【書評】『全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦』(ジム・クレイマー)
こんにちは。
今年はインプット→アウトプットの量をもっと増やしていきたいなと思い、読んだ本(インプット)の書評(アウトプット)も上げていきますね。
書評といっても読書メモですが、、、
今日はCNBC(アメリカのニュース専門に扱う放送局)のMad Moneyで司会を務めるジム・クレイマーの本を取り上げます。ジムは元々ヘッジファンドのマネージャーをしており、ITバブルのピーク直前に株を手じまい一躍注目を集めました。(要は株価が一番高いときに売って、その後ITバブル崩壊の影響を受けなかった。)
彼の投資哲学や手法を一般にも分かりやすく説いた本になります。
発売日が2005年なのでほぼ20年前の本ですが、書かれてあることの中身は今でも通じるかなと思います。特に最近だと新NISAや株高のトレンドもあって、多くの人が投資に注目しているなか、個人的にも非常に参考となりました。その中で気になった視点や観点を共有していきますね。
ちなみにMad MoneyはYou Tubeでも部分的に見れます。この話し方が特徴的ですよね、、Tech企業のCEOのインタビューも定期的にしているので、私がいるIT業界のトレンドを掴むのにも有益です。
https://youtu.be/ZaNOvqAqyDo?si=e6iSFeQ5fe_pmrYm
Buy and Homework
この株を買えば儲かりますといった話を書いてるのではなく、投資を始めるにあたっては、投資している銘柄一つにつき最低1時間は毎週ホームワークをするようにと言っています。それができない場合は、インデックスファンドをお勧めするとありました。
ホームワークのやり方は公開情報をもとに、決算発表資料やカンファレンスコールを聞くようにとあったので、特に初心者は自分が投資する銘柄に対して、ある意味”仕事”のように勉強が必要だと、多くの銘柄は勉強できないので、5~10の分散された銘柄に対してじっくり研究すれば儲けられる糸口が必ず見つかるはずだと説いてます。
もちろん公開情報(売上や成長率等の数値的な指標)のみならず、現地の生の情報(投資している対象が小売りなら実際にそのお店に足を運んでみる、サービスならそのサービスを使ってみる等)も重要なので、それらを総合して、他人にはない独自の視点やポジションを見つけていくのがホームワークのゴールです。
割安・割高の意味合い
この本を読むまで株価の割安・割高があまり分かっていませんでした。単純に株価だけを比較しても、割安・割高は見えてこず、投資判断はできません。重要なのはお買い得な株式に投資することで、通常よりも安く売っていて(今後株価が高くなるような)個別銘柄を見つけ出すことです。それを判断するための指標の一つが株価収益率/PERです。
株価収益率(M)は、株価(P)を一株当たりの利益(E)で割ると算出できます。M=P÷Eです。この意味合いとしては、株価が利益の何倍で取引されているか、市場は一株に対して、利益の何倍を投資できるとして評価しているのかが分かります。見方を変えると、株価を考えるときは、利益を見て、利益に対して喜んで払える倍率を探し、そこから株価が算出される考え方です。この株価収益率が割安・割高の判断に使われていて、投資対象の銘柄を比較して、成長率が市場平均や同業他社よりも高いのに、Mがそれほど高くなければ割安など判断していく形となります。
株式投資は、このMを予想するものとも言うこともできるわけで、ある株式のMが今は低くても今後上昇すると予想したら、株価は割安と判断し実際に株価が上がったら利益を得れるかたちとなります。Mが上がる要因としては、将来の成長率を市場は重要視していて、過去よりも将来の成長が大きくなると市場が判断すればMは上がります。
投機の視点
割安・割高の判断で用いるMの計算は、時価総額が大きい企業に対しては、すでに情報が株価に織り込まれている(多くのプレイヤーが日々計算を行っている)ので、なかなか割安・割高は出てこず、株価は適正になっている傾向が強いようです。なので大型株でお得な銘柄を探し出すのは難しいということ。
本書では、小型株(取引高がそこまで大きくない銘柄)の市場では、お買い得な掘り出し物の株式がまだあり、不完全な値付け(Mが以上に低い)が出ているケースが多いので、今後株式投資で資産形成をしようとした場合、余裕資金があり、まだ年齢的にも若い20~30代の人には、投資銘柄の一つには小型株もポートフォリオに組み込んで”投機”をしてみればとジムは言っています。
もちろん買ってそのまま放置するのではなく、Buy and Homeworkの思想で、公開情報と自分の五感で収集した情報をもとにMを見定めていくことが重要です。これを継続的に地道に続けていくには5~10銘柄ほどしか現実的には投資できず、そこから化ける銘柄を見つけて大きく資産形成をしようとするのであればポートフォリオの一つは投機的な銘柄も組み込むことが必要です。
この本を読んでみての感想は、外資IT業界における転職先の考えるうえでも割高・割安の視点は使えるなと思いました。今後売れる商材を持っていて(現在は市場認知が低い=Mはまだ低い)、ホワイトスペース(新規顧客)が大きく、多くの担当テリトリーを任せられるところに早めに入ることができれば、チャンスが大きので実入りも大きくなるのではないかと。
そういう意味だと、メガTech企業はすでにMが大きくなりすぎてるので、今は行ってもあまり実入りは大きくなりませんが、まだ小規模で、立ち上がったばっかりで、上場もしてないベンチャー外資IT企業に入ることができれば、(読みが外れるリスクもありますが)、投機的な視点でリターンはかなり大きいのかなと思いました。それを見極めるためには日々のHomeworkが重要ですね。