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君みたいに綺麗な女の子

注記:この話は私のセクシャリティについてあけすけに語っているのでそう言う話題が苦手な人は一旦読むのを止めてください。
一回まとめて語っておかないと自分で整理がつかないと思ったので書いたものです。


かわいいだけじゃだめかしら。

初恋の子は今でも覚えている。
幼稚園の時一緒のクラスだったKくん。
ウチの幼稚園は給食制で、確かカレーを食べていた時だったと思うのだけど
後に大学まで一緒になる幼なじみのUと私が並んでカレーを食べている様を見て
「Uちゃんと比べてそんなに大きな口を開けてご飯を食べる子は好きになれない」的なことを言われた記憶がある。

人生で持っている手持ちの「かわいい」を全て幼少期に費やして
風邪を引いて荷物を取りに行くためだけに登園した日でも
「今日はアルバムのカメラマンさんがいるから絶対おだまきちゃん撮影してもらって!!」と無理矢理セッティングされたり
遠足の写真が並ぶ中でそんなに知らない男の子が「この子の写真が欲しい」と私が一人だけでポートレートのように写っている写真を買ったことを母親が自慢し、
選抜で選ばれるひな祭りの踊り手役に選ばれるなど褒めそやかされて育った私には衝撃的な一言だった。

「あ、可愛いだけじゃだめなんだ」

と痛感した。というかその一言で自分が全て暴かれた気がした。
人間、どれだけ外面が良くてもたった一つの失敗で愛して貰えないことを理解した。

時間は経ち、小学生の頃。

お泊まりの機会などが増えて女の子同士で同じ布団で眠ることが増えた。
大人ばかりの家族の中で育った私は勝手に「同じ布団で眠ること」の意味を理解して一人でドキドキしていた。
合宿で男子が部屋に来るよりもそのあと女子だけで寝ているときの方が遙かにドキドキして眠れなかった。
「この心境はあきらかにおかしい」と理解はしていた。

その時から分かっていた。
私はちょっと、他の女の子とちがうんだって。

好きな人や物が多すぎて見放されてしまいそうだ

それから中高予備校大学そしてインターネットでと色んな友人に出逢った。
可愛すぎて出会い頭にちゅーするのが当たり前になった女友達もいた。
10日間以上、居候させて貰った女友達の部屋で毎日リクエストを聞いて彼女が喜ぶご飯を作るのが楽しみで仕方がなかった時もあった。
四六時中話しているから離れてる時間がめんどくさいからお風呂も一緒に入ろうとなったこともある。
大学の喫煙所(もうとっくに撤去された)で「先輩、火ぃ貸してもらっていいですか」と言われただけで指先が赤くなりそうになったこともあった。
中学の頃同じ通学路の後輩の子がバス料金が足りなかったからと貸してあげたらわざわざ学年を超えて怖々と私の居るクラスに来てくれて、会話もしたことがなく名乗りもしなかったのに「おだまき先輩ありがとうございました」とかわいらしい字で手紙を書かれたことに天にも昇る気分になった。

そう、私の「女遍歴」は相当にひどい。
少しでもトリガーがあれば好きになってしまう。
女子大育ちのこともあり、手をつないで腕を組んで歩いている女の子を見るのも当たり前だったので「いいなあ」と思うこともあった。

でも私は分かってる。「私が好きな人には好きになって貰えない」ってこと。
いつもキスしてた女の子は、友人の男の子と付き合ってしまったし、
私の食事を楽しみにして一緒にお風呂でだべっていた友人はつい最近ひっそりと結婚した。

「私の本当のドロドロとした思いを伝えたらこの関係は壊れてしまう」と思っている間に、全ては変わっていった。

一方で私には配偶者が居る。
大学一年生の頃に出逢ってカルチャーの趣味が合って、私の料理を喜んで食べてくれて、私より賢くて、家事を率先してやってくれて優しくて非の打ち所がない人。
自分はヘテロとしての道を選んでいるくせに、失った可愛い女達のことを惜しんでは嘆いている。
なんて贅沢者だと自分でも思う。

でも私は「好きな人に好きって言って欲しかった」から配偶者の手を取った。
不毛な恋に楔を打つために真っ直ぐな愛を受け止める場所に逃げ込んだ。
素直に「愛してる」と言われる場は、安寧の地だった。

配偶者は私が「この女の子可愛いなあ」と言ってもそうね、と返してくれて大口を開けてカレーを食べても何も言わないしすっぴん眼鏡で半目でも「かわいい」と言ってくれる。
これ以上何を望むというのだろう。

でも時々思う。
あの時振り返った時に勇気を振り絞れたら、私の周りに居た素敵な女の子の指先を握れたかもしれない。なんて。

追記

ちなみにたまーーーーーーーにビアンバーに行くことがあるが関係性が構築されすぎててドリンク2杯飲んで撤退するのが常である。
ここでもアウトローか、と思うと悲しくて、やりきれなくってむなしくなるけどそれもまあ人生ですよね。

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