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人生は森の中を歩くようなもの、誰かがそう言った気がする。


私はいま、ベルギーの森の中を歩いている。

日常の雑多なことは忘れて、森の中の道なき道を歩いている。

時々枯れ枝が折れる音の混じる自分の足音、鳥のさえずり、湧き水がほんの少し流れる音、ときどき近くを通る人たちの話し声を聞きながら、歩いている。

私の普段の日常はと言うと、朝起きてまずデカフェのコーヒーを淹れる。朝ご飯にスーパーで買ったチョコクロワッサン。家を出てからトラムに乗ってpodcastを聞きながら研究所に向かう。デスクに着いたら、まずTeamsとメールを確認してからその日のタスクを消化していく。18時頃になったらキリの良いところで終わらせて、またトラムに乗ってpodcastを聞きながら帰る。私は、コテンラジオのヘビーリスナーで、最近一番の興味のある資本主義に関連するエピソードを2週目, 3週目と聞いている。私も別に資本主義そのものを完全否定してないけれど、今のやり方には限界が来ているし、変えていかないと人類の幸せがこの先にあるとは思えない。

森の中を歩くというのは人生のような気がする、誰かがそう言った気がする。そう思ってググってみたけど、ヒットしなかった。ほう、これは嬉しい。

私は道のない道を行くのが好きだ。レールが敷いてある、大体予想できるような道じゃなくて、誰もいない、誰も通ったことのない道を一歩一歩確かめながら、何があるのかわからない未来を楽しみにしながら歩く。そんな道の方が私は好きだ。

森の中を歩いてると下には草がいっぱい生えていて、目の前には虫が飛んでいたり、上は葉っぱが青い空を覆っている。そんなところに鳥の鳴き声が響き渡り、川の流れる音も聞こえる。

誰かが言ってたような気がする。人生は森の中を歩くようなものだって。言ってたような言ってなかったような。とにかく、いま私がそう感じたからそう書いてみる。普段生活していると目の前に見えるのは道。それはちゃんと整備された道かもしれないし、何もレールのない、ただのだだっ広い草原かもしれない。

普段私たちは、地面に生い茂る草花を散策しながら生きている。普通に生活してるとあまり空を見上げることがなくなってしまう。たまに空を見上げると青い空が広がっていて、横から木の葉が元気いっぱいに手を振っていたりする。そこには普段気づかないような動物たちもいたりする。木に登って、自分がどんな道をたどってきたのか、どんなことを見てきたのか、それをちょっと俯瞰して見てみる。そうすると、こんなことをしてきたのかと気づかされる。

そして、また木を降りて目の前にある草や花、苔、きのこを探索してみる。何か壁にぶつかったとき、いくら目の前の草木を探しても何も希望が見つからない。光が見えない。解決への道筋への方向性も掴めない。ただ右に行ったり前に行ったり、戻ってみたり、いろんな道を試してみる。そしてまた上に登ってみる。そうすると自分が見てきたものがつながって新しい発見が見つかったりする。これは木に登っただけじゃ見えない。闇雲に地面の上を自分の足で踏みしめながら歩き回ってきたからこそわかる気づきだと思う。何か人生もそんな気がする。

今何か熱中していることがあるかもしれない。それは1つか2つ、3つかもしれない。何個でもいいけれど、とにかく闇雲にこの先どうなるかわからないけど、歩き回ってみる。そして、木に登ってみる。時々自分のやってきたことを俯瞰して見てみると、何か新しいことや自分にとって大切なことが見えるんじゃないか、と思う。

私は今火星の研究をしている。そしてそれは生命の起源は何なのか、地球外に生命がいるかどうか、火星に生命がいるのか、その可能性はどれぐらいあるのか、そんなことを知りたくてやっている。一方で、なぜかコーヒーにもハマって、コーヒーの研究もやっている。これは地面に生い茂っている葉っぱ、枯れた枝、雑草、雑草と言われるけど誰かにとって価値のある草、いろんなものを探っている状態なのかもしれない。

木に登ってみると、見晴らしが良くなって、同じように木に登ってる人と遭遇する。私くらいの年齢からもう少し上の人たち、大体そのぐらいの人が多いような気がする。そんな仲間たちと話してみる。すると、どんな草木があって、どんな動物が下にいるのか、一人だけでは分からないことをたくさん知ることができる。私はいま、そんな木に登っている人がいっぱい集まって話せるようなログハウスをコーヒーを通して作りたいと思っている。みんなが集まって、自分がどんな草花を見てきたのか、どんな動物を見てきたのか、どんな魚がいたのか、そんなことを語りながら、人がつながることができる場、いろんなことにチャレンジできる場。そして、何よりいつでも帰ってきたくなるような温かいログハウス。

そんな場所を作りたいなぁと思いながら、森の中を歩いている。

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