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The Killaを語りたいだけ


⚠️はじめに⚠️
全て翻訳を使っていますので、間違っている箇所がある可能性があります。あくまで考察や正誤の解明とはまた違うジャンルで、ただ感じたことを文字に起こしただけに過ぎませんので内容に有益さや信憑性は微塵もありません。支離滅裂です。具合が悪くなったらすぐにページを閉じてください。ただただ暗い歌詞の曲を暗く受け止めることをこよなく愛するオタクのひとり語りだという認識でお願いします。


The Killa


この曲を考えるにあたって、この『The killa』というタイトルはこの曲を向けられている存在のことだと考えています。このKillaというのは調べたところ「殺人鬼」を意味する「killer」から派生したスラングで「cool、最高、それほど素晴らしい」という意味があるそうです。

ここではとにかく暗くて重いダークな雰囲気の世界観を楽しみたいという私情に基づいて、言葉通り「僕を殺すほどの存在」と解釈して進んでいきます。この殺すとは物理的な流血を伴う死ではなく(それもアリだと思ってしまうほどの)あくまで精神的な自我の部分での死です。

曲中の登場人物は君と僕。そしてデュエットであることから「歌唱者が僕、もう一方が君」という形のまま、どちらが歌うパートなのかによって語り手が変化していく形と捉えていきます。分かりやすいように全ての主語を僕に統一していますが、登場人物の性別に関しては深く考えていません。

(S)길들여 줘
飼い慣らしてくれ

冒頭スビンの「飼い慣らしてくれ」という囁きから始まるこの曲。僕と君との関係性が対等ではないという見え方をしています。飼い慣らすというのは本来、契約上の甲と乙の関係になることなので必ず上下関係を伴います。このセリフで言えば、飼い慣らされることを望むこの人物、つまりスビンは乙に当たります。しかし、次のヨンジュンはこう言います。

(Y)점점 더 갈구해
だんだん渇望していく

(Y)You know I want you bad
君は僕が君をひどく欲しがっていることを知っている

(Y)Show me mercy
僕に慈悲を示して

乙に「飼い慣らしてくれ」と迫られている甲の人間だと仮定するには、不自然な言葉が並びます。「慈悲を示す」とは「なさけをかけること、弱い者にめぐみや心をかけ大切にすること」という意味があります。僕は、君に対して「なさけをかけてほしい」とお願いしてるということです。これは相手が自分よりも上の立場である場合のみ成り立ち、先ほどまでの見え方とはまるで立場が逆であるように感じます。この言葉は、甲と乙で言えば「乙の人間」から生まれる言葉です。

この時点でヨンジュン側の人物は、ただひたすらに君に対して縋りつくような言葉を並べていて「僕が君をひどく欲しがっていることを知っているのだから慈悲を示して」とすごく一方的なお願いをしている状況です。

(Y)우연 속 운명의 강한 얽힘
偶然の中、運命の強い絡み

(Y)두 눈 속의 서로를 찾은 그 순간
瞳の中にお互いを見つけたその瞬間

このシチュエーションを絵として考えたとき、偶然の中で運命を感じるためには、第三者が不可欠です。多数の人間の集まりの中から君を見つけてこそ偶然の中での運命の強い絡みを感じられると言えます。そして、そんな強い運命を感じる感情が「お互い」であったことが分かります。先ほどはひどく一方的で、すれ違っていて、不自然に感じられた関係性が「お互いを見つけたその瞬間」という言葉によって、お互いに同じ瞬間に相手に対して近い感情を感じていたと考えることができます。

(S)웃으며 나를 애태워도
笑いながら僕をいじめても

(S)but you're worth it
しかし、君にはそれだけの価値がある

(S)무슨 말이냐며 웃는 널
何言ってるのと笑う君を

個人的な話になりますが、このセリフをヨンジュンに向けて歌う形にしてくれた歌割り担当の方には、何度感謝したか分かりません。笑いながら人をいじめる思わせぶりな男も、どれだけ愛してるのかを伝える人を「何言ってるの」でかわす男も、どちらもヨンジュンに似合いすぎている。絶対に見たいヨンジュンランキング上位のシーンで聞くたびに頭の中で勝手に言ってもらいます。このシーンをぜひ再現してください。これは少しふざけてしまいましたが、次のパートから本編に戻ります。

(S)그저 널 따르겠어 난 serve you
ただ君に従う 僕は 君に仕える

(S)나를 죽여
僕を殺して

殺人的に魅力的な単語ですね。暗い歌詞愛好家の私が、この曲の中で一番書きたかったのはこの「殺して」の意味です。The Killaというタイトルの捉え方の時にも伝えたように、この「殺して」は単純に物理的死を望んでいるというわけではないと私は考えています。人は自分の感情を抑えること、欲を捨てることを「自分を殺す」と言い換えることがありますよね。詞中の「殺して」は、君と出会うまでの僕の好み、欲、あるいは生活リズム、そして言動まで、全てのを自我を殺されることで僕を形成する要素を失って、君の色に染まることを望んでいると考えられます。その中には、もしかしたら「肉体的に殺されること」も含めて願ってしまうほどの陶酔をした気持ちもあるかもしれません。冒頭から「飼い慣らしてくれ」「君に従う」とあるように、僕は常に君の支配下で管理されることを望んでると言えます。

そしてこれ以降にも、同じ意を思わせる言葉が出てきます。

(Y)심장, 영혼까지 다 네 것
心臓、魂まで全部君のもの

(Y)넌 나를 앓게 하는 fever
君は僕を病ませる熱

(Y)마침내 날 제거하길 빌어
ついに僕を取り除くことを祈って

ここはスビンにとっては君に当たる、つまりもう一人の僕であるヨンジュンのパートです。先ほどのスビンよりも少し具体的に言葉にしています。

心臓も魂も全て君のものであり、君に僕を取り除かれたいと祈っています。僕という存在から僕を取り除いた時に、残ったものは何になるのか。君以外の何もなくなって自我を失った姿の僕です。自分を失うことは殺すこととイコールだと言えます。

先ほどから視点が変わるたびに、同じような言葉を言い合っているのが分かります。「殺して」と願うスビンと「僕を取り除いて」と祈るヨンジュン、言葉は違えど願いの通りになった先にあるのは自分を失って君の色に染まった僕。二人はお互いに君のものになりたいと言っています。とても「共依存的な関係」です。とっても重い。大好物。

(S)흔하디흔한 말 te quiero
ありふれた言葉 愛してる

(S)대신 I belong to ya
代わりに 僕は君のものになるよ

(Y)길들여져 너에게 속해 happier
飼いならされて、君に属する 幸せ

(Y)이건 나만의 te quiero
これは僕だけの 愛してる

たびたび出てくる「te quiero」というスペイン語。ここにきて何故スペイン語?となりますよね。一般的には「好き」という意味として知られていますが、一方で「君が欲しい」という所有欲を孕んだ意味もあるそうです。そうなると話が変わってきます。本編はずっと韓国語と英語で形成されているにも関わらず、わざわざ愛の言葉にスペイン語の「te quiero」が使用されているということは「飼い慣らされたいと言いながら君に所有欲を抱いてもいる」ということを間接的に伝えていると捉えられます。

そしてこれは余談ですが、「書籍暗号」という言葉をご存知でしょうか?送信者と受取者の間で同じ本を持っていることで成り立ち、その本の中にあるテキストをページ数や数列などをカギとして、独自の暗号を作り上げる手法です。同じ本を持っている2人だけが「23ページの5行目7〜11字」というカギを使い、書いてある暗号を知ることができます。解き方を知っている人間には分かるけど、解き方を知らない人間には何のことだか理解できない仕組みです。

本編とは少し関係のないものになりますが、私はこの書籍暗号の「世界に2人きり感」が大好きです。「飼い慣らされる」ということは一般的に甲と乙の関係になり、上下を伴うことで愛情と表現するにはネガティブな聞こえに感じます。どうしても人間は誰かに飼い慣らされるという言葉には尊厳を損なわれるという概念がありますから。しかし、2人にとっては飼い慣らすというのが愛のカタチであり、暗号のカギのようなものだと感じます。カギの先の答えがte quieroであり、他の人には「愛してる」という「ありふれた言葉」に聞こえるのに、君と僕にとっては所有欲を意味した愛の言葉としたら、それは「僕だけのte quiero」と言うに相応しいです。

(S)나의 짙은 결핍 위의 everything
ひたすら君だけが僕の濃い欠乏の上にある全て

(S)날 지배하고 그대 권능 아래 거두리
僕を支配して 君の権力の下に収めて

翻訳すると欠乏という言葉が出てきました。欠乏とは、必要なものが足りていない状態のことです。似た言葉で不足という言葉がありますが、より深刻で足りないと成り立たないというような表現で使われます。僕にとっては君という存在が必要で足りていないものであり、君の権力の下に収まり、飼い慣らされることで初めて僕という存在が成り立つということです。支配されたい乙なのに相変わらず高圧的だ…重い…。

(S)죄책감 따위 you don’t need it
罪悪感なんて 君には必要ない

(S)모든 죗값 내 몫이니
全ての罪は僕の分だから

(S)넌 그저 날 가지면 돼
君はただ僕を持っていてくれたらいい

ここにある「罪悪感」とはなんなのか。人を精神的に殺して飼い慣らす関係は、やはり一般的には正常ではない愛の形です。ヨンジュン側の人物は、飼い慣らして僕以外の全てを失い、変わってしまった姿に愛情を感じると共に、そんな愛し方をすることへの罪悪感を感じているということです。普通ではないこの関係に戸惑い、踏み止まろうとしているのかもしれません。

それに対してスビン側の人物は、「全ての罪は僕の分」だと言っています。この2人の飼い慣らされるという関係において、本当の主導者は「飼い慣らして」と告げている乙の人間です。罪悪感を感じて踏み止まろうという相手に対して、全て僕のせいだから飼い慣らして欲しいと伝えています。つまり僕は「飼い慣らされる」という行為によって、君を支配して飼い慣らしているのです。この主従関係は「乙が甲であり、甲が乙でもある」と言えます。とても傲慢な乙の顔をした甲です。飼い犬の顔をした主人というか。

(Y)Yes, I belong to you
はい、僕は君のもの

(Y)희열 속의 죽음 round two
喜びの中の死

それに対してのヨンジュン側の人物も「僕は君のもの」だと言います。全てが君のものであり、飼い慣らすこと、飼い慣らされることを受け入れています。

あえてround twoの翻訳にはなにも言葉を付けませんでした。round twoという言葉をどのように使うのが合うかな、と検索をしていたところ「2回戦」という使い方の他に「生まれ変わる」「そこから始まる」という使い方をされていました。特に言葉の意味に差異はないのでどちらで当てはめても良いのかなと思います。ですが、私の中では死して「生まれ変わる」というのはすごくポジティブな表現に思えて、どちらかというと「死んでから始まる」という表現の方が生産性が感じられないので好きです。何も始まらず堕ちていくだけの二人だからこそ共依存が成り立つと思っています。なんせ殺して欲しいですから。ニュアンスでしか伝えられず、ごめんなさい。

(Y)흔하디흔한 말 te quiero
ありふれた言葉 愛してる

(Y)대신 I belong to ya
代わりに 僕は君のものになるよ

(S)길들여져 너에게 속해 happier
飼いならされて、君に属する 幸せ

(S)이건 나만의 te quiero
これは僕だけの 愛してる

そこからまた曲はサビを繰り返していきます。しかし今度はスビンとヨンジュンが先ほどとは反転したパートを歌います。やはり君と僕は、同じ熱量で危険なほどお互いを愛していますね。共依存。お互いがお互いにとっての甲と乙であり、このタイトルの通りのThe killaつまり殺人者であるということです。

ひとつ前の歌詞に「喜びの中での死」というパートがありました。個人的には飼い慣らされる喜びと飼い慣らす喜びは、完全な愛情の中でしか成り立たないものだと思います。飼い慣らすことは「今日から僕のだ」と言えば叶うことではないし、飼い慣らすためにはそれだけの時間をかけて関係を築くことが必要です。飼い慣らされることは、自我を持つ人間という存在にとってはあまり一般的なことではなく、屈辱的とも感じられる行為です。どちらもお互いへの愛があってこそ、成し遂げられ、喜びへと変わります。側から見た時に主従関係というのは決して良い関係ではないと思われるかもしれないですが、その関係の中心にあるものは確実に深い愛です。




あとがき


以上で歌詞についてのお気持ち表明は終わりになりますが、ここからは余談です。

この曲の作詞にはカンテヒョンが絡んでいるということもあり、常々思っていますが「ヒョンラのあるところにカンテヒョンあり」ですね。この曲を作詞するにあたって「誰がどんな歌詞を歌った時にMOAが発狂するのか考えた」とおっしゃっていました。頭が上がりません。ヨンジュンさんは自身のパートにも度々あるように「墜落」という言葉があまりにも似合います。退廃的であればあるほど可哀想で美しく、そして気高い雰囲気を感じさせる人だと思っています。飼い慣らされたいと思うほどの退廃的な愛はヨンジュンさんにとてもよく似合うコンセプトですよね。ヨンジュンペンなので、ヨンジュンさん中心で考えてすみません。

どきらの持つ、信仰にも近い深く重たい恋慕は、渦中の2人からしてみたら正解でも、側から見たら墜落と捉えられることもできます。しかし、お互いを殺してお互いを手に入れた2人には、お互いの言葉しか必要ありません。そんな言葉は届かないであろうところも、またいい。

はあ、思ったことや言いたいことを文章にまとめただけでも死にそうなのに考察をする人は頭が何個あっても足りないだろうな。改めて尊敬します。私にはもう二度とできそうにないです。またヒョンラが曲を出したりしない限りは。

とにかくどきらが大好きなだけの人間なので、吐き出せて満足しています。こんなに長い文章を書いたのが久しぶりなので、話を完結させず広げるだけ広げて片付けていない感は否めないですが、正誤は問わないでくださると嬉しいです。そんなふうに感じる人もいるんだな、くらいの軽い気持ちで留めておいてくださると嬉しいです。

ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたらありがとうございました。


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