メンタル疾患の診断名に意味はないという誤解
以下の動画内で、ひろゆきさんがされていた
「何の精神病か知りたいというのは無意味」
「心の病気系の名前はなんでもいい」
「疾患名が分かったからと言って、特効薬があるわけではない」
というお話について、少し乱暴すぎて誤解を招くと感じたので、ここで意見を述べる。
私は双極性障害の病識しかないので、その観点で書くが、確かにひろゆきさんがおっしゃるように、「疾患名が分かったからと言って、特効薬があるわけではない」のだが、「禁忌薬は存在する」。
メンタル疾患の薬というのは脳内物質の多寡を制御するものなので、ドーパミンが出まくってる統合失調症の人に、さらにドーパミンを増量する薬を出しても悪化させるだけだし、他の疾患に関しても同様のことがいえる。
例えば、双極性障害に対するサインバルタである。
双極性障害については以下で書いた。
サインバルタは抑うつ状態に対する比較的副作用の少ない薬なのだが、これを双極性障害の患者に投与してしまうと、なんというか、「上がり過ぎて」、躁転してしまうことがある。
双極性障害は上げ過ぎず、下げ過ぎずを目指していくしかない病気なので、「上がり過ぎる」ことは明確なデメリットである。
なおかつ、「上がり過ぎた」患者は、「気分がいい! 私には何の問題もない!」と感じて病識を失うので病院に来なくなる。薬も飲まなくなる。結果として躁状態で様々に無軌道な行動をしてしまい、再びうつに転じて社会生活が困難になる。
実際私も、同じようにうつと思って投与されたサインバルタのせいで躁転して気が付いたら引っ越しして謎の借金を負っていた。正しく「双極性障害」と鑑別されていれば、また別の結果だった可能性が高い。
それに、特効薬はないが、「この病気にはこの薬が効きやすい」というエビデンスはある。対症療法であるとしても、実績に基づいた投薬治療は効果が出やすい。
したがって、精神疾患であっても、病名を鑑別することは重要である。
私はあまり社会に馴染めないので、もともと、一般的、普通という枠にはおさまらない特性を持つと感じる。
なのでもしかしたら、なにがしかの発達障害を抱えている可能性もあるが、ひろゆきさんが言うように、それで困っていないのでどうでもいい。それは個性の範疇であると感じる。そういったラベリングにあまり興味が無い。
ただし、本人が困っているならば、発達障害、他メンタル疾患に対しては効果的な薬、禁忌薬のエビデンスがあるはずなので、それに沿った治療を受けることは大切だ。
もしこの動画内の質問を自分がされたとしたら、
「統合失調症ではないと思うなら断薬を自己判断せず、結果を医師に伝えて適切な治療を再開してください。医師と合わないのであれば、転院を考えてください。ご家族のサポートが受けられるなら、ご家族と一緒に対応することも効果的だと思います」
と答える。
それにしても、ひろゆきさんは広範な知識のある方で、あまり根本的に間違ったことは言わないように思うのだが、メンタル疾患に関してはこの程度の認識なんだなと感じた。
やはり、自分が当事者になるとか家族がそうなるとかで、積極的に情報収集をしないと、知識が集まりづらいのだろう。
医師や当事者が継続的に発信していくことは、必要なことなのかもしれないと改めて思った。
もし他にも、こころの健康に関してご興味があれば、以下にまとめたので、参照いただけると嬉しい。
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