【参加録】村上健志の俳句実況(月百句Vol.15)《自作句あり》
【はじめに】
この記事では、2021年9月25日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第15回放送に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。
0.オープニング
結果的には、残り34句が30句となる「4句」を目標として、1時間足らずで終了した第15回の「月百句」俳句実況。何よりも驚かされたのは、唐突に、「メガネ」キャラになっていたことです。(サムネにもあるかな?)
以前あった「俳句の解説動画」を撮影するにあたって、メガネキャラの方が「それっぽい」ということでなんだそうですが、似合ってらっしゃると思いました!(ちょっとメガネが「志らく」師匠と似てるのは気の所為?ww)
ちなみに、その俳句動画を撮影するにあたって、YouTube大学のように、『ホワイトボード』をグリーンバックに投影するのを試みている様ですが、中々うまく行かず、半ば諦め加減なそうで、『グリーンバックの前で喋ろうかな』と零していました。詳しい方はぜひご助言をお願いしますー。
1.席題「ゲームのタイトル」
1つ目の席題は「ゲームのタイトル」となりまして、皆さんからは懐かしいモノを中心に、コメント欄で次々とゲーム名が寄せられました。
思わず、『これ見てるのがついつい楽しくなっちゃう』というぐらい盛り上がったコメント欄でしたが、寄せられたゲームタイトルを口にしつつの村上さんの「ゲーム」に対する姿勢が垣間見えたのが面白かったです。
メジャーなタイトルを中心にパソコンに打ち出していましたが、こういった俳句を作る時は『内なるもの』と言いますか、『プレイしたりして馴染みのあるゲーム』の方が「リアリティ」を確保できるので良いかと思いました。
そんな中、出来た作品がこちら。唐突に意外なタイトルが来てビックリww
【 1句目 】
『シムシティー急に辞めし夜胸の月』 村上健志
『シムシティ』です、皆さんご存知ですかね? 僕は『シムシティ3000』がかなり好きだったので馴染み深いのですが、多分、俳句を好きな世代の方はご存知ないと思うので簡単に補足説明をしたいと思います。
『シムシティ』(当初は「シムシティー」と表記)は、アメリカで開発された、ジャンルとしては「都市運営」のシミュレーションゲームとなります。
プレイヤーの貴方が「市長」になって、都市の税金・財政や区画整備、災害対策などに明け暮れるという「リアル」さがウリのゲームです。誰かと対戦して勝利を目指したり、一番良いタイムでゴールを目指したりするタイプのゲームではありません。
そして、村上さんの句を理解する上で重要なポイントなのが、「明確な目標が無い」からこそ、「プレイヤー次第で、何時間(ゲームの中の時間軸では何百年)でも飽きるまで続けられる」タイプのゲームなのです。
冒険するゲーム(RPG)のように、最後の敵を倒して世界に平和がもたらされたらクリアみたいなゲームではないのが、句の鑑賞にも大事な点ですね。
『シムシティー急に辞めし夜胸の月』 村上健志
もう一度、句を紹介します。句の前半の意味としては「シムシティをずっと遊んできたけど、とある瞬間に突然『飽き』が来てしまう。こういうゲームあるあるですよね。ふと「あれ、俺なんでこんな没頭してたんだろう」って我に返る瞬間があるっていう感じを詠んだ句だそうです。
《 太鼓の達人の句を添削する 》
ちなみに、Taknさんが、私の好きな『太鼓の達人』の句として、
『十六夜やさいたま2000のおに挑む』 Takn
と披露してました。『さいたま2000』というのは、十数年前に「難しい曲」で、「おに」というのは最上位の難しさのクラスです。(当初はまだ「ドンだフル」という名称だった気もしますが)
ただ十数年も経つと時代は一変し、かつて最難と言われたこの曲も、かなり格下げされてしまっています。そんな悲哀や懐かしさも伝わる人には伝わる作品となっています。ただ私はここで俳句的な一つ提案をしたく。
『十六夜やさいたま2000のおに挑む』 Takn
↓
『十六夜のおにに挑むや「さいたま2000」』 Rx添削案
前半だけ読むと「十六夜のおにに挑む」となります。『太鼓の達人』というゲームのことを一回忘れると、何か「鬼滅の刃」か「昔話」の禍々しい世界を想像しませんか? そこから最後に「さいたま2000」というマニアックですが種明かしをするという面白みが出せるかなと思って。ご参考までに。
《 Rx自作句① 》
村上さんも句を考える最中に、「あ、桃鉄好きだわ」とか、コメント欄では「徹桃」と来ましたが、私もつい先日「桃鉄」を買ったばかりで30年弱の版からプレイした経験はあるので、その気持ち良く分かります。
そして、もう一つ共感したのが、『ゲームはあんまり得意じゃない』という言葉だったり、『人のプレイを見ている方が好き』だという村上さんの言葉でした。
少なくとも、私も「勝敗や数値を競うゲーム」はからっきしで、唯一、少し「太鼓の達人」をプレイした程度の感じでしたから、気持ち、分かります。
そんな村上さんを代弁する訳ではないですが、こんな句を作ってみました。
①-1『スマブラは見るのが好きで夕月夜』 Rx
「スマブラ」こと『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズは、任天堂から発売され、マリオやピカチュウなど「任天堂」のゲームに登場する人気キャラクターたちを操作して4人ぐらいで楽しむ対戦ゲームです。
私は、自分で率先してプレイするというより、そんなワイワイ楽しんでいる仲間たちの様子を眺めている方が好きなタイプでしたので、こんな句をば。
そして、私がゲーム好きになるキッカケとなったのが「ドラクエ」シリーズです。俳句好きの皆さんでも、「ドラクエ(ドラゴンクエスト)」は、名前ぐらいはどこかで聞いたことお有りじゃないでしょうか?
これは厳密には兼題をカバーできてないのですが、おまけでもう1句です。
①-2『ぼうけんのしょ1消え寝待月の枕』 Rx
「冒険の書」は、ドラクエに登場する言葉で、途中までプレイしたデータを「セーブ(保存)」することです。(ゲーム初期は「ふっかつのじゅもん」という違った形式でしたが、その後は「冒険の書」形式が主流でした。)
ただ、“あるあるネタ”なのですが、今から30年近く前は、今ほどゲーム機も性能が高くないため、そのセーブデータが「消滅」してしまうことが比較的頻繁にあったのです。掲句の「ぼうけんのしょ1」というのは、一番上にあって、大抵の子が「メインにプレイ」している冒険の書を保存している場所です。
そのデータが消えてしまって、思わず枕を涙で濡らしながら寝てしまう……みたいなことを想像した1句です。伝わる方に伝わっていれば嬉しいです。
2.席題「マンガのタイトル」
続いて、2つ目の席題は、1つ目に関連づけて「マンガのタイトル」です。これダメですね、サクサク行かないと俳句のこと語らずに、作品のことばっかり語っちゃいそうになりますww
こちらはかなり、マンガ選びに迷って、悩み抜いた結果として出来た作品となります。まずは、何の説明もせずに句をご覧ください。
【 2句目 】
『『ベルセルク』借りて月夜のチャリを漕ぐ』 村上健志
正直、4~5文字でそこそこ長期連載の漫画作品ならば、何でも当てはまるかも知れません。しかし、それを多少差し引きしても余りあるぐらいのドラマチックさは確保されていると思います。
考え方によっては、『短歌』にすると無駄な情報が入って凡長になるので、この17音にスパッと収まった感じがクールだなって感じました。
中世ヨーロッパを下地にした「剣と魔法の世界」を舞台に、身の丈を超える巨大な剣を携えた剣士ガッツの復讐の旅を描いたダーク・ファンタジー。(日本語版ウィキペディアより)
平成の始まりと共に連載が開始され、40巻続く人気作となりましたが、作者の三浦建太郎先生が今年(2021年)5月6日に54歳の若さで亡くなったことも話題となりました。
《 Rx自作句② 》
さて、私も基本的には「漫画」は学生時代から殆ど読まなかったのですが、アニメはそこそこ見るので、何とか色んなアプローチで誤魔化しつつ行きたいと思います。
個人的には「手塚治虫」さんの作品が月には合うなと思ったので、まずは、こんな捻ったやり口から。
②-1『月夜へとジャングル大帝のうた』 Rx
「歌」とある時点で漫画というよりアニメ(テレビまんが)なのと、もう1つ捻ったのは、『ジャングル大帝のうた』という曲名の主題歌は(恐らく)無いので、皆さん思い思いの「ジャングル大帝」の歌を脳内で再生してもらえればなと思った次第です。
手塚先生のお名前を使い、こちらも兼題とは違いますが、出来たので掲載。
②-2『図書室の手塚漫画の棚 無月』 Rx
うちの学校の図書室には、手塚治虫先生の漫画作品が置かれていて、棚を成していました。「無月」と取り合わせることで、『漫画の棚が空』なのかも知れないとか、夜の図書室に何かドラマを(皆さんが勝手に)想像してくれたら嬉しいなというタイプの作品です。
ちなみに、もう1つ「火の鳥」あたりで何か書きたかったのですが、考えてみると「火の鳥」自体がドラマチックなので、それで『月』という季語を相殺してしまうのではないかなと思い、止めました。
3.席題「映画のタイトル」
さて、続いての席題は「映画のタイトル」ということで「~~のタイトル」縛りの路線がここで確定しました。
映画のタイトルと言っても、有名な作品だけでも数え切れないほどありますし、そして今回気づいたのですが「タイトルの長い映画」が多い! ですね。そうした意味では、略せるタイトルは実写/アニメを問わず、文字数の制限が強い俳句においては重宝されそうな気がしますね。
村上さんは、字余りも気にせず、状況をこんな風に描写しました。3句目。
【 3句目 】
『ラピュタ派に負けるナウシカ派 秋の月』 村上健志
ラピュタもナウシカも多くの方が見た瞬間に「ジブリ映画」だ! と感じるほどにインパクトのある(3~4音と短い)固有名詞です。
※ちなみに、「風の谷のナウシカ」はジブリ映画ではありません! などと言うとビックリされそうですが、「スタジオジブリ」が創設されたのがナウシカとラピュタの間にあたり、ナウシカが製作された段階では「ジブリ」ではなかったため、厳密に言い出すと注意が必要です。
これ「負けるナウシカ派」というのが重たい中八で、どうしても字余りになってしまうのですが、コメント欄を受けて、村上さんも後々には、
『ナウシカ派に負けるラピュタ派 秋の月』
と「6・7・5」の定型に準じた形も提示していました。しかし村上さんは「ラピュタ派が勝って欲しい」という思いがどこかにあるようですね~ww
だったら単純に、
【 Rx添削例 】
『秋の月 ラピュタ派に負けるナウシカ派』 Rx
ではダメだったのかなというのも気になりました。(当日は高熱でボーッとしながら参加してたので、ここまでのコメントは出来ませんでしたがww)
《 Rx自作句③ 》
略語を許容してもらえるのであれば、例えば、「魔女宅(魔女の宅急便)」とか作句の幅は広がりそうな気がします。敢えて、略さない作品を探せば、例えばですが、
③-1『盆の月『火垂るの墓』の季節かな』 Rx
みたいなのも出来ると思います。ただやっぱり、この俳句実況の週に地上波でテレビ放送されていた話題作といえばこれでしょう! 「無限列車編」。
③-2『真夜中の月や長き無限列車編』 Rx
「真夜中の月」という季語は、傍題に「二十三夜(月)」があるように下弦の頃の月です。昨年、ネットでこんなニュースが話題になりましたが(↓)
「月齢23」だったり「上弦/下弦」だったり、『鬼滅の刃』を匂わせる単語を暗示するというやり方もあるんです。「鬼滅の刃」の俳句って、見たことない私みたいな人間でもこれぐらいやるものなのですのよ。
って、実写もOKのはずなのに、何故か「アニメ映画」に終始、特化してしまいましたww 皆さんは是非、実写も洋画・邦画も合わせてお考え下さい!
4.席題「ドラマのタイトル」
最後は「ドラマ」のタイトルということで、流石にこれは「アニメ」とは行かないでしょうから、当然「実写ドラマ」がテーマになろうかと思います。
村上さんは、ここまでで駆使した技法をかなり盛り込んで、こんな句を最後に披露してきました。1997年キムタク主演の月9ドラマ「ラブジェネ」こと「ラブジェネレーション」です。
【 4句目 】
『「ラブジェネ」のロケ地でフラれ望の月』 村上健志
ほぼ四半世紀前と聞いて驚きを隠しきれないのですがww 「ロンバケ」で絶大な支持を得たキムタクが、松たか子さんをヒロインとして迎えた作品。平均視聴率は30.8%という大人気作で、村上さんより少し上の世代かとは思いますが、ドラマのロケ地めぐりやモノマネが流行ったことと思います。
でもそこでハッピーエンドにしないのが、村上さんらしさかも知れません。「望の月」という季語を下五に据えているのに、「フラれ」として季語との落差を演出しているんです。脚本家ですねー(←俳人ちゃうんかいww)
《 Rx自作句④ 》
最後に個人的には一番の難題です。ここ軽く20年ぐらい満足にドラマを見ていない私は途方に暮れるしかありませんでしたww
ひとまず、映画の「E.T.」とかでも話題になってましたが、短いタイトルの作品を考え、この作品にたどり着きました。2音です。
④-1『「仁 -JIN-」に泣く齢となれる吾子や月』 Rx
もう1句ぐらい作っておきましょうか。何が刺さるかわかりませんからww
④-2「音量8で『高校教師』十七夜」 Rx
音量5だと聞こえないけど、音量8ならこっそりとまでは言わないまでも、同居の家族を気にして「控えめ」かなって感じでしょうか。
時々ある「数字」を2つ使った俳句、お気に召しましたでしょうか?ww
【おわりに】
今回は「タイトル」に特化した回でしたが、如何でしたか? 皆さんのコメントも随時お待ちしております。
①-1『スマブラは見るのが好きで夕月夜』
①-2『ぼうけんのしょ1消え寝待月の枕』
②-1『月夜へとジャングル大帝のうた』
②-2『図書室の手塚漫画の棚 無月』
③-1『盆の月『火垂るの墓』の季節かな』
③-2『真夜中の月や長き無限列車編』
④-1『「仁 -JIN-」に泣く齢となれる吾子や月』
④-2『音量8で『高校教師』十七夜』
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そして、村上さんの「月百句」も、残り30句と、9月の段階でかなりの進捗ぶりを見せています。ぜひ「スキ」を宜しくおねがいします!(↓)
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