春のダート路線について(メモ)

【はじめに】
この記事では、フェブラリーSを終えて、春のダート路線について振り返りたいと思います。

2000年頃に今のレーシングカレンダーとなって以降、本格的な見直しが行われていないということになります。

この20年間で「サウジC」が創設され、国内ダート中距離の一流馬の目標がフェブラリーSから海外G1に変わったものの、そのことが十分に考慮されていないとも言えます。

1.日程の変遷(2001→2021)

フェブラリーSは、1998~1999年の2年だけ2週間ほど開催時期が早まった頃がありましたが、基本的には2月下旬に開催されます。

まずは、フェブラリーSが現在の開催時期となった2001年頃を見てみます。

2001年当時
11月1週 JBCクラシック
  2週 
  3週 
  4週 ジャパンCダート
12月1週 浦和記念
  2週 
  3週 
  4週 名古屋グランプリ
  5週 東京大賞典
1月1週 
  2週 ガーネットS
  3週 
  4週 平安S
  5週 川崎記念、根岸S
2月1週 
  2週 
  3週 フェブラリーS
  4週 
3月1週 
  2週 
  3週 
  4週 ドバイワールドC
  5週 

         ↓

そして、時代が移ろって、約20年後の2021年頃をご覧ください。(厳密には国内Jpn1と見做されるレースも一応太字にしてあります。)

2021年当時
11月1週 JBCクラシック
  2週 
  3週 
  4週 【浦和記念】
12月1週 【チャンピオンズC】
  2週 
  3週 
  4週 名古屋グランプリ
  5週 東京大賞典
1月1週 
  2週 
  3週 
  4週 【東海S】
  5週 川崎記念、根岸S
2月1週 
  2週 
  3週 フェブラリーS
  4週 【サウジC
3月1週 
  2週 
  3週 
  4週 ドバイワールドC
  5週 

大きな変更点としては、超高額G1レース「サウジC」が創設されたことと、ジャパンCダートが中京開催のチャンピオンズCに変わり、距離がD2100mからD1800mに短縮されたことでしょう。(細かい変更は割愛します。)

現金な話をしてしまえば、フェブラリーSの優勝賞金は1億2,000万円ですが、これを海外G1に当てはめると、サウジCでは5着、ドバイワールドCでは3着に入ると、ほぼ同額の賞金設定となっています。マイルよりも中距離適性のある馬からしたら、確実に海外G1を挑戦したくなる額です。

2.一流ダート馬のローテ

ではここから、フェブラリーSで3着以内に入ったり、3番人気以内になったりした馬のローテーションをみていきます。

(1)2000年頃の一流ダート馬

まずは、2000年頃の当時は、どういったローテを取っていたのでしょうか。

上が大体の目安の「レース時期」(川崎記念などにズレあり)で、丸数字は着順です。

2月下旬開催に戻った2000年から、2002年までの3年間で、フェブラリーSの3着以内 or 3番人気、そして海外挑戦した馬の秋からのローテを並べました。当時のドバイミーティングに挑戦した6頭のうち、2頭は地方路線(東京大賞典 → 川崎記念 → ドバイ)へ進み、残りの4頭はフェブラリーSから約1か月後のドバイに遠征しました。

そして思った以上に、当時をしても1か月未満の間隔しかないトライアルを避け、レース間隔を開けてフェブラリーSや海外挑戦に挑んでいた馬が結構多かったというのが今回調べて分かりました。

(2)2020年頃の一流ダート馬

それから20年を経て、2019~2021年に同じ基準で選ぶとどうなるでしょう。

2020年にドバイミーティングが中止になった影響もありますが、サウジCが創設されたことも影響して、従来以上にダート一流馬が海外挑戦する機会が増えている印象です。

 ① 短距離路線

かつては中距離馬がフェブラリーSに挑戦するのは珍しくなかったですが、短距離馬が距離延長でマイルに挑むことは稀です。そんなニーズを満たす事となったのが、「リヤドダートスプリント」でしょう。
G3競走ではありますが、優勝賞金は2022年で9,000万米ドルとなり、フェブラリーSとほぼ同額です。2021年に日本馬がワンツーしていることからも明らかな様に非常に魅力的なレースといえそうです。

今や、生粋のマイラー(1600m専用)であれば別ですが、短距離向きの馬は「リヤドダートスプリント」に、もう少し距離が持つならば「サウジC」(1800m)」に挑戦するという選択肢も賞金などから比べれば全く自然な流れになってきていると思います。

そんな馬は、レース間隔の狭い根岸Sではなく、むしろ前年のカペラSあたりを使って遠征することが増えている様です。ただ、根岸S → フェブラリーSという路線から複数入着馬が出ていることも抑えておきたいところです。

 ②中距離路線

レースレーティングなどから見ても、サウジCやドバイワールドCは非常にレベルが高く、日本の一流馬でも流石に入着は……と思っていたのですが、2021年にチュウワウィザードがドバイWC(しかもダート開催)で2着となったことで、日本のホースマンに希望がみえた気がしました。

前述のとおり、マイルよりも中距離に適性のある馬ならば、獲得賞金面で桁違いの海外G1に2戦する方が間違いなく夢があります。そして、1か月超にわたる長期遠征となり、帰国後すぐにレースに出走することが出来なくても問題ないほど、4月以降の春のダートG1は国内・海外ともに手薄です。

表に示したドバイワールドカップに挑戦した3頭は、いずれも12月のダートG1を経て、年明けの国内のレースには目もくれず海外挑戦しています。
気づけば、国内の主なトライアルレースである「東海S」と「根岸S」に、一流馬は1頭出走するかどうかという状況になってきています。

3.結論案

①「フェブラリーS」を「安田記念」の週に移す。

②「ヴィクトリアマイル」と「安田記念」を3週間程度、前倒しするか、「安田記念」を後ろ倒しする


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