添削案 》季語含む「胡瓜噛む」を先にしたら?
すごく簡単ですが、案外これで良いんじゃないの? って思った「添削例」をご提示しますと、
『空焼きの中華鍋背に 胡瓜噛む』/村上健志
↓
『胡瓜噛む 背に空焼きの中華鍋』(添削案)
このように最初に夏の季語を持ってくることで先に季語の印象を強め、その上で『空焼きの中華鍋』という熱いものが暑さと呼応することを狙ったものです。
そして、ドラマの情報量が多くなってしまったのは、きっと「背に」という主体的な動詞を「噛む」があるからかなと思いました。動詞が3つあるのも「俳句」の器には少し多かったのかも知れません。
席題1.「塩/塩分」
1つ目の席題は「塩」と決まりました。人体にとって不可欠なものだけに、様々な場面で目・耳にするもの。故に、俳句にするエピソードを自分で見つけることは難しいかも知れません。
最近、1句目に時間がかかってしまっていることを反省して、イメージを伝えたいとして最初に披露したのがこの句でした。
『盛り塩を置くバイトの娘梅雨寒し』
《 Rx自作5句 》
今回、私は本編ほぼ不参加だったので、村上さんがコメント欄で触れていたワードから連想して5句つくりました。
口癖は塩分チャージ風待月
晩涼や「ウユニ塩湖」の写真集
ソルトミル渡す君の手 麦の秋
盛り塩の歴史 長梅雨の図書館
梅雨冷や清めの塩の落とし物
席題2.「髪にまつわるもの」
古くから時に神聖視もされていた「髪」が今日2つ目の席題です。幅広ではあるものの、村上さんが得意そうな席題が続きます。これぐらいの方が生配信には向いているんじゃないかなって思いますね。
こないだ「プレバト!!」で美容院の句を作ったので、それは避けようと言いますが、やはり自分に経験がない女性の髪の用語での作句は難しいですね。村上さんは自然と「女性の髪」にまつわる用語に脳内が支配されてしまって作句に時間を要してしまいます。
『アイブロウ括るヘアゴム扇風機』
即吟句としての着眼点としては十分だと思いますww 「詳しくは訊かないで」と非常に消極的な姿勢で発表していましたがww
《 Rx自作3句 》
ヘアカタログ持つ所在なさ南風
前髪のこだわりロケ車より夕立
ヘアワックス閉じて初夏を煮詰めた臭いかな
席題3.「パジャマ」
厳密に「パジャマ」の定義が難しいところも気にしつつ、最後の兼題は「パジャマ」と決定。
そういえば、タイトル戦で「まだマシなTシャツを貸す夜の雷」というものが披露されていましたが、「パジャマ」と限定する事の損得が難しいです。
『缶ビールパジャマに尻の丸みかな』
この句も着眼点が村上さんらしいのですが、やっぱり『マスク』の句と似た構図なのが少しネックですねww あの句が素晴らしすぎてwww
《 Rx自作2句 》
『短夜君の触り心地のいいパジャマ』
『短夜や買ったパジャマを着てくんない』