初めてのソロジャーナル「魔法骨董ここに眠る」
ソロジャーナルというものを初めて知ったのでやってみた。
ダイスやらトランプやらを振ることでそれに割り当てられた物語のとっかかりが与えられるので、それを元に自分で物語を書き記していくというジャンル。
今回触ったのは「魔法骨董ここに眠る」というタイトル。
無料配布でトランプ1セットと何か書くもの(プレイする上で何かメモするのではなく、物語を書き記すためのもの)さえあればできるので下のBoothリンクから是非。
あなたは少し特殊な骨董商となる。 あなたが仕入れる品物は、いまにその力を失おうとしている魔法の道具だ。あなたはそれらを商品として出す前に、彼らの断片的な思い出をすくい上げ、最期の言葉を代筆する。通訳のためのペンデュラムの耳飾りを忘れないように。
途中から自分の頭にあったバックストーリーを優先しすぎて魔法の道具の効用を十分に活かし切れなかった感じはあるが、せっかくなのでプレイログとして残す。
こういうのを書く時はソウルサクリファイスのリブロムの「書き手」を脳裏に浮かべるのが良いと聞く。
![](https://assets.st-note.com/img/1688899225713-twgJrQu0oA.jpg?width=1200)
(道具の形:7・・・運ぶもの)
(魔法の効果:3・・・運命)
(魔法の程度:5・・・比較的大きな、または目立つ効用)
私が今日買い取った魔法の品物は、一見ごく普通の台車にしか見えなかった。
だがこうした品物は見た目だけではそれが持つ真の力を判断できない。元々の所有者曰く、「この台車は運ばれた人の運命を変えるもの」だと言う。
確かに、私の目から見てもそれはかなり強力な魔法の効果を持っていたらしい。奇跡とまでは呼べないが、ただの台車が持つようなものではない。
(赤2・・・持ち主が何かに悩んでいた。または決断をした。どんなことだろうか?/好ましいこと)
「私は多くの人を運んできた」
台車の声に耳を澄ませると、彼はそう呟いた。所有者はこの台車を使い物にならなくなった奴隷を処分するのに使ってきたと言っていた。
「だが彼は私を使って人々を運び、それを道の片隅に放り出すことに迷いを覚えていたらしい」
「だから私を持って逃げ出したのだ。彼にとっては私が唯一の財産だったから」
(赤8・・・他の魔法の道具との思い出、どんなことを話したのだろう?/好ましいこと)
所有者が台車を売る時には、他にも多くのものが載せられていた。
「他の物たちは彼の逃避行の中で彼が手に入れて私が運んできた」
「あの場所から逃げ出し、自らを乗せることで彼は初めて私以外の財産を得たのだ」
(赤2・・・持ち主が何かに悩んでいた。または決断をした。どんなことだろうか?/好ましいこと)
そうして所有者は逃避行の中でとあることに気付いたのだと言う。
―こうして入手した魔法の道具を売ることで金を得て、この逃避行を終わらせられるのではないか、と。
(赤K・・・人間、あるいは世界について何かを学んだ。何がきっかけになったのだろう?)
「私は多くの人や運命を運ぶ中でとあることを悟った」
「私は所詮人の運命を変えるだけで、他の物たちの運命を変えることはできない」
「物がどういった運命を辿るかというのは、結局その所有者が何を選ぶかでしかないのだから」
(赤8・・・持ち主が道具を携えて何かを達成した。人間にとって好ましいことだったのだろうか?)
ともかく、所有者はその決断によって多くの道具を売り払い、そして多くの富を得た。私が魔法の道具専門の骨董商であることもあって、よく名前を聞く大聖人だった。
(J・・・好きなものを選択/長い間放置されたり、しまわれたりしていた。どのくらいの時間だったのだろう?また、何がその状況を変えたのだろう?)
ただ、それは彼にとっては不運であったのだろう。
「彼は腰を据えたことで私を使わないようになった。彼自身を運ぶ必要もなければわざわざ運命を変える必要もない」
「そうしてある日、私を君の元に売ることにしたのだ・・・思い出したかのように厄介払いとして、だ」
本当にそうだったのだろうか。
ただの厄介払いというのであれば、所有者は私のような小さな骨董商ではなく、商品の1つとしてコレクターか誰かに売っていたはずだ。
しかし、所有者はそうしなかった。私の傲慢かもしれないが、それは同じ魔法の道具を扱うものに預けることで、彼への敬意を途絶えさせたくなかったのではないか。
彼にそれを伝えたかった。だが私には彼に質問をすることやその答えを聞くことはできても、彼に言葉を伝えることはできない。
そうしているうちに彼の声もどんどん薄れてきた。
(黒3・・・最期の質問を一つ)
最期に聞きたいことが一つあった。
―あなたが後悔していることは?
「かつては多くの人を運んできたが、彼が逃げ出した時から運ぶのは彼一人になっていた」
「それこそ最初の場所に戻っていたなら、まだ多くの人を運んでいただろうな」
―ああ、そうか。
所有者が彼を私のような人物に預けた理由の一つに思い至った。それはある種の独占欲であったのかもしれない。
大衆に売ってしまえば、所有者がかつていた場所とその主の元に戻ったかもしれない。それがただの台車であったとしても、所有者には耐えられなかったのだろう。
結局のところ、所有者が彼を私のところに持ってきたのが敬意によるものか、独占欲によるものだったのかは分からない。
だが、どちらにせよ所有者にとって好ましい行動は決まっていると感じた。私は彼を魔法の道具の保管所に置いておき、店には並べないことにした。