古今東西シャープペンシルの種類 その2 / (クロス A.T.CROSS)
このテーマでは、集めてきたシャープペンシルの、メーカー、年代、種類別に紹介させて頂ければと思います。
今回はアメリカ クロス(A.T.CROSS)社のシャープペンシルです。
クロス社と言えば、万年筆やボールペンなどの筆記具全般を販売しているメーカーだと思います。特に1946年に発売されたセンチュリー(Century)のボールペンは日本でもとても有名です。
しかし、このクロス社は1865年頃からシャープペンシルを製造している、老舗ペンシルメーカーでもあります。150年以上シャープペンシルを作り続けているメーカーは他にはないと思います。
クロス社がシャープペンシルを作り始めた1865年~1880年頃のシャープペンシルは金属製のテレスコピック型や、ハードラバーを軸に使ったものでした。
ハードラバーを軸に使ったシャープペンシル
その後も釘型やナイフ型のノベルティペンシルや、小さくて可愛い金属製シャープペンシルを製造していました。また、この時代から”A"と”T”の間に大きく”X"が配置されたメーカー刻印が刻まれるようになりました。
1900年~1920年頃のシャープペンシルたち
A.T.Crossのメーカー刻印
また、ペンダントトップとして、シャープペンシルが使われたりもしていました。
花の絵が描かれたエナメル製のシャープペンシル
ターコイズブルーのシャープペンシルが付いたペンダント
1923年には”Alwrite”というモデル名のシャープペンシルを発売しました。金銀製、エナメル製やカラフルな色のシャープペンシルなどがラインナップされました。
クロス"Alwrite"シャープペンシル
エナメルで描かれたAlwiteシャープペンシル
また、この時期にアールデコ調の黒いエナメルがあしらわれたシャープペンシルも売り出しました。
アールデコ調のシャープペンシル
1935年には”Signet"というモデル名のシャープペンシルが発売されました。細身でクリップの先がボール状になっています。
クロス"Signet"シャープペンシル
1940~1950年代には様々なショートタイプのシャープペンシルを販売していました。
1940~1950年代のシャープペンシルたち
リールブローチ付きシャープペンシル
A.T.クロス社創業100年にあたる1946年に、今でも販売され続けている、クロスのペンと言えばこれ、という代表的なモデルである”Century”のシャープペンシルが発売されました。11年前に発売になった”Signet"に似ていますが、クリップがストレートになり、より洗練されたデザインになっています。
クロス”Century”シャープペンシル
人気があったため、ブランドメーカーのOEMとしても作られました。
ブランドメーカーから発売されたクロスのシャープペンシル
(上:ティファニー 下:カルティエ)
クロス”Century”シャープペンシルは、その後も現在までほとんどデザインが変わらないロングセラー商品となっています。
戦後のクロス”Century”モデルのシャープペンシルたち