【ニンジャ自由研究】ニンジャスレイヤーにおける物理法則と世界構造- 人間とは、ニンジャとは何か-
この記事はニンジャソン夏2020「ニンジャ自由研究」の応募作品です。
夏休みニンジャ自由研究にあたって、作中世界を支配する物理法則について今まで温めてきたことを一度まとめてみたいと思う。
本来ならもっと情報理論について学んでから書きたかったのだが、時間がないのでそうもいかないということで、知識が不十分ながら話を進めていきたい。
さて、ニンジャスレイヤー作中世界を支配する物理法則を議論する上で、基本となるルールを定めていきたい。ニンジャスレイヤーはサイバーパンク世界観の例に漏れず、人間の定義が非常に曖昧な世界観である。そこでニンジャスレイヤーにおける「人間」(ここではモータルと呼称)とは何かについて定めなければならない。そこで以下のような公理から議論を開始する。
・公理1:キンカク・テンプルとコトダマを、ギンカク・テンプルとカラテをやり取りする存在をモータル、コトダマのみをやり取りする存在をニンジャソウル、カラテのみをやり取りする存在を物体と定義する。
これを図に示すと以下のようになる。
このような環境下で、モータル同士が通信するには必ずキンカクまたはギンカクを経由せねばならない。これを図に表すと以下のようになる。
この図を見た読者は、カラテはモータル同士が直接交換するものではないのか?と疑問に思うだろう。確かにそれは正しいのだが、ギンカクとモータルの通信頻度がキンカクとは比べ物にならないほど大きい(コトダマ的距離が近いとも言える)ので、普段はギンカクを経由していることを感じることができないのである。
次に、モータルの移動について議論したい。他のモータルにカラテを叩き込みたいが、間に物体が存在していて困難な場合はどうすればいいだろう。ここで新たな公理を定める。
・公理2:モータル、物体、ニンジャソウル間で閾値を上回るカラテ、コトダマを叩き込むことができれば両者の位置を入れ替える。
一例を以下の図に示す。何やら複雑なことをしているように見えるがなんのことはない、普通に移動しているだけである。遠隔地にいるモータルにカラテを叩き込むためには間にある物体をどかすなり、歩いて移動するなりして近づけば良い、ということを大仰に言っているだけだ。
さて、これまでの議論からキンカク、ギンカクに内部構造が存在しうる可能性に気付いただろうか。モータルがニンジャソウルをキンカクに、物体をギンカクに含めてしまえば構造としては最初の図と何も変わらないことになる。
このように複雑構造を包括して単純化することは至る所で行われており、おそらくモータル、物体、ニンジャソウル自身にも類似する内部構造が含まれていると思われる。
ここで第三の公理を追加する。
・公理3:キンカクはニンジャソウル、ギンカクは物体から構成される。
ここまでやってきて、ようやく「ニンジャ」について定義したい。
・定義1:ニンジャソウルとモータルが一体になったものをニンジャと呼称する。
ではなぜ本来キンカクに存在するはずのニンジャソウルがモータルと融合してしまうのだろう?これは公理2によるものである。キンカクに閾値を上回るコトダマを叩き込んだことにより、ニンジャソウルの位置が変化してしまったのだ。その手段とはインターネットである。インターネットの誕生に伴うY2K以降、ニンジャソウル憑依現象が激増したことにはそのような背景が存在したのだ。
そもそもインターネットとはなんなのか、なぜインターネットがそのような大量のコトダマを扱うことが可能なのかについても色々な考察があるのだが、まだ結論を得ていないためにここでは割愛したい。
以上の議論とキンカクとギンカクの対称性から推論するに、もう一つの存在が示唆される。モータルとギンカクの内部構造の融合である。これを以下のように記す。
・定義2:モータルとギンカクの内部構造が一体になったものをニンジャスレイヤー、ギンカクの内部構造をナラク・ニンジャと呼称する。
ニンジャスレイヤーが生まれるにあたり、ニンジャソウル憑依と同様に大量のカラテの流入がギンカクにあったはずであるが、それについてはニンジャの暴虐及びマルノウチ紛争として読者がよく知るところだろう。
さて、閾値を超えるコマンドを叩き込まれた存在は位置を変える、という話をしたがニンジャに閾値を超えるカラテを叩き込んだらどうなるだろう。一番馴染み深い例がニンジャとニンジャスレイヤーのイクサだろう。通常ニンジャソウルはキンカクの一部であり、モータルは死ねば物体になるだけなのだが、ニンジャの場合は爆発四散を起こす。これを図に表すと以下のようになる。
先も述べたがギンカクは非常に物理空間に近いが、キンカクは遠い。そのためニンジャソウルがキンカクに戻る過程で爆発四散という特異な現象が起こるのだろう。
爆発四散に伴いソウルはキンカクに収容されることは本編でも示唆されているが、果たして、ニンジャの肉体はどうなるのだろう。
単に雲散霧消してしまうか、肉体自体もニンジャソウルと化してキンカクに収容されるという可能性もある。あるいはギンカクに収容され、ニンジャスレイヤーのカラテの一部として生きることになるのかもしれない。
今後、補遺においてジツ、インターネット、ネザーオヒガンについても議論をしていきたい。