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金利のある世界へ 5/22日経Review

 5月22日の日経平均株価は、寄り付きから急落し、15分間で200円以上下げた(9:14 38,680円)。その後、急速に38,800円台に戻す(9:26)場面もあったが、その後は、この高値を抜くことがなく、午後の13時過ぎから、下げ幅を拡大した。終値は38,617円、前値比0.85%の下落となっている。

日経平均2分足
グロース250は年初来最安値

 個別株をみると、昨日下げたソフトバンクG9844、ダイキン工業6367が反発したが、ファーストリテイリング9983の他、半導体の主要銘柄もSOX指数の低下を受けて下落した。ソフトBGの上昇は、NY市場でのARM株の大幅上昇によるとみられる。
 上の日経平均の寄与度には、全く反映されていないが、今日の東京市場で大きな異変があった。日本の長期金利、10年国債の利回りが午前のザラ場か1%に向かって上昇し始めたことである。

10年国債利回りの推移

 この金利上昇は、日銀がゼロ金利解除を決めた後、緩やかに上昇していたが、連休前の日銀金融決定会合後の円高の急激な進行により、日銀が国債買い取りオペの減額を実施した5月13日頃から一段の上昇に転じた。

日銀HPより

 日銀は、10年ゾーンのオペの金額を4,750億円から4,250億円に減額した。 明日23日10時10分に、5月3回目の10年ゾーン国債の買い入れオペの金額がオファーされる。おそらく、円安が顕著には止まらないため、さらなる減額の思惑が浮上しているであろう。

日銀資料 5月は23日と31日に予定されている。

 本日の10年債利回り上昇は、株式市場に異変をもたらした。「金利敏感株」=主に、不動産、建設、公益、運輸などを指す、という株式用語は、10年間ほど死後になっていたかもしれないが、本日10年債が1%台を付けたことで復活したようだ。以下は、いづれも借入比率が多いとされているこれら業種の本日の値動きである。

三井不動産8801 3.61%下落
東京ガス9531 5.24%下落
清水建設1803 1.30%下落 
近畿日本鉄道9041 2.86%下落

 一方で、金利を受け取る業種、損保銘柄の東京海上8766は、再び上昇に転じた。

東京海上8766 1.2%上昇

2024年5月22日は、日本の株式市場において、「金利ある世界」が復活した日である。
(黄虎)


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